ウ○コ漏らした話

嘘……ここで……?やっ……止まんない……

おじさん……扉一枚先の俺がこんなになっちゃってるって……想像できるかな……?

止められない……止まんないよ……

こういう時って止まんないんだ……

2018年

今年も12月ということで、2018年はもう数えるに容易い日数しか残っていないことに驚いています。

昨年末は遠く離れた東京の友人宅で年を越し、年度末は卒業研究に追われた日々を過ごし、学校の卒業、就職、研修と、様々な出来事を経ていく中で、不思議と時が経つのを早く感じたように思います。

振り返って「あぁ、今年は何もしてなかったな…」

刹那、「あぁ、あれがあったんだった」夏のある一日を思い出します。残り少ない2018年は、この出来事が飾ってくれた、思い出深い年となることでしょう。

9月1日(土)

福岡県福岡市に今泉という土地があるのですが、

賑やかに行き交う人、立ち並ぶ建物、美味い食事、全ての要素が最高!語るに尽くせません。福岡最大の商業都市(諸説あります)天神にも歩いて行ける。さらに最大にして最高の特徴が、私の実家があっちゃうところですね。

というわけで社会人となった齢22の身でも好きな街へ赴くため(半分はホームシック)、月に1, 2度のペースで帰省を続けていました。今住んでる場所からバスで1時間半、片道900円で最高の街で気分を最高に出来るのですから安いものです。

その日、9月1日(土)の週は労働ストレスの蓄積により気分が落ち込んでいたため、地元に帰って近くの家電量販店でも歩き回って気分を晴らそうなど、発散計画を思案していました。本来なら金曜日の夜就業直後にバスに飛び乗って速やかに気分を最高にしたいところでしたが、準備が整っておらず、やむなく土曜昼から行くことにしました。

長距離の移動に伴い、事前に意識しなければならないことは何でしょうか?トイレですね。トイレ以外のことは取るに足りません。日常生活を送っていたあなたが突然5時間ノンストップで移動するトイレの備えのないバスに乗せられたとしても、道中に"意"を催すことがなければ基本的に何の問題もないかと思います。あの日の私もよく分かっていたと思います。

実家に帰る意思を固め、荷物をまとめ、家を出る寸前にトイレに入りました。着席!10分経ちましたが特に出力されません。まぁ出るものも無いなら仕方ないよなwこのまま行こw

停留所に着き、予定通り、13時を少し過ぎたころに発つ便("べん"ではありません)に乗り込みました。着席!実家に着いてからの行動計画に考えを巡らせます。

スマホをいじりながら20分ほど経過したころ、"意"を感じました。実際の人体のメカニズムはともかく、"何か"が体外へ出ようとしている、それに対して、自分の体が"何か"に対し、出すまい出すまい、と、抗っているように感じられます。やめて!争うのはやめて!苦しむのは私なの!結局のところ、一連の出来事全てが終着を迎えるまで3時間ほどかかるので、この時点ではまだまだ序盤なんですが、僕自身は既に未来を悲観していました。道程はあと70分ほど続きますが、僕自身が"何か"に耐えられた実績としては、18分(通学中)が最長だったからです。

しかし、もうダメだ…!でブリブリブリブリブリブリ~~~~と出すわけにもいきません。私には「守らなければならないもの」があったから……。これをお読みのあなたにはあるでしょうか……?私はその場でしか交流しない人との間なら恥をかいたりは別にどうでもいいと思っている人間なんですが、俺はズボンを守るという意思は人並みに持っていましたし、果てはパンツ…お前を汚したりはしないと、全てを守り通す主人公的な決意を固めていました。実績としては確かに18分が最長だったんですが、それ以上経過したところで漏らしたというわけでもなく、18分耐久レースの終着地に辿りついた時点で、まだ幾分かの余裕も持っていたこともあり、自分を信じて立ち向かうことにしました。

便意(面倒なのでもう伏せません)は周期的な波のように攻め込んできます。この時は約10分周期で、「もうこの土日だけなら返上して労働に使ってもいいからこれを止めてくれ」という願いまで抱かせるまでの(今考えるとげに恐ろしい考え)苦しみと、一時的に解放され、この世の全てを愛してしまうような気分のオアシス的な時間が交互に訪れ、汗をダラダラ流しながら静かに耐え忍んでいました。苦しい時間には身をよじる以外に何もできませんでしたが、オアシス時間内に、元々降りる予定の停留所より手前、かつ目的地である実家へ苦もなく行ける停留所を突き止め、その反対車線側にコンビニがあることも調べ上げました。

