傍聴メモ:第2回裁量労働制実態調査に関する専門家検討会 (2018年11月2日)

【注記】
 以下は、11月2日に行われた「第2回裁量労働制実態調査に関する専門家検討会」を筆者が傍聴した際にパソコンに打ち込んだ内容を若干整理して公開するものである。
 傍聴席の中央、最前列で傍聴したが、マイクが各発言者の発言を十分にとらえない状態であり、かつ空調の音が発言をとらえることを妨げたため、終始、発言内容を聞き取りにくい傍聴であった(終了後、その点を事務局の方に伝えて改善を要望した)。
 そのため、以下の傍聴メモでは、聞き取れずに推測で補った箇所や、聞き取れずに書いていない発言もある。正式な審議内容は、後日厚労省より公開される議事録をご確認いただきたい。
 なお、9月20日に開催された第1回の議事録は、既に公開されている。
<会議情報>
2018年11月2日(金)
10:00-12:00
厚生労働省教養第6会議室
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000211189_00004.html
<参集者名簿>(第1回資料1)
小倉一哉  早稲田大学商学学術院教授
小島茂 公益財団法人連合総合生活開発研究所客員研究員
川口大司 東京大学大学院経済学研究科教授
黒田祥子 早稲田大学教育・総合化学学術院教授
西郷浩(座長) 早稲田大学政治経済学術院教授
鈴木重也 一般社団法人日本経済団体連合会労働法制本部統括主幹
樋田勉 獨協大学経済学部教授 → 欠席
※宮内竜也 総務省政策統括官(統計基準担当)付調査官 (※)オブザーバー
<事務局>(反時計回り)
審査解析室長
統計企画調整室長
政策統括官(統計・情報政策、政策評価担当付参事官)
総務課長
審議官(労働条件政策、賃金担当)
労働基準局長
労働条件政策課長
労働条件政策課調査官
労働条件政策課課長補佐
<配布資料>
議事次第
資料1 第1回検討会における主なご指摘
資料2 裁量労働制実態調査のイメージ(案)
参考資料1 開催要項
参考資料2 これまでの経緯について(第1回資料2)
参考資料3 裁量労働制に関するこれまでの調査について(第1回資料3)
参考資料4 『裁量労働制等の労働時間制度に関する調査(労働者調査及び事業場調査)(平成25年11月中旬~12月中旬実施)』の自由記述項目二次集計結果(独立行政法人労働政策研究・研修機構ウェブサイトより)

***以下、傍聴メモ***

事務局 樋田構成員、欠席。

西郷  本日の詰め方。事務局より、前回、皆さんからいただいたご意見を受けて作成いただいた「調査のイメージ」(資料2)に沿って議論を進めたい。まず、資料1と2について事務局から説明を。

事務局 資料1(第1回検討会における主なご指摘)の説明(略)。最初に属性をそろえるか、あとから属性により分析するか。最初に属性をそろえるのは、事業者に負担ではないか、というご意見もあった。事業場を通じた配布・回収は、回収率が上がるという意見と、むしろ回収率が下がる、という意見があった。
 資料2(裁量労働制実態調査のイメージ(案))の説明(略)。専門業務型では、協定は3年に1度を求めている。企画業務型は、半年に1回、報告を求めている。企画業務型は3000ほどなので、全数調査を予定。専門業務型は3万ほどなので、抽出調査を予定。一般事業場は、経済センサスで用いているデータベースから。
 調査方法(略)。回答を見られたくない労働者のため、オンライン調査システムも構築する。
 別紙の調査項目のイメージ。2012年JILPTの調査を参考に。まず事業場票(略)。下線は、裁量労働制適用事業場のみに聞く項目。特別手当・特別に休暇を設定している場合なども聞く。同意の撤回は、企画業務型単独のルールだが、専門業務型で独自にやっているところもあるので、尋ねる。労使委員会についても、企画業務型のみにかかってくる手続きだが、これも、専門業務型で導入している事業場についても聞く。
 次に、労働者票(略)。労働時間、1週間の労働時間を聞く。昨年同週の労働時間も。事業場票では1カ月の労働時間を聞く。1年以内に裁量労働制を適用された人を把握することができるので、適用の前後の変化を見ることができるように、1年という期間を設定した。

