兎は寂しいと死ぬんだって誰かが言ってた

電車に乗ってヘッドフォンをつける
今気に入ってる音楽を流すとイントロが流れてきて
スマホの電源を落とす

京阪電車は地上を走る
だから窓の外からは街が見える
大阪のどのへんの街なのかは分からないけれど
電車のスピードによってどんどんその景色は移り変わっていく

ぼーっと見つめる
マンションが見えたり
住宅地が見えたり
大きな派手な看板が見えたりする

少し時間が経つと駅に着いてその景色は終わる

でもまたすぐに見ることができる

駅の中の人はみんなスマホを触っていたり
隣の人とおしゃべりをしたり
前に座っている人はこっくりっくりしながら寝ている



窓の外の景色を見ているのはたったの自分
自分だけ

そう思うとやけに寂しくなる

この世界に存在してるのも自分だけなんじゃないかと思う

孤独ってこんな感じなのかな

兎は寂しいと死ぬんだって
友達だったか
だれかが言ってた

人間だって
「寂しい」って言って死ぬんじゃないだろうか

でも死んだら
その人の存在も
その人の言葉も
その人の想いも
その人の記憶も

消えちゃうから

人間はみんな

寂しくて死んじゃうことに気が付かないんだと思う