議事メモ:第148回労働政策審議会労働条件分科会(2018年10月31日)(高度プロフェッショナル制度に係る省令・指針に関する検討の第2回)


【注記】
 以下は、10月31日に行われた「第148回労働政策審議会労働条件分科会」を傍聴された全労連の伊藤圭一・雇用労働法制局長がメモした内容をご提供いただき、転記したものです。議論の概略を把握するために、ここで公開しているものです。
 その場でパソコン入力された範囲でのメモですので、書き洩らしや誤認等がありうる可能性があります。その点をあらかじめご了解ください。正式な審議内容は、後日厚労省より公開される議事録をご確認ください。
審議情報
第148回労働政策審議会労働条件分科会
平成30年10月31日(水)
15:00~17:00
中央労働委員会講堂
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000024580_00008.html
<配付資料>
資料No.1「高度プロフェッショナル制度」の導入フロー
資料No.2高度プロフェッショナル制度の対象業務(素案)
参考資料No.1今後御議論いただく項目(第147回(平成30年10月15日)労働条件分科会資料No.1)
参考資料No.2省令で定める事項(素案)(第147回(平成30年10月15日)労働条件分科会資料No.2)
参考資料No.3働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(抄)
参考資料No.4今後の労働時間法制等の在り方について(建議)(抄)
参考資料No.5働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱(抄)
参考資料No.6衆議院における附帯決議(抄)
参考資料No.7参議院における附帯決議(抄)
参考資料No.8参照条文
参考資料No.9高度プロフェッショナル制度の概要
労働条件分科会委員名簿(2018年7月10日現在)
(第143回労働政策審議会労働条件分科会 参考資料4より)
<公益代表>
◎荒木尚志:東京大学大学院法学政治学研究科教授
安藤至大:日本大学経済学部教授
川田琢之:筑波大学ビジネスサイエンス系教授
黒田 祥子 :早稲田大学教育・総合科学学術院教授
平野 光俊: 神戸大学大学院経営学研究科教授
水島 郁子 :大阪大学大学院高等司法研究科教授
〇守島 基博 :学習院大学経済学部経営学科教授
両角 道代 :慶應義塾大学法科大学院法務研究科教授
<労働者代表>
川野 英樹 :JAM副書記長
櫻田 あすか: サービス・ツーリズム産業労働組合連合会副事務局長
柴田 謙司 :情報産業労働組合連合会書記長
中川 義明 :全日本自動車産業労働組合総連合会副事務局長
八野 正一:UAゼンセン副会長
村上 陽子 :日本労働組合総連合会 総合労働局長
弥久末  顕: 日本基幹産業労働組合連合会事務局長
世永 正伸 :全日本運輸産業労働組合連合会中央副執行委員長
<使用者代表>
秋田 進 :日本通運株式会社取締役常務執行役員ロジスティクスエンジニアリング戦略室、事業収支改善推進部、広報部、総務・労働部、業務部、NITTSUグループユニバーシティ 担当
齋藤 貴久:トヨタ自動車株式会社人事部労政室企画グループ長
早乙女 浩美: 株式会社小田急百貨店人事部 教育・採用担当統括マネジャー
佐久間 一浩: 全国中小企業団体中央会事務局次長・労働政策部長
佐藤 晴子:東日本旅客鉄道株式会社新潟支社総務部人事課長
杉山 敦志 :株式会社千疋屋総本店取締役総務人事部長
松永 恭興: 株式会社日立製作所人財統括本部人事勤労本部トータルリワード部長
輪島 忍 :一般社団法人日本経済団体連合会労働法制本部長
(※以下が伊藤さんの議事メモ)

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20181031労働条件分科会メモ

<欠席>
公益:安藤、黒田、両角
使:秋田、佐藤
労:なし

事務局 資料1を説明(略)

荒木 では質問を。

労 世永 ステップ1の労使委員会の設置について質問する。p2指針で定める事項の素案の2ぽつ、委員の指名にあたり対象労働者及びその上司を含めると。対象となりうる労働者の意見を聞くことについてはいいと思うが、適用される評価制度や賃金制度、業務の具体的内容について当事者が議論するということか。質問の2。省令で定める事項の1ぽつ。委員の指名は、監督又は管理の地位にある者以外の者について行わなければならないと。これは、事業場の過半数労働組合もしくは過半数代表者という理解でよいか?