西郷 今日のメインは資料2に基づいて調査の設計について。また、調査の中身について検討すること。その前に資料1について、これだけは、ということがあれば。

小倉 資料1にあるように前回も言ったが、調査はあくまでも中立的に、政策誘導的にならないようにする必要がある。一部報道で、お役人のどなたか、裁量労働制の拡大を前提とすると報じられた。そのため、ここも政策誘導的な検討会のように報じられた。それは心外だ。あくまでこれは、実態をとらえる場。そうでないなら・・・(聞き取れず)。私は怒っている。

労働条件政策課長 この検討会はまさにこの実態、これを正確に把握する。その結果を踏まえて、具体的には労政審において、具体的な検討をする。その点は、国会の付帯決議にも明記されている。そのため、制度の拡大といったことは厚生労働省として念頭においていない。あくまで、実態を把握するもの。

小倉 調査については、こちらのベテランの先生方が実態を把握すると思うが、結果をどう出すかということがかかわってくる。データのクリーニングの段階から、最終的に集計して結果を出すところまで、ある程度オープンにして中立性を担保することも考えなければならない。その点で中立性が疑われることになれば、我々としても心外だ。

労働条件政策課調査官 実施の過程において、コンテンツが崩れないようにしっかりやっていきたい。また結果の検証の部分、まさに今国会での検討事項の1つ。この点も検討していきたい。

西郷 統計調査としてやることになった時点で中立的なものを目指すということ。審査(?)とかその審査の伝わり方についても、明確にしてほしい。

小島 裁量労働制の実態をどう把握するか、ゼロベースからの検討だと思っている。そういう意味では、従来、厚労省の実態調査、JILPTの実態調査があるが、それ以外にも先行調査がいくつかある。そういうものも全部出して、そういうものも参考にして、まずはまさに裁量労働制の実態は、と、そういう、よりいい調査を作っていくのも必要ではないか。
 かといって全部、(先行研究を)一から並べて、というのも大変だとは思うが、連合総研が2000年の3月に公表したものがある(「裁量労働制の適用可能性に関する調査研究報告書」 http://www.rengo-soken.or.jp/work/2000/03/251636.html)。2000年の4月に企画業務型が導入される直前の調査。どういう働き方をしているか、調査をして、それで、裁量労働制が求めている要件をどの程度満たす可能性があるか、といった調査。当時はなかなか、ホワイトカラーのサラリーマンに企画業務型を適用するのは極めて限定的だった。具体的な調査項目ならこれも参考にできる。また、JILPTは当然、あの調査は、先行調査を参考に作ってくるはず。調査項目、質問票については、先行調査を参考にしながら作ったほうがよい。
 もう1つ、JILPTの調査には最後に自由意見欄がある。Q32。今日の参考資料4にある。これは、JILPTが調査結果を公表するにあたって、報告書に記載されていなかった。野党が求めて、しぶしぶかどうかわからないが、今年の4月に公表された。いくつか経緯があったようだが。この自由意見をざっと見ると、やはり、現在の裁量労働制の問題、運用の課題といったことがはっきりと出ている。そういうものを見ながら、より実態が把握できるような調査票の参考にするのが普通ではないか。JILPTのこの自由意見については、二次集計結果と書いてあるので、一次集計はどこに行ったのかと思うが、二次集計とは、裁量労働制について、現在、それがいいか悪いかの設問(Q29:満足度)とのクロスになっている、問題があると答えている人の中に、相当、課題があることが記載されている。そういう問題などもいくつか類型化してみると、現在の裁量労働制の持っている課題とか運用の課題、そういうものがとらえられ、それを含めて質問票が作れるのではないかと思う。せっかく資料に掲載していただいたので、これも含めて質問項目の検討をしていただきたい。

