文字起こし:国会パブリックビューイング「第2話 働き方改革―ご飯論法編」(35分)

国会パブリックビューイング「第2話 働き方改革―ご飯論法編-」の文字起こしです。下記の街頭上映用の日本語字幕と同じものです。


<1:導入部>

■2018年6月29日 参議院本会議

【石橋通宏議員(立憲民主党)】
 審議しても審議しても議論が深まらないんです。
 委員会での審議を通じて私たちは法案の数々の問題点を明らかにしてきました。その多くは、これまで安倍総理や加藤厚労大臣が国民に対して説明してきた法案の目的やメリットと完全に矛盾する問題だったんです。だからこそ、政府は、丁寧かつ真摯に答弁する責任があったはずです。
 それにもかかわらず、政府の答弁は、衆議院段階からの答弁をテープレコーダーのように繰り返すばかり、加藤大臣は最後までご飯論法、これで国民の理解や納得が得られるわけがない。

<2:「ご飯論法」とは>

【上西充子(法政大学教授)】
 今、ご覧いただきましたのは、2018年の第196通常国会、6月29日の参議院本会議で、働き方改革の一括法案に対して、立憲民主党の石橋通宏議員が反対討論を行った、その中のひとつの場面です。
 審議しても、審議しても、議論が深まらない。なぜ、議論が深まらないのか。それは、安倍政権の側が、野党の追及に対して、誠実に答弁しない。その問題が大きかったと言えます。
 どのように誠実に答弁しないか。一つは、長々と同じ説明を繰り返すということがあるんですが、今回の番組で取り上げたいのは、論点ずらしの「ご飯論法」です。

 私たちは「国会パブリックビューイング」といいます。国会の実際の審議を、編集しない実際の形で見ていただくことによって、国会の中で不誠実なやりとりがされている、きちんとした審議がされていない、そのことを見ていただいて、国会の問題を可視化して、正常化に近づけていこう、そういう取り組みをしています。
 その中で、今回見ていただきたいのが、「論点ずらし」という手法です。その「論点ずらし」を、「ご飯論法」と私たちはここで、取り上げているのです。

 「ご飯論法」という言葉は、皆さん、ご存知かもしれません。「新語・流行語大賞」にノミネートされ、その関係でもテレビ等で取り上げられました。
 もともと私が、「ご飯論法」のもとになるツイート(※)を書いたんですが、働き方改革の国会審議の中で、加藤厚生労働大臣、当時の厚生労働大臣ですが、非常に不誠実でわかりにくい論点ずらしをする。それを、多くの方に分かっていただきたいと思って、朝ごはんにたとえたものです。

(※)

 「朝ごはんは食べなかったんですか?」と問うてみると、加藤大臣が、これはもちろんたとえですが、「ご飯は食べておりません」と、非常に誠実そうに答えるんですね。
 そうすると何も食べていないように聞こえるんですが、実はパンを食べていた。でも、パンを食べていたことは言いたくない。「申し上げられません」のように言うと、答弁拒否になってしまう。
 なので、あたかも誠実に答えているかのように、「ご飯は食べておりません」と言う。
 そうすると、聞いている方は、わからないんですね。「食べていなかったんだな」と思ってしまう。そのような不誠実さを、朝ごはんにたとえてツイートしたわけです。

 これが非常に、「ああ、そういうことだったのか」という反応を呼び、実際の答弁と照らし合わせてブログに書いてみたところ(※)、紙屋高雪さんが、これを「ご飯論法」と名付けて、安倍政権に共通する手法だと言及されたんです。

(※)「朝ごはんは食べたか」→「ご飯は食べてません(パンは食べたけど)」のような、加藤厚労大臣のかわし方(上西充子) - Y!ニュース(2018年5月7日)
https://news.yahoo.co.jp/byline/uenishimitsuko/20180507-00084931/

 その「ご飯論法」という言葉をまた私が引き受けて、積極的にツイッターで広めていったという経緯があります。

 なぜこれを広めたかというと、そういう不誠実な論点ずらしが分かりにくい形で行われていることを、分かっていただきたい。分かっていただくことによって、そういう手法を許さないという共通理解を広げていきたいと思ったわけです。

