2018年リリースの好きな音楽まとめ

2018年に良かったなと思った音楽の中で、想いを残しておきたいものをまとめました。

僕は色んな音楽と比較して作品を批評するための知識や語彙をあまり持ち合わせていないので、単純な感想や、直接は関係ないけどその音楽に触れて感じたことも書きました。

↓一覧はこちらにポストしました。

インスタの方にも書きましたが、僕は音楽が好きだと言っている割には、音楽メディアを日々チェックして新譜の情報を追ったりしないし、特定の界隈・シーンでの人気・流行にもあまり敏感ではありません。

なので、話題作・ヒット作をひたすら無視してB級作品ばかり楽しんでいたり、エピソード1~6を順番に観るべきものを3と5だけ観て最高!と喜んでる、というような歪さが多々あると思います。

でも、それゆえに、他の誰とも違う音楽の楽しみ方をしているのもまた事実だと思います(もちろん、誰もがそうなのですが)。
僕がこのnoteを書いたように、音楽を違う角度から見つめている人同士で、その人だけの景色が見えるポイントを少しずつ譲り合うという営みを、これからも続けていきたいと思っています。

(順番はそんなに意味ないです)

ゆくえしれずつれづれ - exFallen

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昨年好きだった音楽は?と質問されたら間違いなく一番最初に思い浮かぶアルバム。ヘヴィなサウンドやスクリーミングを取り入れてるアイドルって、どうしてもそのギャップやインパクトがそのままアイデンティティになりがちなんですけど、ゆくえしれずつれづれの場合は、絶対的な世界観が根底にあって、その表現手段として最も適切だからこういった音楽性を選択しているというような等身大さがあるんですよね(元々叙情・激情寄りだったサウンドが、徐々にキャッチーなポストハードコア・メタルコアに接近してるにも関わらず、いやらしさがないことからもそれは明らかになっていると思います。ブレやセルアウトではなく洗練という形での方向性の調整)。押しも押されぬデスコアの世界的カリスマ・Fronzを日本のアイドルが客演に迎えたという事件性が、聴き終わる頃には霞んでしまうほどに、純粋にカッコいいと思える素晴らしいアルバム。

このアルバムが良いと思える理由をもっとごく個人的なレベルで考えると、自分が大好きな00年代中盤~後半のスクリーモ・メタルコア直系の音を鳴らしているという点がやっぱり大きいんだけど、例えば同じ楽曲を今シーンにいるバンドがやってたらと想像してみると、古臭いことやってるなあと思ってしまうのかもしれない。リスナーとしては不誠実なことかもしれないけれど、僕がアイドルの楽曲を聴く理由って、そういうある種の"痛々しさ"や"あざとさ"を、あくまで偶像・アイコンであるアイドルという存在を通すことで、純度の高いものとして受け入れることが出来るからなんだろうなとよく思った一年でした。

CY8ER - ハローニュージェネレーション

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僕と仲の良い人ならなんとなくわかるとは思うけれど、今年は僕にとっては本当に「CY8ERの年」でした。で、今となっては純粋に1オタクとして、CY8ERを一生懸命応援しているんだけど、元はやっぱり楽曲がカッコいい!カワイイ!と思ったから現場に通い始めたというのは間違いなく。曲順・曲名まで完璧に暗記するほど聴き込むアーティストが増えるのは本当に幸せなことだなと思えたアルバム。メンバー脱退後に、新録版アルバムをストリーミング配信したのも現代っぽいやり方でクールだったなー。CY8ERに出会えたことで、長い間スマホ越しに自撮りを眺めるだけのキモオタだった僕も、ちゃんと現場でライブも接触も全力で楽しめるキモオタになれたし、Future Bassをはじめ色んな音楽に触れるきっかけを得ることも出来た。本当に、僕にとってずっと特別なグループであり続けるんだと思います。

この後に配信されてるシングル群や、ライブでしか披露されてない新曲は、よりドラマチックかつ表情の幅が広がっているので、次のアルバムはめちゃくちゃ良くなると思う!期待!