西郷 第1回検討会におけるご指摘と今のご指摘を含め、参考にできるものがあれば参考にしていただきたい。また自由意見の欄。これは、調査票設計の段階でまた検討することになるだろう。
 私が前回申し上げたことが、回収率の問題であるかのように資料1に収録されているが、回収率そのものを上げるよりは、偏りが生じないように、ということを申し上げた。回収率を上げることが至上命題かというと、根本的には偏りが入らない調査であることが重要。
 資料2の調査のイメージについて、ご議論いただきたい。JILPTの調査を主に参考にして、前回の議論をできるだけ反映できるように事務局に作成いただいた。
 今回は「イメージ」。時間のことを気にしないで、なるべく出席者の方の意識合わせもあるので、三種類の項目について意見をいただきたい。
 まず資料2の1ページ目、調査の設計に関して、ご意見を。

政策課課長補佐 ご欠席の樋田先生から伝えていただきたいというご意見を紹介したい。本調査は世間の関心も高く、重要な調査。実際に回答を行う負担を軽減し、可能な限り回収率を高めることが重要。そのため、必要最小限の項目で行うべき(以下、具体的な項目に対する意見が紹介されたが、書ききれず)。事業場票2の(3)(みなし労働時間(時間数・設定根拠))の回答の可能性。一定の項目数に収れんさせることが考えられるのではないか。調査項目の流れを踏まえて、再度、加除修正を行うことが必要。無作為抽出は、事業者に過度の負担をかける。また、裁量労働制に類似の業務がない事業場では回答しないとのことなのだが、回答しない場合、該当者がいないのか、回答しなかったということなのか、わからない。判別できるように何らかの回答をしてもらう形にしてはどうか。

鈴木 回収の仕方について。オンライン調査のシステム。調査集計会社。郵送の場合は事業主を経由という理由を改めて伺いたい。調査集計会社にご本人が返送する場合もあると考えるが。

労働条件政策課課長補佐 ご意見はあると思うが、事業主が労働者の回答を回収することで回収率が上がるというご指摘をいただいている。JILPTの調査の時よりも回収率を上げていかなければならないという観点から、こう提案。しかし、ご意見があると思う。

鈴木 事業主経由の方が回収率が高いというデータはあるのか

労働条件政策課課長補佐 具体的に回収率に直接どの程度影響するかは、一概にはお応えできない。総務省さんのご意見もお伺いしたいが、国会からもこういうご意見が出てきたと理解。

総務省政策統括官付調査官 事業場経由だと督促ができる。

黒田 オンライン調査のIDナンバー、キーとなるようなものを事業者に知らせない形で、配布したものを郵送、そのまま手渡し、匿名性が担保されるように(よく聞き取れない)

小倉 総務省さんのご意見は確かにそうだなとは思った。督促ができるという点。半面、企業にとって都合が悪い回答をする場合もある。その場合、いくら厳封しても・・・。また、オンラインと郵送、どちらもいいですよ、というのも、それはどうなのか。会社に知られたくない人がオンライン、ということになってしまう。どのみちたぶん、ベストはない。何が的確にランダムに回収率を上げるか。総務省から数字でデータとかもらえるなら、検討してみたい。

小島 郵送とオンライン、両だて。労働組合調査は、組合を通じて配布し、直接、回答してもらう。もしくは、オンラインで回答してもらう。両方だてということを考えたほうが、回収率はよいのでは。また、調査対象、裁量労働の適用と一般事業場。別々の事業者に聞くという方法になっているが、JILPTの調査では、同一事業所内で裁量労働制と一般労働者、フレックス、いくつかの時間制度によって選出するということになっている。どちらの方が、より裁量労働制で働いている人と一般の労働者の比較対象ができるか。あるいは、裁量労働制の社の抽出の方法。どう考えるか。

西郷 趣旨としてはいろんなモードを設けることによって回収率を上げるということだろう。郵送調査なら回答しないがオンラインなら回答する、あるいは逆の場合、もしそういうことがあるならたくさんのチャンネルを設けることは、いろんな調査で行われていること。
 ただ、回答の仕方によって・・・という小倉先生の指摘までは考えなかった。どういう方法がよいか、そのためにマルチモードがよいなら使う。のちほどまた議論。
 むしろ重要なのは、調査対象をどうするか。同じ事業所の中で裁量と一般。これは検討の余地がある。事業所を変えると事業所ごとの・・・(属性の違い?)がある。裁量と一般の差なのか、事業所ごとの差なのか、わからなくなる。同じ事業所の中での方が、事業所ごとの差分は小さくなる。一般事業場で裁量労働に対応するようなことも、そもそも難しいのではないか。事業場ごとの裁量労働制と一般。事業場ごとの差をなるべく考慮しながらサンプルを取るにはどうすればよいか。