 皆さん、「セクハラ」という言葉、これは、昔はなかったんですね。「セクハラ」という言葉がないときには、例えば卑猥な言葉を投げかけられる、あるいは肩をたたかれる、そういうことが嫌だと思っても、それを一つ一つ説明して嫌だと言うことは、なかなか難しい。「え?なんでそんなこと、嫌なの?」と言われてしまう。でも、「セクハラ」という言葉が広がったことによって、「あ、これをしたらセクハラになるかな」とか、「これ、セクハラですよ」と言えるとか、共通理解ができることによって、その行為が抑止されていく効果があったと思うんです。
 それと同じような効果を私は、「ご飯論法」という言葉を積極的に広めることによって、ねらったというわけです。

 「ご飯論法」という言葉は広がったんですが、また朝ごはんのたとえは広がったんですが、実際の審議と照らし合わせて、というところは、なかなかテレビ等ではとりあげられていないので、実際のところ「ご飯論法」という言葉を念頭において、「あ、ここに論点ずらしがあった!」ということを見つけていただけるかどうか。
 今回、2つの国会審議を、皆さんに実際に見ていただこうと思います。どちらも働き方改革をめぐる国会審議です。
 論点ずらしはどういう場面で行われるか。政権側にとって、都合の悪い場面で行われます。

***

<3:国会で言及された「ご飯論法」>

【上西充子(法政大学教授)】
 朝ごはんにたとえたツイートは5月の初めだったんですが、それにすぐに「ご飯論法」という名付けがされ、積極的に広めたところ、5月の半ばには国会の中で、野党の議員から「ご飯論法」という言葉が言及されるようになりました。
 そして7月20日、立憲民主党の枝野代表が内閣の不信任決議案を提出した際に、2時間43分の長きにわたる演説を行い、このように書籍化(『枝野幸男、魂の3時間大演説』)もされているのですが、その中で不信任の理由の5番目に「ごまかしだらけの答弁」「民主主義を無視した強行採決」というのがあり、その中でもまた、「ご飯論法」という言葉が言及されています。
そのように、「ご飯論法」で国会審議を乗り切ろうとする、そういうことは国会として許されないんだということが、枝野代表によっても言及されたという次第です。

***

■2018年7月20日 衆議院本会議

【枝野幸男議員(立憲民主党)】
 ご飯論法とか信号無視話法という言葉が、この国会を通じてちまたに出回りました。
 聞かれたことに答えるから議論になるんです。聞かれたことに答えないではぐらかすというのは、目先の論争では一瞬勝った気になって、言った人は気分がいいかもしれませんが、見ている人はみんな見ています。
 結果的に、聞かれたことに答えない、全部ずらした、ごまかした答弁をしているということで、加藤厚生労働大臣そして安倍総理、ご飯論法と世の中からあざ笑われる結果となっています。

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<4:加藤厚生労働大臣の「ご飯論法」>

 では実際に、国会答弁の中の「ご飯論法」をご覧ください。はじめは、加藤厚生労働大臣の「ご飯論法」です。

 2018年の3月。野村不動産において裁量労働制の違法適用があり、労働局が特別指導を行っていたんですが、実はその特別指導の背後に、裁量労働制を違法適用されていた男性が過労自殺されて、労災認定がされていたことが、(2018年)3月4日の朝日新聞によって報じられました。
 この日は日曜日だったんですが、その翌日の3月5日(月)の参議院予算委員会で、石橋通宏議員がこの問題を取り上げています。加藤大臣の答弁に注目してください。
 まずは字幕なしで、皆さんが石橋議員の立場に立ったつもりで、答弁を注意深く、お聞きください。

***

■2018年3月5日 参議院予算委員会

【石橋通宏議員(立憲民主党)】
 野村不動産の件についてお伺いしたいと思います。
 日曜日の朝日新聞の朝刊1面トップ、裁量労働制、野村不動産の裁量労働制、まさに昨年末(2017年12月)に発表された、問題となった違法適用、この対象になっていた労働者の方、50代の男性社員、2016年9月に過労自殺をしておられた。昨年、ご家族が労災申請をされて、まさに特別指導の結果を公表された(2017年)12月26日、その日に労災認定が出ていたということです。
 総理、この事実はご存じでしたね?

