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金利スワップは「DeFi新時代の起爆剤」になるとVoltzのCEOが言及

この記事は、2022年6月8日にBlockworksに掲載されたBrian Nibleyの記事(https://bit.ly/3QqnE7n)を引用しています。

金融スワップはこれまでDeFiではサービスが提供できなかったようです。その中で、Volts Labというプロトコル開発会社は新しい仕組みを開発し実現しようとしているとのこと。
この試みは成功するのでしょうか。

金利スワップは企業、銀行、国の債務管理に役立っており、Voltz Labs(=Voltzプロトコルの開発元)が金利スワップをDeFi(=分散型金融)に導入しようとしている

・DeFiで金利スワップを再現しようとする場合、「TradFi(=伝統的な金融)」の仕組みをそのまま導入するわけにはいかない」とVoltz LabのCEOは語る
・DeFiの新しい金融商品により、ユーザーにとっては金融サービスや取引機能の幅が広がる

金利スワップは、伝統的な金融の歯車に油を注いできています。その市場規模は1,000兆ドルで、企業、銀行、国の債務管理に役立っています。この金利スワップを利用する投資家は、資産の金利を別の相手と交換することができます。それは根本的に、グローバルな金融システムに拡張性と複雑性をもたらしています。分散型の金利スワップを生み出せないことが、DeFiセクターの成長に必要な拡張性や複雑性を阻害しているとの指摘もあります。金利スワップの重要性とDeFiへの導入の意味について、DeFi向け分散型金利スワップのパイオニアであるVoltz LabsのCEO、Simon Jones氏にお話を伺いました。

金融スワップとは何か?

伝統的な金融における金利スワップは、双方の取引相手が将来の支払利息を相手のものと交換(または「スワップ」)することに合意することからなるデリバティブ契約です。両当事者は相手側の金利協定の方が有利であろうことに同意し、互いに将来の支払利息を交換する契約を締結します。スワップは通常、変動金利を固定金利と交換するものです。

金利が上昇すれば変動金利はリターンが増加するのに対し、固定金利は変動金利に比べリターンが減少します。

金融スワップの意義

このような制度になじみがあるかどうかは別として、スワップは現代の多くの金融商品に必要な仕組みを提供しています。

金利スワップは、「投機、リスク管理、商品構築など、幅広い活用事例を支えている。これには、企業向けの構造化商品や個人向けの固定金利型住宅ローンも含まれる。」とJones氏は述べています。

さらに彼は、金利スワップがなければ「金融システムのニーズに対応する」ことははるかに困難であると付け加えました。

DeFiへのスワップ導入の課題

DeFiの無許可・分散型の世界では、事情が違ってきます。DeFi派生商品の構築は比較的新しい概念であり、様々な課題があります。

Jones氏は、DeFiで金利スワップを再現しようとする場合、「TradFiの仕組みをそのまま導入するわけにはいかない。」と指摘します。

その理由のひとつは、伝統的な金融におけるカウンターパーティリスク(=取引先金融機関の信用リスク)をめぐる法的枠組みが関係しています。スワップ取引には、カウンターパーティが債務不履行に陥るリスクがあり、その場合、相手方からの回収が困難となります。従来の市場では、そのような状況が発生した場合に対処するため、一連の規則や規制が設けられています。

DeFiには、そのような枠組みは存在しません。しかし業界のリーダーたちは、そのような枠組みを不要とするようなシステムを構築することができます。

Jones氏は言います、「伝統的な金融におけるスワップ締結が他の当事者とのスワップである限り、カウンターパーティーリスクを抱えることになる。そこで、格付け機関の活用も含めて法的な枠組みをすべて作り上げ、補完するようにした。しかし、DeFiは全く異なる。カウンターパーティが破綻したときにどうするかという課題があるのではなく、カウンターパーティリスクを取り除く、つまりそもそも破綻しない仕組みを構築した。」のだと。

また、これらの機能がもたらす効用と「制約の異なる環境で同じ効用を実現する」ための方法を考えるのには、約半年間の研究が必要であったことも付け加えました。

DeFiの新時代

DeFiにおける金利スワップは、市場にとってどのような意味を持つのでしょうか。

Jones氏によれば、金融商品の構築には「複雑さのスペクトラム」が存在するといいます。DeFiへの金利スワップ導入は、高度な投機筋から機関投資家および個人投資家に至るまで、さまざまな参加者に門戸を開くことになります。

その複雑さの最も基本的な部分として、DeFiの金利スワップにより固定金利商品が扱えるようになります。DeFiのユーザーは初めて、変動金利の資産を固定金利に変えることができるようになったのです。これまで、利回りを求めるDeFiユーザーは、乱高下する金利にさらされていました。

より複雑な金融商品に向けて、Voltz Protocolは「金利キャップ、フロア、カバードコールペイアウト、固定金利型住宅ローン、スワップションなどの商品も利用可能にする」のです。これらにより、DeFiユーザーはより幅広い金融サービスや取引機能を利用できるようになります。

Jones氏は「ステーブルコインの担保の一形態として固定金利資産を使用するなど、より革新的な用途と並行してDeFi金融商品の多くを構築している 。」と指摘しました。暗号業界での最近の出来事で、ステーブルコインを担保にするという新しい方法は、多くの人の興味を引くことでしょう。それは、分散型市場の発展にとって大きな助けとなるかもしれません。

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※この文章は下記からの引用です。
Interest Rate Swaps Will Be ‘Catalyst for New Era of DeFi,’ Says Voltz CEO
Brian Nibley (Blockworks)
https://bit.ly/3QqnE7n

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