川口 事業場の中の適用労働者と一般を比較する。事業場間の差異が出てしまうのは、その通り。事業場の中で裁量と一般を取るのも一つの方法。そこで一つ考えなければいけないのは、事業場の中で、裁量労働があるにもかかわらず、あえて一般の労働時間管理が行われている労働者と裁量を比較するのは、より条件を整えた比較となっていると言えるのかどうか。両方を取ろうとすると、適用事業場の中で、一般もとって、バックアップを取って等。それをやるデメリットは、基本的にはない。しかし実査を考えると、事業場で二種類の労働者を選んでもらうことになる。裁量労働で働いている人は少ない。その人たちを確実にとらえる。それに加えてさらに一般労働者についてある程度のサンプルサイズを確保していただく。適用事業者に負担がある程度、かかる。それを考えると、あとで事業場間の異質性を整理するという意味では、適用事業場から二種類を配布するのがよいが、回収率が下がってしまう可能性もある。そのバランス。

西郷 理想的なことを言うと、ランダム。しかし、今の川口先生のご指摘、自発的に手を挙げて、裁量労働制という問題。手を挙げる人と手を挙げない人という差があるとすると、本人が選んでいる。それは、あえてそれを選んだ人とそうでない人、ということになるかもしれない。それなら、適用でないところから選んだ方が、導入の効果がきちんと測れることになるかもしれない。一事業場からとれるサンプル数も考慮することが必要。

川口 労働者調査のサンプルサイズだが、労働者ごとに・・・(聞き取れない)。

労働条件政策課課長補佐 (聞き取れず)

小島 一定の制限がある。そういうことを理解した上でこの調査をやっていることを示す必要がある。どういう条件でこの調査をやるのか。別々の事業場に聞くというのは、現在、裁量労働制を採用していない事業場が、なぜ採用していないのかの理由を聞くという意図もある。制度の導入に対し、適用する、しない。要はどういう前提でこの調査をやったのか。その時の課題があることを前提にしたうえでの調査に。

小倉 裁量労働制適用事業場で裁量労働制でない者を対象とすることもあり。JILPTの調査は、裁量労働制でない人も回答できる形にしているので、量が多くなっている。

黒田 今回の調査。できるだけ似たような人を比較するというのが大きなねらい。同じ事業場で適用されている人と適用されていない人、適用されていない人は、かなり所属が違う。別の事業場で裁量労働制の方と同じような仕事をされている方。
 もう一つ、樋田氏の指摘(聞き取れず)。3つ目。裁量労働制が適用されていないとして回答しなかった企業なのか、回答したくなくて回答しなかった企業なのか、識別できないかという意見。

西郷 無回答なのか、該当しないのか、を識別できるように。

労働条件政策課課長補佐 実際われわれも、どういった手法があるのか、ご意見いただきたい。類似の業務をやっているかどうかという作業をやって調整が図られた上で、対象労働者がいない場合にはそれだけ回答してもらうということも考えている。まだ十分、検討していあい。

小倉 1つのやり方は、二段階調査。こういう方いますか、と回答していただいた上で、調査する。ただ、ランダムがどのくらい確保されるか。その時点でバイアスがかかる。

西郷 二層抽出。ただし、最初の時点で、答えたくないところは「いません」と答える可能性。

川口 やはり無回答か、該当労働者がいないのか、適用される労働者がいないという場合にも回答はするという設計がよい。

小倉 一般事業場については、類似の労働者がいるかどうか、ということ。表現の仕方によって、だいぶ、違う。職種や業務まではっきり限定するのかどうか。

西郷 労働力調査で職業分類を回答者に回答してもらうと、調査する側の意図と異なる回答が寄せられる。裁量労働制についても、事業者の認識に左右される。どういうものが該当する事業場か、該当しない事業場か。調査される事業場に回答してもらう代わりに、こちらの方で識別できる形にして事後的に該当・非該当を判別することも、調査技術としてはありうる。二段にするのかそれとも、回答しない企業には該当しない旨を記入するようにするのかというやり方もあるが、こういうやり方もある。二層にすると時間がかかる。
 今日は最終案ではないイメージ。いろいろご意見をいただきたい。
 次に資料2の2ページ目、事業場票の調査項目に話を移したい。
 