GPS で自分と目的地との位置を常に確認しながら、自己暗示(「トイレに行きたくない、便意は全く無い」)、穏やかな音楽を聴く、睡眠に入ろうとしてみる、アニメキャラに励まされ便意を克服した妄想をするなど様々な対応を講じ、もう何度目か分からない限界突破を感じた頃、ついにバスが停留所に到着しました。目的のトイレのあるコンビニはバスの窓から見えます。これで終わるのね……!やったよ霧矢あおいちゃん……!応援ありがとう……!

思いも一緒

幸いにも、バスが停車した時は波(なみ)の中でも穏やかな区間にありました。この時真っ先に降りるつもりでしたが、自分の身体を人生最大の丁重さで扱うべく叶いません。とにかく要らぬ衝撃を与えぬよう、静かに静かに……。気付けば、降りる人の列の4番目あたりに位置していました。この時2番目あたりに居た人が財布から小銭を出すのに30秒ぐらいかかっていたのを覚えています。便意さえなければ全く気にもならないはずですが……。腹の中で外へ出ようとする者たちを憎むべき敵のように思っていましたが、この時だけは、列へ並んで外界へ出ようとする者同士、目的を共有していたということでしょう。

遂に自分の順番が訪れ、バスの外に飛び出しました。コンビニは反対車線なので道路を渡らなければいけません。辺りを見やると、すぐに横断歩道は見つかりました、なんと歩行者信号は青です!神か???ただし「青になった瞬間を見た」のではなく、「見たら既に青だった」。いつ点滅を始めるか分かりません。脇目も振らず猛ダッシュでアスファルトを駆け、反対側まで辿りつき、コンビニを視界に捉え、あと十数メートルというところまで来たとき、一人の成人男性——中肉中背、40代くらい——が店の扉を開いて入っていくのが見えました。この男性は何を目的として入店したんでしょうか。喉が乾いたからジュースを買いに?お昼どきなので食事を求めに?はたまた、髭剃りの替刃が切れたので買いに来たんでしょうか?しかし今にも"出ん"としてる身でそんな考察の暇はありません。

迂回

コンビニに入って店内を見回すと、ありました!トイレです!もうここからは楽勝~ですね。みなさんはコンビニ等のトイレを利用したことがあるなら「ご利用の際は店員にお声かけください」といった文言の張り紙を見た経験がおありかと思います。前にバイトしてたコンビニは従業員用しかなくて、お客に勝手に使われるとマジに困っちゃってたから、緊急時でも声かけた方がいいと思ってます。

そんなこんなで出所不明の良心が発動した私は一声かけてから行こうと決め、左に直進すればトイレに行けるところを、レジに居ない店員を探すため迂回を始めました。先のダッシュで我慢エナジーを消費し"その刻"が早まったのを直感的に察知していたため、素早く動きました。一歩踏み出したとき、視界の端で、先程の男性がトイレの方向に向かっているのが分かりました。買いたいものがそちらの方向にあったのかな?俺は出そうなんやぞ知るか

店員は店の最奥で飲料の補充作業をしていました。高速で接近しながらトイレを借りる旨を伝え、速度を落とさずに背後を通り抜けました。返事は聞き取れませんでしたが、言わば排泄宣言を高らかに唱えた青年の勇気を祝し、ああいいっすよと答えてくれたに違いありません。ところで分かりにくいと思うので一応見取り図を貼っておきます。

画像1

全ての終止符を打たんとすべく、最後のコーナー(図で言うと店員の左にある角のことです)を曲がり、あと直線を走り抜くだけという、その時でした…!聡明な皆様ならお分かりかと思いますが、私はといえば聡明でない(この時改めて気付かされました)上に、ウ○コによる攻撃で判断能力・推察能力が極度に低下していたため、全く予想だにしていなかったんですが…。

「ぁっ……」

絶望が再び迫るのを感じ、足を虚しく動かし惰性のように前へ進む中、喉から絞り出したか細い声は、そのまま誰の耳にも届かず、消え入るかと思っていました。しかし、既にトイレのドアノブを握っていた男性の瞳が、私を捉えるのがはっきりと分かったのです。