Moe Shop - Moe Moe

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再生回数でいうと今年一番聴いたかもしれない作品。さっき書いた通り、少し前からCY8ER・Yunomi経由でFuture Bassを色々齧るようになったんだけど、Future Funkには何か独特の空気感があって(特にサンプリングを前提としたプロダクションに当時の自分があまりに馴染みが無くて)、手を出せずにいました。そんな僕の目の前に現れたのがこのEP。豪華なゲストボーカリスト陣と、異常な中毒性を持った楽曲を揃えたこの作品に今年の早い段階で出会えたことで、僕の視野は大きく押し広がったように感じます。"Kawaii"だけではない多様な"Moe"を示してくれたところも、極端にデフォルメされた同界隈の世界観との差別化となったのではないでしょうか。

Rivers Of Nihil - Where Owls Know My Name

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Vein「Errorzone」(これも超最高)に並んで、今年多くのメディアで評価されたエクストリームミュージックの代表的な作品ですね。これ本当に凄かった。あまり詳しくないジャンルですが、明らかに独特で奇抜な飛び道具を使ってるのに、聴いてても全く違和感がない程自然、というかこれしかないよなというくらい最善の作曲が為されているような感覚が終始あるんですよね。長い物語の中を漂うことのできる音楽。めちゃくちゃ好きすぎて本当に大切な映画とか、いつまでも新鮮な気持ちで味わいたい音楽とは、あえて距離を置きたくなるっていう気持ちがわかる人ってこの世に少しはいると思うんですけど、僕にとってまさにそういうアルバムでした。凄すぎるので、これからもたまに聴いてスゲ~と思う予定。

Lifelong - Revive the Masses


Parkwood - Close To Home

最近は、ラウドな音楽の中でも、ヘヴィーなメタルコアやデスコアより、ファストだったり、メロディックパンクなどの影響も感じさせるような叙情ハードコアが好みで、この2枚は繰り返しよく聴きました。Lifelongの登場は、このシーンにとって重要な出来事だと思います。というのも、Lifelongの前身Confideは、かつてザ・アラウンド2010年のメタルコアというサウンドを鳴らしていたバンドでした。そのConfideが再編成・改名を経て、サウンドを叙情ハードコアに振り切ったのは、シーンの変遷を端的に表しているように感じます。R&B Djent、ニューメタルコアのようなメインストリームのシーンと呼応するような動きと並行して、叙情などDreambound系のコアなバンドも密かに確かな支持を集めているのが現在のシーンの面白さではないでしょうか。

少々話はズレますが、その一方で、2018年は「Make Metalcore Great Again」な一年でもあったのではないかとも思います。As I Lay Dyingの復活が最も象徴的なイベントですが、それ以外にもオーセンティックなメタルコアのアルバムで素晴らしい作品が多数リリースされました。Bleed From Within「Era」、Unearth「Extinction(s)」などなど...。で、新しいメタルを模索するか・硬派なメタルを追求するかという選択に明確なアンサーを出せなかったバンドの作品はあまり響かなかった印象があります...。様式美を重んじるメタル界では、若手・中堅バンドがさらなる一歩を踏み出す際のその壁がより高いのかもしれませんね(そういった流れの中でも、Ice Nine Kills「The Silver Scream」は、00年代から続くベタなメタルコアながら高いクオリティとフレッシュな発想が光る素晴らしいアルバムだったと思います!)。

Waterparks - Entertainment

ポップパンクって、アメリカの兄ちゃんがスケートしながらやってるカラッとした音楽!っていう開放的なサウンド・イメージがあるけど、その「ポップパンクらしさ」に縛られて、コピー&ペーストで退屈な楽曲が多くて、本質的な意味での自由さが感じられないなーと思うことが少なくない(だから本当に自由な若者はヒップホップとかに流れるんでしょう)。このアルバムは、そういった意味で、バンドが自由にポップパンクを楽しんでるのがわかってめちゃくちゃ爽快! 今年同じくポップパンクのシーンからはみ出した素晴らしいアルバムにAs It Isの「The Great Depression」があるけれど、決断レベルの「脱ポップパンク」ではなく、アイデアやユーモアを伴った「超ポップパンク」なアルバムを作ったWaterparksはもっと評価されるべきだと思う!