小島 こういうことを聞いたらどうかという項目について。裁量労働制の運用実態等。中には、導入したが廃止した、というところもあるだろう。某電機メーカー。裁量労働制の方が亡くなり、裁量労働制をやめるという判断をした。制度廃止したことがあるか、廃止した理由、時期なども聞いたらどうか。また、一番大きいのは、事業場として裁量労働制を導入しているが、適用者にきちっと導入や制度を説明しているか、説明責任についても調査項目に入れておくべき。3つ目、さんぽつの10に、導入の「効果」とあるが、プラスの効果という選択肢だけでなく、マイナスの効果もあるのではないか。長時間になった、健康面を損なうような労働者が増えた、等、マイナスの面もあるだろう。効果は、プラス・マイナス、双方が必要。

鈴木 導入の効果。会社としてこういうことを期待する、ということに対して効果があったかどうか。マイナスの面を否定しているわけではないが、こういう懸念が当初あった、それが実際にあったかなかったか、そういう聞き方になるのでは。そのあたり工夫が必要ではないか。

西郷 事前に期待した効果、後でわかった効果、二様に読める。調査票の設計を工夫すべきではないか。

労働条件政策課調査官 効果というときにフラットに選択肢から選ばせる形にするのか、当初考えいた効果という聞き方をするのか、検討会全体として、どういう聞き方がよいか、ご検討いただきたい。

川口 労働時間の把握。重要。1カ月の全労働時間の平均値を取るのか、あるいは、平均的な労働者の労働時間を見るのか。そこがはっきりするような調査票の設計と回答要領の作成が必要になるだろう。

労働条件政策課調査官 想定していたのはJILPTの2012年、全労働者対象になる人の労働時間を足して人数で割る。言葉の定義をしっかり書いていくことが重要と認識している。

小倉 「もっとも平均的な」というのは、今回やめたほうがよい。

西郷 平均をどう定義するか。

黒田 裁量労働制が廃止したところもあるんじゃないかという点。既に裁量労働制を適用されているところに尋ねるのではほとんど返ってこないだろう。その場合には一般の事業場の方に似たような制度を導入していますか、導入していないのはなぜですか、裁量労働制を廃止したことはありますか、等を尋ねる手がある。

西郷 制度があっても利用しない事業場があるなら、それはなぜか、ということ。
 調査項目のイメージを議論するときは調査票があるほうがわかりやすい。次に労働者票について。労働者票を回収するときに、という議論もあった。この内容を見て、の意見もあれば。

小島 裁量労働制の適用労働者については、事業場の方で説明をしているか。事業者は説明していると思っていても、そんなことになっているのかと労働者が思うのは、よくある話。これについて、企業の方から説明があったか、という設問がほしい。
 1週間の労働時間、みなし労働時間は何時間に設定されているか、わかっているか、なかなかわからない、という人もいるはず。連合総研が教員に尋ねた働き方の調査では、教員の半分以上は自分の所定労働時間を知らないと答えている。裁量労働制の場合にみなし労働時間をきっちりと理解しているかどうか、制度の説明を受けているか、設問を入れるべき。
 労働時間でいうと、1週間の労働時間は、どこの時点を取るのか。連合総研の年2回の調査、10月の調査では、前の月の1カ月間の平均の1週間あたりの労働時間を聞いている。中には事業所企業によっては、1週間あたりの労働時間をきっちりやっているところもあるだろう、そういうところでは1カ月単位の方が聞きやすい。
 昨年同週の労働時間、これはなかなかむつかしい。前の年の何月の平均就労時間、というほうが聞きやすいのではないか。

