見出し画像

現在までの経緯


学生時代

実家は医者家系であり、医者になることが自然という家系であった
反抗期を迎えて、レールの上に乗ることに少しだけ抵抗したが、結局1浪して医大に進学した

とはいえ、自分の中では”医者以外の道”に対する未練はあり、医大生の時は「医者になってある程度の年齢になったらもう一回再受験をしよう」と思っていた

理系頭ではあったが、文化的なものは好きだった
特に芸術系のものには憧れがあり、高校生時代は、芸術学部生の映画制作の手伝いをやった
大学生時代は、当時にしては珍しかったインターネットラジオの裏方をやった
芸術系の世界があまりにも刺激的すぎて、自分が医大生をしている意味を見失い、成績が下位10位まで落ち込んだ
ただ、医大生生活を延長してもしんどいだけなので、早く脱出するためだけに勉強をし、結果的にはストレートで医大を卒業し国家試験も通った

いまいち身が入らない若手時代

医者になって、周りの同級の優秀さに圧倒された
優秀なのは大学受験でセレクションされているからしょうがないのだが、優秀な上でプロフェッショナル意識も持ち合わせている人がいるのだ
「患者のために勉強するんだ、そのために医学部に入ったんだ」
という姿勢を見せる同級をみると、自分が医学部に進んだ理由がとても卑しく思えた
何かしら理由をつけて勉強はした
同級と水をあけられないために、他のスタッフにバカにされないために…
ただ、劣等感が強すぎたのと、自分の目的意識がいまいちはっきりしないため身が入らないこともあった

一つの転機

若手になってしばらく経った頃、一つの転機が訪れた
実家を継承しなくて良いことになった
これまで私が医者にならなきゃいけなかった最大の命題が消えたのだ
この知らせが来たときは、正直とてもほっとした
長年の憑き物から解き放たれたのだ
しかし、困った
医者のライセンスで飯を食い始めているからだ

自分の方向性がわからなくなり、駆け込んだのは本屋の赤本コーナーだ
日本大学芸術学部、早稲田大、桐朋学園芸術短大…
知っている芸術系の大学の赤本を見た
しかし、問題をパッと見て、すぐに解けなかった(古文とか数学とか)
流石に高校を卒業してからその時点で約10年経っているため、問題を解くには時間をかける必要があった…
結局、自分はライセンスを取ったのだから、それで生活していくしかないだろう
医大生時代の思いは、叶わないまま仕事をすることにした
しかし、その後気持ちが揺らいだときに、赤本コーナーに駆け込んでは思いに耽ることを度々繰り返した

そして約10年経った

コロナの時世を迎え、本当に自分の周りが変わった
コロナで診療が忙しくなった
コロナ離婚も経験した
離婚の間、空っぽになりたくなくて大学院生になり、無理やり充実させた
全ての自分の時間を仕事と大学院に突っ込んだ
その成果物はたくさんできた

バーンアウト

ただ、長くは続かなかった
研究の世界は厳しく、叱咤をいただくこともあった
言われている理由にわかるものもあるが、自分の信念と違うことも言われる
その中やらなければ、と自分を追い込んだ
気づけば好きなカラオケも行かなくなったし、趣味の宝塚も見なくなり、音楽聴くことも無くなった

ある日、自分の手が動かなくなった
PCの前で、やらなきゃいけない作業をしようとするんだが、画面を眺めているものの頭に入ってこない
手が動かない
頭が痛い、肩が痛い、顎が痛い、目が痛い、首が痛い、体が極端に冷える
仕事はできるもののいつもより集中力が欠ける
家ではPCの前に座れず、寝込むことになってしまった
痛み止めを飲んでみるが状況は変わらず、ホッカイロをいくら使っても寒い

鬱とはなんか違うが、体がどうにも言うことを聞かない
どうにもならなくなり、預かっていた研究は離脱
取り扱っていた仕事も減らした
幸運だったのは、理解のある上司たちに恵まれたことだ
上司と話し、ようやく自分がバーンアウトしていたことを理解した
相談し、有休を利用したのちに、残念ながら長く勤めた職場を辞めた

新しい生活・声楽・二胡

長く過ごした街を離れて新しい街に引っ越した
住み慣れたところを離れた寂しさもありつつ、違うことをやりたいと思った
その時に思い出したのは、音楽だった
私は器楽はほぼ何もできない
取り柄は歌ぐらいしかない
声楽の教室を探し、申し込みをした

なんとなく自覚していたが音域は広いし、声も低い
音域としては、メゾソプラノになれると言われた
メゾソプラノの価値をこの時に初めて知る
主役はソプラノが多いわけだが、メゾソプラノは魔女役や妖艶な役など、クセがある脇役などが多い 
これはオイシイではないか

この他に、いつかやってみたいと思っていた二胡を始めた
二胡の憂いのある音を出してみたいと思うが、今はギーコーギーコー鳴らすのが精一杯だ

音のある生活とはなんと豊かなんだろうか

音楽をもっと!

高校時代に、どんな理由か忘れたが声楽を習ったことがある
声楽の先生からは冗談か勧誘か本気かはわからないが
「音大を受験しない?」としきりに聞かれた
しかし、当時は医大に行くことが命題になっており、難しいお誘いだった
次第に音楽教室から足が遠のいてしまっていた

だが、その言葉が今の淡い希望にもなっている
完全なる音痴だったら、音大受験に誘われることもなかっただろう(たぶん)

あの時に買うように言われた楽典やコンコーネ
今見ると、結構面白い代物だと気付かされる
気が熟したということだろうか
もう一度 音楽をやりたい

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?