Kim Petras -  Turn Off the Light, Vol. 1

Kim Petrasは、ポップでパワフルでキュートなシングルを聴いてライブラリに追加していたので、このアルバムを聴いたときは驚きました。バキバキのガチガチ! ハロウィンをテーマにしたということで、ホラーテイストな楽曲が並んでいるのですが、それにしてもここまでクールなサウンドが楽しめるとは思っていなかったので、興奮しきりでした。海外の人気コンポーザーはシングルをチャート向け・メディア向けに、アルバムを音楽ファン向け・ライブ向けに作るようですが、なるほどこういうことかーと納得した一枚でした(一応本作はミックステープという位置づけのようですが)。音楽ファンしかアルバムを聴かない時代って、マジなんすかね・・・。

The Plot In You - DISPOSE

いわゆる「BMTH以降」のシーンにおける一つの到達点。BMTHが「Sempiternal」「That's The Spirit」で示したメタルコア・ポストハードコア+エレクトロ・ストリングス、メロディアスとヘヴィネスの融合、オルタナティブロックへの接近は、言うまでもなくシーンに多大な影響を及ぼしたわけだけど、その後フォロワーとなる多くバンド達は、そのサウンドをエクストリームミュージックをキャッチーにするための指針というレベルでしか理解できていなかったんじゃないでしょうか。一方で、このアルバムは、明らかにBMTHの影響を醸しながらも、全然キャッチーではないどころか、より作品性に重きを置いている。ヒットした作品だからパクるという安易な発想に至らず、真摯に新たなメタルの潮流と向き合った結果としてのオルタナメタルコアの再構築。本質、捉えちゃってるね・・・。

Fit For A King - Dark Skies

このアルバムも、The Plot In Youと同じくBMTH以降のシーンだからこそ生まれた作品のような気がします。そして、こちらも他の多くのバンドとその捉え方が違っていて、終始ヘビーなアルバムの中のフック、緩急をつける目的でメロディアスなサウンドがここぞという場面で挿入されていて、エクストリームなのに聴きやすいという絶妙なバランス感を実現している。シーンというのは常に少数のパイオニアによって牽引されるものだとは思いますが、先駆者の背中を追って同じ道をなぞるのではなく、先駆者が残した爪痕を出発点にしてそれぞれの道を進んでいくような世界なら、音楽はどんどん面白くなっていくのではないでしょうか。

Reol - 虚構集

ネットシーン発のアーティストがメジャーのフィールドで活躍することも珍しくなくなった時代だけど、Reolほど自分だけの強みを理解して勝負をしているシンガーは少ないんじゃないでしょうか。フックの聴いたメロディーライン、艶のある伸びやかな高音はもちろんなんですが、何よりすごいのはフロウと言葉の扱い方。後に公開された本人選曲のプレイリストに、アニメソング、J-POP、ロック、EDMだけではなく国境を越えた様々なHIPHOPも多くセレクトされており納得しました。この後にリリースされたフルレングス「事実上」も、まとまったサウンドでとても良かったですが、てんでバラバラのジャンルの楽曲を、Reolの圧倒的な魅力が引っ張っていくことで彼女だけの個性が浮き彫りになっていく「虚構集」のインパクトは強力でした。

Jvcki Wai - Enchanted Propaganda

Reolセレクトのプレイリストから聴き始めた韓国のラッパー。僕は、やっぱりラップってリリックが重要なんじゃない? と思ってしまうところもあって、あまり海外のHIP-HOPってハマんないんですけど、この「何言ってるかわかんねーけどかっこいい!」の感覚はすぐに癖になってしまいました(アジアのHIP-HOPに注目している多くの欧米の方も、きっとこの感覚の虜なんでしょうね)。なんとなく聴き取れる単語から意味を類推してしまう英語ではないからこそ、すんなりと耳に入ってくるのかもしれません。と思いつつも、英語・日本語以外の言語をラップする人たちも、何も考えずに歌詞を書いてはいないわけですから、これからも誠意を持って様々な国の音楽に向き合いたい所存です。