西郷 事業場に関しては1カ月間。記録がある。労働者調査票は記憶に近い形で回答するだろう。だからこそ1週間という聞き方。1年前の同じ週の労働時間。季節性を考慮しているのだろうが、労働時間の測定の仕方に関して、いかが。

小倉 最終的に議論した上でどこかに決めなければならない。私が手掛けたものは、だいたい1カ月で聞いている。直近の1カ月。なぜそうするかというと、通常、時間外労働が発生している場合は明細書などに記載がある。所定と所定外を聞くことで1カ月の労働時間をある程度正確におさえられる。ただし今回は、裁量労働制。裁量も深夜は割増賃金の対象。たが、実際どこまで正確に把握しているか。理想的には時期が決められるとよいが、いつやるかによって必ずしも決められない。2月にやるなら、といった議論は、別途必要になる。
 1年前の同じ週、正確に聞くことは難しいが、増えたか減ったかをもっと細かく聞くということもやってもよい。また、裁量労働制でなかった人が裁量労働制になって、労働時間が増えたか減ったかも聞きたい。そのため、いつ裁量労働制になったかも聞けるとよい。

黒田 事業場の方が1カ月で、労働者は1週間。その違いは何か。それが1点。また、裁量労働制の方は不規則に働いている。そうなると、1週間の方が精度は上がるのではないか。事業場は1カ月単位が回答しやすい。事業場と労働者で単位が変わるが、精度の高い情報という意味では仕方がない。
 回答条件の話。昨年の10月の第4週、などと聞かれても困るが、昨年の同じ頃、と聞いて、増えたか減ったか、という聞き方はある。

川口 補足。事業所経由のもの。賃金台帳から回答。労働者や世帯からの回答では労働者調査。月末一週間の調査。おそらく記憶の問題もあって1週間を尋ねている。他の調査との対照の可能性という利便性の意味でも、2つの調査票で期間の尋ね方が異なるのはやむを得ないと考える。

西郷 裁量労働であるか、現時点はそうだが・・・(聞き取れず)

労働条件政策課課長補佐 労働者属性のまる9、適用年月を尋ねている。

川口 裁量労働制が適応されるがゆえに労働時間がどう変わったか、重要な観点。資料1の振り返りの論点、健康面でどう変わったか。労働者に関しては変化がとらえられるようになっているが、健康状態については、変化がとらえられるような設問があるとよい。

小島 労働時間と働き方、健康状態を含めて、適用前と適用後でどう変わったか、そういう調査票がうまく作れるとよい。4ぽつの裁量労働制の実態。制度への説明があったかどうかということとあわせて、制度の認知度、裁量労働制はどういった働き方なのかを理解しているかどうか。JILPTの自由意見を見ると「よく分からない」という意見も出されている。裁量労働制の認知度、理解度。
 また、4ページのまる4、健康福祉確保措置への満足度、改善希望。これも、事業場が実際に実施している健康確保措置を労働者が実際にどこまで知っているか。実際はそんなものはあるかどうかわからないという労働者もいる。企業がどういう措置をやっているか、選択肢の中で、それを知っているかどうか、という聞き方も検討してはどうか。
 まる5、苦情申し出経験、これも、苦情申し出の制度や方法を理解していないと、あるいは説明を受けていないと。そういったことも含めて設問を。

西郷 実際に調査票をつくってみると、こんなにたくさん入れられないということになるのだろうとは思うが、今の段階では、どういう側面をとらえるべきか、ご意見を。

黒田 認知度を改めて問うというのはかなり多い設問になる。各設問に「わからない」という選択肢を設けると認識していないことがわかる。そうした工夫をしてはどうか。

鈴木 項目を減らす方向での意見。政策的なインプリケーションが得られる可能性があるところに注力するということが必要と思っている。例えば、労働者属性のまる10、会社への貢献意識、まる11、ワークライフバランス、まる12、仕事への満足度、これらが必要か。裁量労働制についての満足度は別途、尋ねている。優先順位としては低いのではないか。
 健康状態等、重要だが、健康診断の受診の有無は、中身を見ないとわからないが、受診率は厚生労働省の調査で90%を超えている状況。受診の有無をあえて問う必要があるか。