★特別指導の結果の公表日に労災認定があったことを知っていたか?★

【金子原二郎委員長】
 安倍内閣総理大臣。

【安倍晋三内閣総理大臣】
 まずですね、ちょっと厚労大臣から答弁、この件については政府の対応について答弁させていただいたのちに、私から答弁させていただきたいと思います。

【金子原二郎委員長】
 加藤厚生労働大臣。加藤厚生労働大臣。

【石橋通宏議員(立憲民主党)】
(いやいや、委員長。総理、総理に、知ってたかと。総理。総理。総理。)

【金子原二郎委員長】
加藤厚生労働大臣。

【安倍晋三内閣総理大臣】
 これは、特別指導についてですか? 特別指導について報告を受けたということですか?

【金子原二郎委員長】
 速記を止めてください。速記を起こしてください。

【安倍晋三内閣総理大臣】
 特別指導については報告を受けておりましたが、今のご指摘については、報告は受けておりません。

【石橋通宏議員(立憲民主党)】
 安倍総理は報告を受けていなかったと。加藤厚労大臣は、もちろん知っておられたんでしょうね?

【加藤勝信厚生労働大臣】
 それぞれ労災で亡くなった方の状況について逐一私のところに報告があがってくるわけではございませんので、一つ一つについてそのタイミングで知っていたのかと言われれば、承知をしておりません。

【石橋通宏議員(立憲民主党)】
 知っておられなかったと、この事案。

***

 おわかりでしたでしょうか。次には、字幕つきで、このやりとりを見ていただきます。
 石橋議員の質問は、こういうものでした。特別指導の結果の公表日(2017年12月26日)に、労災認定があったことを知っていたか、という問いかけです。
 安倍首相と加藤大臣の答弁を、字幕つきでご覧ください。

***

(上記と同じもののため、省略)

***

 加藤大臣は、「承知をしておりません」と答弁していました。それを受けて石橋議員は、「知っておられなかったと、この事案」と、答えています。
そのように、承知していなかったと聞こえる答弁でしたので、翌日の報道各紙でも、加藤大臣はこの男性の労災認定を知らなかったというふうに報じられました。
 しかしながら実際のところは、加藤大臣はこの答弁で、野村不動産の男性社員の労災認定については、知っていたとも知っていなかったとも、答えていなかったということが、後から判明します。
 この加藤大臣の答弁。もう一度、字幕つきで、見ていただきます。「それぞれ」「逐一」「一つ一つ」「そのタイミングで」と、勝手に条件をつけて、答弁していることがわかります。ご覧ください。

***

【加藤勝信厚生労働大臣】
 それぞれ労災で亡くなった方の状況について逐一私のところに報告があがってくるわけではございませんので、一つ一つについてそのタイミングで知っていたのかと言われれば、承知をしておりません。

【石橋通宏議員(立憲民主党)】
 知っておられなかったと、この事案。

***

 つまり加藤大臣は、一般論を答えていたということです。
 もちろん石橋議員は、一般論を聞いていたわけでは、ありません。野村不動産で裁量労働制を違法適用されていた、その男性の過労自殺、労災認定を知っていたのかと、尋ねていたわけです。
 にもかかわらず、論点をずらして一般論で答えていた。ここに加藤大臣の、非常にわかりにくい形での「ご飯論法」、論点ずらしがあったということです。
 石橋議員は、「知らなかったのですね」と確認しているのですが、それに対して、「いや、知っていました」と、訂正はしていません。誤解をしたまま、そう受け取られることが好都合だから、そのように、あえてだますような答弁をしたということです。

 この同じ3月5日の午後に、もう一度石橋議員が、「知らなかったということでいいのか」と加藤大臣に問いかけています。
 ここでもやはり加藤大臣は、「いや、知っていた」という風には、答えません。どのように答えたか、ご覧ください。

***

■2018年3月5日 参議院予算委員会

【石橋通宏議員(立憲民主党)】
 午前中に、野村不動産の過労死事案について総理も大臣も知らなかったと。これ、大臣、「知らなかった」で、さらっとでいいんですか。大臣にこのことが昨年(2017年)12月26日の段階で報告として上がっていなかったことについて、大臣、これ大問題だと思われませんか?