BAD HOP - BAD HOP HOUSE

川崎市で有名になりたきゃ♪
川崎区で有名になってから♪

nothing,nowhere - ruiner

「エモラップ」なるものが巷で流行っているという噂をキャッチして、何だと!? と思い検索してみて、「あ、そういうことじゃないのね...」と少し寂しい気持ちになった人は少なくないとは思いますが・・・(?)。”そういう”エモラップ、つまり、90~00年代のエモを聴いて育った人が「エモラップ」というワードから思い浮かべるような音楽がまさにnothing,nowhereだと思います。これがもうめちゃくちゃに心地よくて、僕にとってAmerican Footballの1st以来の貴重な”永遠にループして聴いていられるアルバム”になりました。そして、ラッパーがロックスターに取って代わる時代、というのは今まで正直しっくり来てませんでしたが、このアルバムを聴いてその気持ちがよくわかりました。俺もnothing,nowhereみたいになりたい。こういう感覚になったのは久しぶりな気がします。

KID FRESINO - ài qíng

ヒップホップがメインストリームを席巻するこの時代に、ラッパーという立場にありながら、安易に流行のサウンドに乗っからないスタンスは本当に格好いいですね。客演のラッパーのバースが素晴らしいから、その曲では自分はラップせずコーラスに専念するといったような、作品全体を俯瞰する全能感も、彼のどこか浮世離れしたイメージを感じさせます。デカいとこでいうと米津玄師とかもそうだと思うんですけど、徐々にプレイヤーだけではなくて、プロデューサー的な視点を持ったアーティストにカリスマ性が宿るようになって来ているような気がしますね。彼らは役者でありつつも同時に監督っぽい。

春ねむり - 春と修羅

Earthists.のボーカルの方が公開していたプレイリストをきっかけに聴くようになりました。これマジ最高。オリジナリティ、キャッチ―さ、エモーショナルさ、あらゆる点で最高でした。てか、ほぼ一回もメロディーを歌わないのに全曲キャッチ―っていうのも凄い話ですよね。海外でもツアーとかやってるし、今でも十分大活躍してるんだけど、もっともっと色んなフィールドで評価されるべきだと思う。まさに俺がそうなんだけど、叙情ハードコアが好きな人は間違いなくハマるはずだし、届いて欲しいなー。

Soleima - Bulldog

H&Mの店内でShazamして知ったような記憶があります。Spotifyでサジェストされる音楽は、アレ本当によくできてるんで、自分の好きなものどんどん見つけることが出来るんですけど、1つのトンネルをどんどん掘り進めていっていつの間に周囲が真っ暗になっちゃうかもしれない。他のトンネルの入り口を作る方法って何かというと、例えばそういういわゆる”街鳴り”を素通りしないことだったり、音楽の趣味とは関係ないところで繋がってる友人がツイートしてるアーティストをチェックすることだったりなんですよね(結局なににしてもテクノロジーが役に立つことは間違いないのですが)。トンネルもといチャンネルを多く持ち続けていくことは、ずっと大切にしていきたいです。まあH&MのプレイリストはSpotifyに公開されてるんですけど(トホホ・・・・・・・・・)。

Sectioned - Annihilated

死ぬほどうるさい。聴く暴力!

Dream Wife - Dream Wife

ずっと楽しみにしてたサマソニでのライブの後、その辺を普通に歩いてたボーカルとセルフィ―した思い出。青春映画からそのまま出てきたようなコミカルな魅力と、芯の強いアティチュードを兼ね備えたバンドでかっこいいです・・・!

CrazyEightyEight - Burning Alive

Youtuberがバンド組んでアルバム出したらシーンのどのバンドよりかっこよくなっちゃったというヤバいアルバム。

Church Tongue - Hell Is Empty

こういうひたすら暗いんだけどメロディックなハードコアが一番興奮するんですよね・・・。

The Afterimage - Eve

ピロピロプログレッシブメタルコアを追求してきた彼らですが、今作ではキャッチーかつエモーショナルな楽曲に果敢にチャレンジ。イントロ的な小曲+4曲×2部を圧倒的キラーチューン「Secrets」で繋ぐという構成も無駄がなく見事でした。解散が残念ですが、ほぼ同メンバーによるBrand of Sacrificeにも期待ですね。