使 輪島 全体のイメージつかみにくいと前回指摘させていただき、今回ステップ1(S1)以降、どうするのか、省令・指針どう規定されているのかイメージできる資料をつくっていただきありがたい。S1の労使委員会は企画業務型裁量労働制における方法と同じで異論はない。対象労働者の範囲の4P。建議を踏まえたものだと思う。職務記述書については様式の具体的なイメージを示していただいて、労使が理解しやすいようにしてもらいたい。

労 弥久末 要望だが、p10の労使委員会の開催頻度・時期。決議が行われた日から起算して6か月以内ごとにと。少なくとも6か月以内ごとに開催することを指針に規定すべきではないか。

労 川野 労使委員会の委員が適切に選出されるかが重要。今回の資料にはないが、付帯決議の15,16番には適正な運用が必要とされている。過半数労働組合がない場合は、民主的な手続きにより選出された過半数代表者でなければならない。民主的な手続きを経ていない場合は無効と明記すべき。労使代表が1名ずつではよろしくない。各2名でも認められないといったことを指針に明記すべき。原則的には労使各5名がわかりやすい。企画業務型裁量労働制についても同様にすべきと考えている。

使 佐久間 質問、p2の指針で定める事項。委員の指名にあたり、対象労働者及びその上司を含めるとあるが、省令で定める事項は管理監督者以外のものとある。この違いについてうかがいたい。
 p4。決議事項の2の指針で定める事項。職務を変更する場合には再度合意が必要であることと。対象労働者の合意だけでなく、労使委員会の合意が必要なのか?
 p7インターバル11時間以上となっている。ここで決めれば高プロに関してはそうなるが、他の働いている労働者についてはどうなるのか?休日の関係。とれたかどうかを管理しなければならない。ちゃんととらないと制度からはずれる。その場合、休日の予定をあらかじめ規定しなければならないということか。報告事項は6か月ごととなると、届出は報告のタイミングでいいのかどうか。教えてほしい。

事務 まず、p2。委員の指名は監督又は管理の地位にあるもの以外について行われなければならないというのは、過半数代表者に関する事項について。職務記述書には、3つのイメージで仕様を定めている。
 業務の内容、責任の程度、求められる水準(成果)。それをきちんと決まったフォームまで定めることまでは考えていないが、それぞれ、どのように書けばよいのかはわかりやすい例を示していきたい。
 3点目。労使委員会の開催頻度、時期についてだが、企画業務型の労使委員会では開催頻度は決議事項ではないが、運用通達では、決議する段階で1回。6か月ごとの定期報告時に1回としている。国会でも適切な運用のためには労使委員会のチェックが必要とされているので、年2回の開催ということで進めたいと考えている。
 4点目。労使委員会の人数。1名ずつは望ましくない。労使協定と別に規定しているのは、そのためである。複数の者による協議で決める。5分の4以上の決議にかかわって、労使各5名との意見もあったが、ここの言い方はそういうものではない。4人委員であれば、1人が反対すれば、5分の4を満たさないとなる。1名ずつは適切ではないが、5名いなければならないというものではないと考えている。
 5点目。上司と管理監督者について。委員の指名にあたり、過半数代表者が指名する場合、管理監督者以外にする。したがって、管理監督者を委員にするのは適当でない。対象労働者および上司を含めるという趣旨は、実際にその制度で働く人とその労務管理にあたる上司、つまり当事者に近い人を委員にしていただくという趣旨。それで議論いただきたい。
 6点目。インターバル規制11時間。今回は高プロについてであり、他の労働者もそうせよということではない。設定改善法においては時間規定はしていない。同じ事業場でも違う時間の規定も労使の話し合いで決めてよいという趣旨。
 7点目。休日確保は確実に取得できるよう、労働者が予定を確定し使用者に伝えることを指針で定めたい。休日がきちんととれているということが使用者にも確認できるようにして、義務の履行を確保したい。
 8点目。最後、6か月ごと、その間に撤回があれば、それを報告いただければ足りるという考え。