そして彼は、そのままトイレへ入っていきました。

Cannot stop

男性は私を一瞥してトイレに入っていきましたが、まだ負けるわけにはいきません。所詮ヒトがコンビニで用を足す程度、我は歴戦(約50分間)を戦い抜き、その記録は今も更新され続けておるのだぞ、と、自らを奮い立たせました。そう、50分耐えてるんだからあと5分10分追加されようが誤差みたいっあっ



詳しい描写は避けますが、硬度が10段階あるとして、2ぐらいのやつです。立ち止まってから10秒ほどで "終末" が来たので、やはり先のダッシュや移動が決定的に効いたのだと考えています。

10秒間棒立ちで突っ立っていたわけではなく、こういうポーズ ↓ で外から抑制してたつもりだったんですが、意味があったように思えませんね……多少の時間稼ぎはできたんでしょうか?

画像2

事の最中に得た大きな学びは、「一度出ると止まらない」ということです。出てないときにせき止めておくのとは全く違います。人間の一器官に用水路堰のようなパワーはありません。流れを止めることができないんです。下の流れもすごかったですが、脳に流れる禍々しい負の感情の流れもすごかったと記憶しています。

なんと、男性は約30秒(あくまで体感)ぐらいで外に出てきてくれました。小の方でもちょっと早いぐらいだと思います。後続の私を気遣って急いでくれたんでしょうか?ただし私はその30秒間に完全に手遅れになってしまいました。彼も自らの親切からの行動が完全に徒労と消えたことを空気(ダブルミーニング)で察知したと思います。

男性と入れ替わってトイレに入り、後処理を始めようとしましたが、まず紙が足りません。2ロールありましたが、1ロールの半分が使われようとした時、圧倒的に不足していることに気付きました。流水で洗い流せる場所が近くに無いかと考えましたが、そこそこ都会なので、人の目に触れずにそんなことが可能な場所は全く思い当たりません。無論公共交通機関も使えない(絶対使いたくない)です。残された道は、徒歩で実家に帰ることのみ。一度脱いだズボンですが、やむなくもう一度足を通しました(この時が最も最悪な気分だった)。

Google マップに自動で行動軌跡を記録する機能が備わっていますが、この日の記録も残っていました。上から下へ移動しています。中州の道を無視するように線が引かれていますが、測位の間隔が私の移動速度に反して広すぎるためです。この間もダッシュで移動しています。

画像3

とはいえ、街中にはいくつも信号がありますので、足を止めねばならない箇所は避けられません。しかしこちらも臭気を発しているので、その場に留まると周りの人間に発生源を察知されます。そのため、信号待ち中は半径5mぐらいの円の中をランダムに動き続けました。これで私が十数分前に何をしでかしたか分かった人間などそう居なかったことでしょう。

その後、道中下着を売ってありそうなコンビニに入ってみたが全部ハズしたり、水溜りに飛び込んでズボンを一様に濡らすことでシミをカモフラージュするなど、苦心する中で実家に辿りつきました。

いざ扉を開けようと鍵を取り出そうとするがズボンのポケットに入っていないことに気付き、母親が帰ってくるまでこの姿のまま4時間待ちぼうけすることになると思い当たった瞬間は、人生で味わったことのないほど深い悲しみと絶望を覚え、マンションの廊下で一人「死にてぇ~~~ 死にてぇ~~~」と呻きを上げてしまいました(コンビニで処理してたときに無意識にバッグの中に退避させてたようで、数分後に思い出して見つけられました。よかった~。その後普通に家でゆっくり処理しました。服も身体も隅々まで洗って終わったら16時。もう何にもやる気ないよ)。

まあ、結局言いたいのは……「一度出ると止まらない」っていうのと、「出そうなんだったらなりふり構わず動こう」というところでしょうか。あなたが漏らしそうな時は思い出してください。

あなたが漏らしてるとき、「こんな粗相をした人間なんて世界に自分しか居ないんじゃないか」という思考に苛まれるかもしれませんが、普通にたくさん居ます。恥ずかしくなんかないよ!この Post を読んだあとにあなたがを漏らしたら、是非私に聞かせてほしいです。勇気を出してブリブリ!

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