フィロソフィーのダンス - イッツ・マイ・ターン

SMAPが国民的アイドルになれたのは、「5人のユニゾンの歌声がめちゃくちゃいいから」という話を聞いたことがあります。すみません、それはあんまり関係ないんですけど・・・。女性アイドルシーンに目を向けてみると、楽曲が良いアイドルは数多くとも、同時にメンバー全員の歌声がカチッとハマりすぎてるアイドルはそう多くはないのではないでしょうか。人間的魅力を抜きにしても、歌声だけでメンバーの個性や強みが見えてくるのは、彼女たちの最大の武器なのではないかと思います。んで普通に人間的魅力もあるしね・・・(◜௰◝)

LiSA - BEST -Day-
LiSA - BEST -Way-

とにかく単純に、デビュー時からずっと応援しているアーティストのベストアルバムが発売されるという感慨はそれはそれは深いものでした。そして、本作は、コンセプト設定とそれに沿った選曲・配置、再録・新曲の妙によって、ただの編集盤以上の意味を持つものになったと思います。特に、デビュー曲にして、本人が長年苦手だったと語る「oath sign」を、同じ方向を向いた最新2曲の間に配置することで、過去と現在を1つの線に繋いだのは見事(しかもそのタイトルが「Way」だし!)。本作ジャケットに仕掛けられた思わずニヤリとするような仕掛けや、Winter盤カレンダーに隠されたサプライズ、「赤い罠」ジャケットのアイデアなど、今年はLiSAのもはや異常と感じるほどに徹底的かつ天才的なエンターテイナー精神に何度も舌を巻いた2018年でした。ベスト盤を、新規ファンではなく、今まで応援してくれたみんなのためのものにしたと言い切ったのは、LiSAらしかったですね。一生一番好き・・・・・・・・・。

さユり - 月と花束
さユり×MY FIRST STORY - レイメイ

やっぱりこの人は天才だと思います。2017年にさユりと出会ってから今まで、ずっと心酔しきりなので、1オタクの意見でしかなくて説得力がないかもしれませんが、それでもさユりほどの天才は存在しないと断言したいと思います。今年は残念ながらアルバムのリリースが無かったのですが、2枚のシングルが持つ意味があまりに大きすぎるので、そしていずれも1枚の作品として明確なテーマを持っているので、全く物足りなさはありませんでした。他人という波に揉まれ、社会という風に帆を揺られるがままに辿り着いた1st「ミカヅキの航海」を経て、「陸に上がった」と本人が語った「月と花束」で、何かを失ってもなお人と関わりたい、そうすることで前に進みたいと唄ったさユりが、次に放ったのがまさに他者との関わりの中で生まれたコラボレーションシングルって、もうそれだけで涙が出てくるんですが。デビュー曲「ミカヅキ」において、美しい完璧な存在である満月に対して、欠けていても輝こうとする三日月に自分を例えたさユりが、最新作「レイメイ」では”夜明け”をテーマに歌っているんですよ! 最初から全てを見据えていたように。そして何より、さユりの美しいところは、自分の言葉によって生まれる矛盾や痛みを全て背負おうという覚悟を持っているところ。「月と花束」で、運命を選択する強い決意を表明しながら、カップリング「プルースト」「日向雨」「レテ」では、別れの悲しみや忘却の恐怖、白か黒かだけではない現実をハッキリと認めているし、「レイメイ」が輝かしい夜明けを歌ったのに対し、カップリング「よだかの詩」では、朝が来てもいずれまた夜が来ることを示唆し、そして誰かの夜に寄り添うことを約束している。さユりは誰よりも言葉や歌の持つ力を理解していて、自分の歌で救われない誰かの存在にも常に思いを馳せ続けている。そうしてさユりの歩み一歩一歩がすべて物語になっていくし、今までの足跡とこれから進む道がさらに巨大な物語になっている。わけわかんなくなってきましたが、とにかくメチャクチャすごいんですよ、さユり。

ここでは趣旨に合わないし、何より語り尽くせなすぎるので割愛しますが、「レイメイ」リリースに伴ったツアーの完成度も異常でしたね。3カ所行って毎回ちょっと泣きました。というかさユりは意味のないことを全くしないから、作品でもライブでも、完成度もクソもないんです。さユりの作るもの・すること全てがそのままさユりという人生の一部であって、当然そこに他人の評価を挟む余地はない。俺たちはただ、さユりのいるこの時代に、さユりと共に生きていくだけなんだ・・・・・・・・・・(完)

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