使 輪島 インターバルについて使用者側としてお願いしたい。高度プロにおけるインターバル11時間については是とするが、過労死大綱では導入目標10%が掲げられ、過労死を防ぐために睡眠時間を確保するという視点から大切と思っている。普及させていくのが重要で、とにかく普及させる観点から、11時間なんだということでなく幅の広いものとして労使で工夫していくとしている。3年後の過労死大綱見直しに向け、政府としても強く指導を。

労 八野 輪島委員の意見だが、過労死防止大綱は過労死・過労自殺防止のためという意味付けでインターバルが入っている。今回とは違う次元のことと思う。意見を言いたいのは、労使委員会の要件。指針で定める事項p2。対象者と上司を含めることを検討するとあるが、対象労働者が委員会に入るということは疑問だ。P1のうち、1~10項目を労使委員会で決める。決議の内容や同意した場合の賃金、評価制度、同意の撤回などを決めていく。そうなると対象となると思われる労働者、まだ、決まっていないわけだから、その人が入ってしまって様々決まってきた場合、これは受けられないということが言えるのか。そうではなく、労使委員会が責任もって10の決議事項を決め、対象労働者と話をして、これはどうなのかとやるべきではないか。ただし、p7選択的健康確保措置の指針で定める事項で、対象となりうる労働者の意見を聴くことが適当であるとある。何かある場合の事前のヒヤリングはいい。しかし、労使委員会にいれるのは適切ではない。しかも、上司も入るというが高プロは部署ごとに制度をいれるのか。それとも対象業務があり、それについて決めるのか。上司が特定されるのか。質問だ。

事務 インターバルについてはそうしたい。八野委員の対象労働者と上司の件、今回の提案の趣旨は、実際に当事者となる人の意向を反映すべきとの趣旨だったが、関わった以上ひけなくなるという点が指摘されたと思う。検討したい。上司も部署を特定ということでない。誤解を招いたようなので検討したい。

事務 職務を見直す際、個別に合意を採る。労使委員会の決議に立ち戻ってやり直すのでなく、当事者間でそれぞれ話し合って修正してもらう。

使 佐久間 職務の変更か?大きな枠の業務か?

事務 法律上の対象業務と個々の対象労働者の職務は別。先ほどの話は業務対象は当然のことで、個々の職務について、合意のし直しが可能ということ。それは業務の見直しではないので、決議のやり直しは必要ない。

労 八野 業務とはなにか。職務とはなにか。

事務 職務は「業務の内容」と「責任の程度」。5つの対象業務があり、その中で具体的に、その方がなにをやるのか、本人が行う業務の内容と責任の程度が職務となる。業務は広く、職務はそれぞれその中で具体的になにをやるかという狭いもの。

労 八野 職務の合意と年収要件で対象要件は決まる。対象労働者の範囲を変更するとも読みとれると見たときに、再度、労使委員会で合意をえるということが必要なんだと認識してよいか?

事務 先ほども申し上げたが、対象業務の範囲内での職務の変更であれば、決議・合意は必要ない。予め職務を決めておいて、その後変更することなく進めるというルールで決議した場合は、その修正は決議に反するからやりなおしとなるが。一般的には、法律上さだめられた業務で決議をし、個々の職務に変更があってもただちに決議を見直す必要はないと考える。

荒木 はい。ほかに何か。

労 八野 違う観点で。対象業務のところ3P。対象業務に従事する時間に関し使用者から具体的な指示を受けて行うものを除くとあるが、これは労働者に労働時間の裁量権があるととらえていいのか。