【加藤勝信厚生労働大臣】
 先ほど申し上げましたように、過労死等について、年間100を、200を超えるものがあるわけでありますけれども・・・いや、トータル、足すとですね。それについて一つ一つ事案が上がってきているわけではないということでございます。

【石橋通宏議員(立憲民主党)】
 これ、大臣、野村不動産の件は(東京労働局長が12月25日に)特別指導に入っているんですよ。じゃ、特別指導のきっかけは何だったんですか、大臣。

【加藤勝信厚生労働大臣】
 それぞれの事案、どういうきっかけで監督指導、これは特別監督指導ですが、しているということについてはコメントを差し控えさせていただきたいと思いますが、一般論として申し上げれば、様々な情報、あるいは過労死についても、あの・・・労災についても過労死等のことが懸念、懸念されるというか、過労死等につながっている、こういったことについては、それも一つのきっかけとして監督指導が一般的には行われていると、こういうように承知をしています。
***

 この午後の答弁でも、加藤大臣は一般論に終始していました。
 このような大きな事案では、大臣にも労災認定については、報告は行っているはずなんですが、そのあとの野党の追及の中でも、「労災の申請を知っていたのか」、「認定を知っていたのか」、「いつ知っていたのか」という追及に対しては、「個別の事案についてはお答えできない」ということで、常に答弁をそらし続けました。

***

<5:安倍首相の「ご飯論法」>

 次に安倍首相の、論点ずらしの「ご飯論法」を見ていただきます。こちらも素材は、働き方改革の国会審議です。
 2018年5月23日の衆議院厚生労働委員会。ここで柚木道義議員が、「過労死を考える家族の会」の方々の、この法案に対する反対の声を伝えました。

 働き方改革関連法案は、時間外労働に上限規制を設ける、このような規制強化の部分と、高度プロフェッショナル制度という、労働基準法の規制を外した働かせ方を使用者に可能とさせる規制緩和の内容とが、「抱き合わせ」で入っていました。
 高度プロフェッショナル制度によって労働時間の規制を外してしまうと、残業代を払わないで長時間、働かせることができてしまう。それは過労死を増やしてしまう。なので、「そのような法改正は認められない、この内容(高度プロフェッショナル制度)は法案から外してほしい」と、「過労死を考える家族の会」の方々が訴えていたわけです。

 その方々が傍聴している場で、柚木議員が安倍首相に対して、その問題を伝え、その「過労死を考える家族の会」の方々の声を伝えて、高度プロフェッショナル制度をこの一括法案から削除をするようにと、強く求めました。
それに対する、安倍首相の答弁の中に、重大な「ご飯論法」が潜んでいます。

 一見すると安倍首相は、その遺族の声に応えるような答弁をしています。
非常にわかりにくいんですが、その中にある「ご飯論法」を、ぜひ、見つけてみてください。まずは、字幕なしでご覧ください。