小倉 JILPTの健康調査 検診の結果に異常があるかどうか。あった場合に胸部X線・・・ここまでやる必要があるかどうか。

鈴木 健康状態という意味で、項目によっても違う。ひとつのアイデアだが、特定健康診断の対象になっているかどうか、あるいは、脳・心臓疾患の危険度をあらわすような項目に圧縮して聞くなど、工夫が必要。

西郷 10、11、12、すべて意識に関する項目。意識を調査の中で聞くのが、別の形で調査するのがよいのか、議論があると考える。

川口 意識。満足度。主観的な回答だが、満足度が、●●行動(聞き取れず)につながっているという知見がある。大切な知見。

黒田 健康診断の受診。受診率の違い、きちんとしたデータがないのではないか。裁量労働制や高プロの導入によって、裁量労働制で働いている人は、健康診断の受診が低めに出ているということであるなら、その辺、知りたい。まず受診しているかどうかも重要。

小倉 某大学では、教員が裁量労働制になっていて、一般職員は受診率が9割だが、教員は半分ぐらい。それが専門業務型裁量労働制だとすると、やはり低めに出るのかな、と。

西郷 受診の状況は、事業者には(情報は)いっていないのか。誰が健康診断を受けているのか、原理的には把握できるはず。健康に関するところは厚生労働省としては関心があるところだろう。

川口 統計調査の目的は、全体的、中間的な姿をとらえること。自由回答は、極端な意見が出てきたときに、代表性が必ずしもあるとも言えない自由回答が、全体の印象をひっぱってしまうということもある。むしろ、自由回答をつけるということであれば、それをどういう形で、客観的なかたちで公表していくのかということを考えた上で質問項目を設けるのかを考えたほうがよい。統計法に基づいて一定の個票レベルのもの、個票が出ていくという形になる。自由回答という部分をどう扱うのか、ということもすべて含めた上で、どう対応するのか。

西郷 私もその点、最後に取り上げようと思っていた。

小島 川口先生が指摘された課題がある。JILPTの自由記述回答でも、事業者が特定されるような箇所は黒で塗りつぶしてある。そういう作業をするかどうかというのもある。自由記入欄はなくてもよいかとなると、答える側からすると、どうも自分が思っていることがここに入っていないとストレスが溜まる。最後に言いたいことがあるという人の意見を表明する場をなくしてよいか。

西郷 自由記入欄について、何かご意見は。私自身の考え。一般統計という枠組みになると、調査したものについては、何らかの集計をしなければならないという調査した側の義務が発生する。自由記述の集計がとても大変。社会生活基本調査では、1日の行動に限定して書いていただいても、それをコード化する必要がある。フルセットについてそれはできない。本当に一部の調査についてだけ特別な集計。まして意見となると、どういうものが出てくるか、わからない。事前に集計の計画を立てていくということができない。ある種の意見聴取になるが、それを統計調査でやるのがいいのか。
 ただ、調査票につけて意見をいただいたほうが、調査票では聞けなかったような項目について、将来に向けて、また回答者のインセンティブにも役立つという面はある。ただ、最終的には調査した項目はすべて集計しなければいけないという制約の中で調査を行うには、現実的かどうかという点も含めて検討が必要。

小倉 今回、仕事の中身、職業分類の大分類ではあまり意味がない。職種をどう聞くか。裁量労働制が適用されていない方でそれに似た仕事をしている人に聞くとき。社会生活基本調査のように何かをとにかく書いてもらうという方法があると考えたが、それが難しいということか。

西郷 調査の規模にもよる。国勢調査では、1%集計など一部のものについてアフターコードしている。全部はできない。回答者の側が認識している産業分類や職業分類と、調査側の考えている分類がずれていることは往々にしてある。職業分類については記入も必要。ただ、意見については、自由回答にすると・・・。小倉先生のご指摘の職種はキーになる話。
 調査実務についてもいくつかのご意見をいただいた。政府から調査を委託しているような民間の調査会社の方にも今日のご意見についてヒアリングすることもお願いできると思う。それでは事務連絡を。