荒木 はい、事務局

事務 そのような趣旨である。

労 八野 労働者に裁量権がある旨がどこにも書いてない。きちんと記載すべき。次に同じ個所だが、業務に従事する時間について、使用者から具体的な指示とある部分、具体的な指示に限る必要はないのではないか。始業・終業時間、深夜、休日労働などの業務命令をおこなってはならないとあるので、具体的な業務命令は、できないということになる。働き方に関する業務命令の在り方を、付帯決議にあわせて表現すべき。使用者は始業・就業、深夜、休日労働について業務命令をおこなってはならない。また、自由な働き方をうばうような成果や納期を求めてはならないと。省令に定めるべきだ。

事務 政府としていただいている付帯決議は重く受け止め、すべて誠実にうけいれたい。そのことを申し上げておく。
その上で、国会での働き方の時間配分、これは労働者が自ら決定すると説明してきた。労働者の労働時間の自由、裁量があると書くべきという点だが、労働者に裁量があるとしても、それを妨げる行為が使用者にあれば、労働者の自由はなくなる。そこで、我々は、労働者の自由を妨げる行為を排除する、そのことを正面から書いた。
 2点目、時間に関する指示と認められるもの、いつまでといわないまでも、とてもこなせない業務量をあたえる場合も裁量を奪うもの。それを対象業務として認めるわけにはいかないとしたい。具体的・明示的な指示がなくても、実際に業務量や求める成果によって、裁量がないと認められるものは、対象ではないとしたい。これらは法文には書ききれないので、指針にそのあたりの解釈を加えたい。

荒木 ほかに?

労 川野 使用者が高プロ適用労働者に対し、9時に出勤せよとか、いつまでに報告せよと指示をした場合、ただちに労働者は、高プロからはずれて、その場合は32条にもどるということでいいか。

事務 始業時間や残業命令、時間に関する具体的な指示をすると。そういった対象業務にあたらないとなった場合は、原則通り32条適用となる。

労 柴田 年収要件について再度聞きたい。付帯決議、真に使用者に対して交渉力のある労働者であるように議論をおこなうこととされている。3年前の分科会の議論をおいて、国会での決議をふまえれば、妥当性を再度、この場で審議する必要性があると思うが、その点どうか。

事務 1075万円については先ほどふれたようにH27年に法律案要綱について議論した場合、参考に示した。もちろん、参考ではあるが、法律をどう担保するかということで、3倍を相当程度上回るとして条文がつくられ、国会で成立したものと認識している。

労 柴田 それの上で、真摯かつ丁寧な議論をおこなうことと認識している。パートも含まれているとおっしゃったと思うが、パート労働者は定年再雇用も増えて、増えていく。変動要素が大きくなるので除いて、算定根拠を示し、水準を確立すべきと考えるがいかがか。

事務 この3倍を相当程度上回るというのは、パートも含めて考えた法規定。もともと1075万円という数字はこの分科会でも考えられていて、3倍とした。毎月勤労統計の数字はかわる。相当程度上回るというのは幅があり、頻繁にかえるものではなく、変更の必要性が正じた場合、その都度この分科会を開いてご議論いただいて、検討するということになる。統計がかわるたびに変更するものではない。

労 中川 イメージを教えていただきたい。時間と成果がリンクしないということなので、定量的なものでない、定性的なものという理解でいいか。成果を満たさなかった場合どうなるのか。それを理由に賃金を減額することはないのか。

事務 今回の年収要件に入る金額は確定したもの。業績成果で払われなくなるものは、対象ではない。懸念はない。一方、求められる職務。職務記述書に書かれるものと考える。業務のボリュームコントロールを、ここでしていく。さらに希望する人のみとすることも担保する。
引き続きご議論いただきたい。

荒木 もうひとつの資料があるので、移りたい。

労 村上 前回の資料、途中までしか議論できていない。今日の資料もまだまだ議論させていただきたいと労側は考えている。まだ、確認したいことがある。

荒木 ならばもうしばらく資料1について議論する。

労 村上 p5 健康管理時間について、記録の方法について、国会でも議論あった。6月14日の労働基準局長によれば、日々の記録は必要。医師による健康チェックのために集計しうるもの。守秘義務等を想定していると。こういったことも指針に明記されるのか。

労 八野 健康管理時間の把握について、国会審議のなかで加藤大臣が高プロにおいては、使用者が健康管理時間を把握することを要件としており、実施していない場合は、実施していない時点までさかのぼって、はずれると。その際、対象者だけ無効となるのか、適用された業務自体が無効となるのか。

労 世永 p4 対象労働者は対象業務に常態として従事していることが原則とあるが、どういうことか?