***

■2018年5月23日 衆議院厚生労働委員会

【柚木道義議員(国民民主党)】
 過労死家族会の寺西笑子代表が、昨日もこの場で、総理、資料の1をごらんください。安倍総理への面会要請をちょうど一週間前になされて、そして、この委員会での質疑も経て、金曜日の夜に安倍総理にそのことが伝わっているというのは、きょうも答弁で確認をされています。
 この面談の御依頼、安倍総理に対してですね。長時間労働を是正し、過労死をゼロにするという決意を繰り返し安倍総理は語っておられますが、私たちは、高度プロフェッショナルなど、逆に過労死をふやしかねない改革が法案に含まれていることに強い危機感を持っていると。そして、万が一にも、過労死をふやす法案が成立することは絶対にあってはならない、過労死で愛する家族を失い、地獄の苦しみを、失うのは私たちだけでたくさん、過労死防止のために私たちは人生をかけて活動していると。
 残りの人生をかけてずっと活動をされてこられている方も、たくさんきょうおいでです。そういう皆さんの声、しかも、ぜひとも私たちの声を、直接ですよ、直接お聞きいただきたく、切に面談をお願い申し上げますということでございます。
 安倍総理、まだお会いいただけていないとお聞きしていますが、採決の前にせめて、きょうも、過労死を防ぐ協議会が厚生労働省であって、その後、必死の思いで、ここに来れば総理にちょっとでも会ってもらえるかもしれないという一縷の望みをかけて来られているんです。
 採決の前に、ちょっとでもいいです、ぜひ面談をしていただく。御答弁をお願いします。

★「私たちは、高度プロフェッショナルなど、逆に過労死をふやしかねない改革が法案に含まれていることに強い危機感を持っている」★

【安倍晋三内閣総理大臣】
 委員会の運営については委員会がお決めになることでありまして、私が意見を述べることは差し控えたいと考えております。
 過労死、過労自殺の悲劇を二度と繰り返さないとの強い決意であります。政府としては、全国過労死を考える家族の会の皆様を含め、過労死をなくしたいとの強い思いを受けとめ、罰則つきの時間外労働の上限を設けることなどを内容とする働き方改革関連法案の成立に全力を挙げているところでございます。
 これはまさに、ずっとできなかったのでございますが、いわば初めて労使が合意をして、三六協定でも超えられない上限を設けた。これは罰則つきで設けたということでございます。
 御指摘の、全国過労死を考える会からの面会の御要請については、政府として受けとめて検討した結果、働き方改革関連法案に対する御意見であることから、法案の担当省庁であり、その内容、経緯等を熟知している厚生労働省において承らせていただくことの結論に至ったものであります。
 私としては、そうした御意見については、法案を担当する厚生労働大臣ないし役所からしっかりと承りたいと考えております。
 いずれにいたしましても、過労死をなくしたいとの思いをしっかりと受けとめ、全力を尽くしていく考えでございます。
***

 もう一度、同じやりとりを、今度は字幕つきで、見ていただきます。
 柚木議員の指摘は、高度プロフェッショナル制度を法案からはずしてほしい、というものでした。それに対して安倍首相は、高度プロフェッショナル制度について、触れているのか、触れていないのか、字幕を見ながら、ご覧ください。

***

(上記と同じもののため、省略)

***

 柚木議員は、「高度プロフェッショナルなど、逆に過労死をふやしかねない改革が法案に含まれていることに強い危機感を持っている」と。その声を伝えたわけですが、安倍首相は、「過労死の悲劇を二度と繰り返さない」という話を、最初の方と後の方に繰り返して、でも実はその間に、「など」という言葉で、高度プロフェッショナル制度を含んだ形での働き方改革の法案について、触れていました。
 つまり高度プロフェッショナル制度は、「など」の中に隠されたということです。その部分を、字幕つきで、ご確認ください。

***

【柚木道義議員(国民民主党)】
 長時間労働を是正し、過労死をゼロにするという決意を繰り返し安倍総理は語っておられますが、私たちは、高度プロフェッショナルなど、逆に過労死をふやしかねない改革が法案に含まれていることに強い危機感を持っていると。そして、万が一にも、過労死をふやす法案が成立することは絶対にあってはならない、過労死で愛する家族を失い、地獄の苦しみを、失うのは私たちだけでたくさん、過労死防止のために私たちは人生をかけて活動していると。

***

【安倍晋三内閣総理大臣】
 過労死、過労自殺の悲劇を二度と繰り返さないとの強い決意であります。政府としては、全国過労死を考える家族の会の皆様を含め、過労死をなくしたいとの強い思いを受けとめ、罰則つきの時間外労働の上限を設けることなどを内容とする働き方改革関連法案の成立に全力を挙げているところでございます。
 これはまさに、ずっとできなかったのでございますが、いわば初めて労使が合意をして、三六協定でも超えられない上限を設けた。これは罰則つきで設けたということでございます。