労 弥久末 p4 言葉の解釈について。「使用者の一方的な指示により業務を追加することができないこと」でなく、「使用者の一方的な指示により業務を追加することができる内容を定めることはできないこと」とわかりにくいが、同義か?

労 櫻田 健康管理時間の把握について。p.5指針に定める事項、事業場外、やむを得ず自己申告する場合。直行・直帰であっても、スマホやPCでネット環境に接続できれば、社内システムにログインできるのではないか。直行直帰なら・というのが限定しすぎ。

労 柴田 休日確保について。制度適用開始時が算定の最初。また、国会議論でもあったが、はじめに4日連続でとって、あとは連続勤務というのは疲労がたまる。心身の健康をそこなってしまうが、そうなった場合も労働者の自己責任ではなく、使用者には安全配慮義務がかかるとみていいか。

荒木 いったん、事務局からお答えいただいて。

事務 健康管理時間について1点目はそのとおり。
 2点目、対象労働者ごとに要件判断する。他の労働者もきちっとされていなかったと監督官がみたら、広がるが。
 3点目、常に従事する業務は対象業務と。付随して事務作業するということはあるが、それはおいておいて、常に対象外の業務も常態としてやる場合ははずれる。
 4点目、ボリュームコントロールが明確になるようにしたい。
 5点目、趣旨はそのとおり。直行直帰する場合がすべて例外というのではい。ログイン・ログオフができない場合、ということ。誤解のないようにしたい。
 6点目、4週4日は制度開始から。連続勤務についてだが、指針ではわかりやすくp6、疲労の蓄積を防止することから適切に取得することとある。無理な連続勤務が続かないようにという気持ちをこめている。安全配慮義務は、高プロについても、使用者の義務として課される。

荒木 いったんここで資料1を終える。
事務局、資料の2説明を

労 川野 会長に確認。資料1の決議事項の内容は多岐にわたっており、決議について話したい内容がまだ残っている。このまま対象業務に入るのがよいのか?我々は決議事項を先にやりたいが。

荒木 事務局いかがか。

事務 丁寧な議論をしたいので、資料1でお願いする。

労 川野 決議事項の10。附帯決議29の中に「本人同意については、対象労働者としての要件充足を適正に確認するためにも、短期の有期契約労働者においては労働契約の更新ごと、無期又は1年以上の労働契約においては1年ごとに合意内容の確認・更新が行われるべきであること」と記載がある。合意内容を見直すことで決議の見直しも想定されることを考えると、有効期間は1年とすべきでないか。

労 村上 本日お答えいただけない場合は次回でもよいが、今回は全く新しい制度について議論している。本制度は労使委員会の決議と労働者の同意が必要ということで、使用者からの撤回・解除はできないということは国会のなかでも明らかにされていて、賃金の支払い義務は残っていることは明らかになっている。それ以外、制度から外れる場合の効果、道筋を確認したい。
いくつかケースをあげる。ひとつは成果を1年たたずに達成した場合、使用者はもういいやということで、一方的に解除できないにしても、故意に健康管理時間の把握を取らないなどした場合、賃金支払い合意はどうなるのか。
 2点目、故意でなく決議に定めたこと、104日の休日が取れなかった場合など、賃金支払い義務はどうなるのか。医師の面接指導の結果、高プロやめさせるべきとさせ、使用者が外すといった場合、適用労働者はどうなるか。健康問題で高プロから外せるとあるが、そうした場合、当該労働者の仕事はどうなるのか。指針で定める事項である労働者が同意を撤回した場合、事前に何も定めていない場合、当該労働者の処遇はどうなるのか。

労 櫻田 合意の撤回について確認したい。妊娠出産、育児、介護、病気に罹患した場合など、本人からだけ撤回されるという理解でいいのか?使用者からでなく。あと産前産後休暇、育児介護休業などを取得する場合は、高プロを本人が撤回して、そうするのか。申し入れ窓口のイメージは?撤回について、どのような手続きで進めるのが適当かを指針で示すべきではないか。

労 弥久末 p12同意の書面について「制度が適用される旨」とある。その「制度」の考え方だが、どのような業務を行っているのか、業務指示をおこなわないとか、どのような健康福祉確保措置があるのか、どのようなときに制度から外れるのかといった内容について説明するということでいいか。非常に多くの内容について理解すべきということになる。それも書面で確認ということでよいか。

労 世永 ステップ5、健康確保措置の実効性を確保するには、適用対象労働者ごとに、どのようなことを実施したかを記録すべきでないか。参院付帯決議では、医師が適切に面接指導をおこなうにあたっては、使用者から、健康管理時間や業務内容の情報提供が必要ではないか。

事務 1点目、川野委員の指摘の有効期間は決議事項。ここを何年にするかは、当審議会で決めていただく。1年なら1年でかまわない。ただ、1年とすべきかどうかは議論があるだろう。適切なタームで見直されるべきという趣旨で詳細をつめたい。
 2点目、村上委員、多岐にわたる。あらためて整理して報告したい。
 3点目、櫻田委員、同意の撤回はできるが、育児休業は法律でとれるもの。高プロのまま休業とってもよいのではないかと考える。高プロだから育児・介護とれないということはない。撤回の窓口は人事部できめてもらえばよいし、より申し入れをしやすいものをつくってもらってよい。それぞれで工夫を。
 4点目、p12制度が適用されるにあたっては、右の指針、本人同意にあたっても明示事項、賃金処遇、不利益取り扱い禁止などがある。
 5点目、p13の報告のさせかた、様式も考えていきたい。法制度が適切に運用されることが確認できるような仕組みにしていきたい。
 6点目、労安法で、使用者からの情報提供義務はすでについている。

労 弥久末 p4の質問。右のポチ3つめ。使用者の一方的な指示により業務を追加できないこと、ではいけないのか。

事務 ご指摘のとおり。そういった趣旨でわかりやすくしたい。

労 八野 川野委員の決議の有効期間は、労使で話し合ってとの答弁だが、これと、対象者の同意p12、指針に定める事項で、本人同意は短期有期は1年毎に確認を、とある。決議と同意の関係、これはどう考えたらいいのか。

事務 決議が1年でも、同意は年度当初からとは限らない。4月から1年という決議が、1年後やらないとした場合、本人が同意していても適用できなくなる。決議は毎年4月とし、外から優秀な人が途中で入って、高プロ適用としたと、その場合は途中からでも有効となる。決議と同意の有効期間は完全にリンクするものではない。

荒木 では資料2について質問意見を

労 川野 対象業務については、建議をまとめるまでの間に例示があった。深い議論されないまま、示されていた印象がある。具体的議論がないまま今日に至ったと考えるし、決まっていないのに報道された。この点は分科会でしっかり議論していきたいと労側は考える。時間と成果にかかわりのない業務ではないような印象をうける。いろいろな角度から正していきたい。

労 中川 それぞれ言いたいことはあるが、研究開発業務について。ひとことでいうと相当範囲が広い。製造業の技術畑のひとは全員入ってしまう。1年目2年目は指示されて動くが、相当ひろい。自動車で新しいモデルづくりに3~4年かかると。月ごとに技術評価会やイベントもあり、自由度はない。設計は工程管理されている。これらは対象外と思う。空飛ぶ自動車づくりといった研究は対象となるかもしれないが、要素技術や世の中にないもの、組み合わせ技術でないものという要素をいれるべき。
1,2年目は排除すると要件いれるべきと、前回申し上げた。就職してすぐに技術発揮して、交渉力もって使用者側と対峙できるか、という問題がある。やはり年数要件は必要。また、資格なり、そういった要件も必要だ。