***

 今の安倍首相の答弁。「政府としては、全国過労死を考える家族の会の皆様を含め、過労死をなくしたいとの強い思いを受け止め、罰則つきの時間外労働の上限を設けること『など』を内容とする働き方改革関連法案の成立に全力を挙げているところ」だ、と。

 時間外労働の上限を設ける、これは、過労死家族の会も求めています。上限の水準については、意見がありましたけれども、それ(上限)は求めていました。
 けれども高度プロフェッショナル制度を設けることは、求めていません。削除を求めていました。
 にもかかわらず、家族の思いを受け止め、過労死をなくしたいとの強い思いを受け止めて、時間外労働の上限をもうけること「など」を内容とする法案を成立させる。

 これは、過労死家族の会の方、この傍聴に来ていた過労死家族の会の方にとっては、あきらかに不誠実な答弁です。そのことは、傍聴されていた方には、わかったはずです。
 けれども、この答弁を最初にただ、見た人は、おそらくは、「過労死の悲劇を二度と繰り返さない、そのために働き方改革の法案を成立させるんだ」と、言葉通りに、それを受け取ったと思います。

<5:終わりに>

 このような不誠実な国会答弁。あたかも、問題は何もないかのような国会答弁。これによって、野党の反対が強いこの働き方改革の一括法案を、通してしまったわけです。
 野党の側は繰り返し、高度プロフェッショナル制度は過労死を増やす、長時間労働を助長すると批判をしたわけですが、そのたびに安倍首相は、あるいは加藤厚生労働大臣は、この法案で時間外労働の上限規制を設けるんだと、70年の大改革なんだと、ポジティブな面だけを出して、誠実に答えているかのように装ってきました。

 このように、働き方改革関連法案の中の不都合な部分、注目されたくない部分。裁量労働制の拡大や、高度プロフェッショナル制度の導入。ここを隠すために、論点ずらしの答弁が行われたわけです。
 それがずっと続いたあとで、強行採決をされようとしたので、最初にご紹介した石橋議員の「審議しても、審議しても、議論が深まらない」という反対討論、これが行われたわけです。改めてその言葉を、ぜひ実感してください。

***

■2018年6月29日 参議院本会議

【石橋通宏議員(立憲民主党)】
 審議しても審議しても議論が深まらないんです。
 委員会での審議を通じて私たちは法案の数々の問題点を明らかにしてきました。その多くは、これまで安倍総理や加藤厚労大臣が国民に対して説明してきた法案の目的やメリットと完全に矛盾する問題だったんです。だからこそ、政府は、丁寧かつ真摯に答弁する責任があったはずです。
 それにもかかわらず、政府の答弁は、衆議院段階からの答弁をテープレコーダーのように繰り返すばかり、加藤大臣は最後までご飯論法、これで国民の理解や納得が得られるわけがない。

***

 このような論点ずらしの「ご飯論法」は、働き方改革に限らず、例えばモリカケ問題に関しての安倍首相の答弁や、官僚の答弁にも横行していると指摘されました。
 「ご飯論法」という言葉によって、「これから答弁の中に、『ご飯論法』が潜んでいるかもしれない」という心づもりをもって国会答弁を見ると、そのカラクリが、多くの人にわかるようになりました。
 しかしながら秋の臨時国会においても、この論点ずらしの「ご飯論法」は繰り返されています。
 やはり、不都合な問題には向き合いたくない。不都合な問題を取り上げられたくない。その中で、「ご飯論法」を使って切り抜けようとする。審議時間を空費しようとする。そのような動きが続いています。

 この動きを封じていかなければ、まともな国会審議は、なりたちません。ぜひ皆さん、「ご飯論法」はどのようなものか、実際の答弁から、今回、知っていただいたと思いますので、今後の国会審議も、この観点からも、ぜひご注目ください。


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国会パブリックビューイング

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