労 櫻田 対象業務の要件としては、従事した時間と従事して得た成果が関連しないものとしているが、提示された5つの業務、ある種のひらめきやセンスを要する業務であっても、基本的な流れとしては、企画をおこなって、それにもとづいて調査分析などをする必要はある。時間を長く働けば得られる成果は多くなると考える。多くは、従事した時間と得られる成果との関連は通常高くないとは思われないので申し上げたい。

使 輪島 金融のところで指摘あった。基本的な考え方ということで。対象業務5つ示され、そのうち3つが金融関係だ。私どもはグローバルな観点から、より柔軟な時間法制が必要と考える。とくに日本では、今後、金融関係の職種、東南アジアに流出してしまうのではないか。東京を金融センターに位置付けているが、その地盤沈下が懸念される。あたらしい金融業務の仕事においては、最近、変化の進展が大きい。高度化、関連職種は流動的。さらに拡大していくとみる。まさに高度な専門性をいかし、性質上、従事した時間と成果が関連性がないと、あげられた3つの業務は考えられる。与えられた仕事を単にこなすのでなく、みずから主体的に働くということが3つの業務には多い。そうした業務に就き働いている人から見ても、健康管理には最大限配慮しつつ、金融ではとくに重要だ。

労 八野 意見として聞く。それは金融業界のビジネス戦略であって、高プロと結びつくかは疑問だ。対象業務としてここで明記し、事例が出ていると。業務というのは何を意味しているかを明確にすべき。ここで5つの名称が、先行して出てきたため、その業務で定めることは、なにかが明確でない。例示されている業務を縮小することもできるが、拡大されることもありうる。ここでの業務というのは、従事した時間と従事して得た成果の関連性が高くない、高度な知識を必要とし、というある意味、抽象的な法文から例示されている。普通に一般で働いている方も、職務給や能力給で働いている。従事した時間と関係なく、報酬をもらっている。評価されている。時間給ではない。その意味からも、業務を具体的に提示をし、そこでこういう例示を、としていかなければならない。
 私も対象労働者の話を聞いてきたが、研究開発のひとたちは、この定義では、ほとんど入ってしまう。より、具体的な提示が必要。

労 村上 質問だが、p2金融商品の開発業務に関して3点。対象とならないと考えられる業務として、金融サービスと金融商品と、あるがちがいはないか?※でディーリング業務に該当することがあるというが、境目がわからない。アクチュアリーは対象にならないとあるが、それなら保険業務は対象にならないということでいいか。

事務 業務についてはまず、丁寧に議論したいということを申し上げる。
中川委員からあった研究開発の指摘。ひとくちにいっても、作業工程が決まっているものもあるだろうと。スケジュールが使用者から与えられているものは、対象にならないとしている。その点に関しては、2番目、新技術でないものも除外としている。大卒1年目、2年目はどうかという点、高度な専門職の場合は、大卒時点でも相当高度な対象者はいるのではないか。相当な年収を保障することになるので、会社ごとに、決議で業務により、経験年数などをしばることは可能。しかし、一律に新卒を排除するのはいかがなものかと考える。
 櫻田委員の指摘。p1につけているのは、27年度建議で書かれている5つの業務を出発点でそれをさらに絞り込んでいこうというもの。1は時間との関連性、2は付帯決議の裁量性、これをもって、妥当性を検討していこうとしている。
 村上委員の指摘、p2。金融サービスは新たな商品開発でなく、マーケティングや営業をイメージしているが、表現検討する。売買、資産運用、これがディーリングとなることがあるがそれは商品開発にあたらないので、外した。アクチュアリーはあくまで、専門職であっても、商品開発の一部分にかかわるものなのではずした。しかし、保険商品開発が高プロにあたらないというものではない。

荒木 定刻になった、延長したくないが。

使 輪島 分科会長に確認するが、資料NO1は議論がすんだということでいいのか。労側からまだ意見があるというなら、文書提出などといったかたちで工夫していただきたい。

労 村上 先ほどの質問は次回にご回答いただくとのこと。その回答によっては、また質問もでるかもしれない。そういうことでお願いしたい。それ以外は、今後具体的な省令、指針がでたとき、また意見を述べる。