■概略

　地球連邦軍の制服は、年代を通じてマイナーチェンジが重ねられているものの、色、デザインとも一年戦争時から継承されている。階級ごとの差異も小さく、「絶対民主主義」というイデオロギーを象徴している。
　一方で、士官・下士官の制服にはかなりのバリエーションがあるが、これは、地球の大気圏内外という広い範囲で、気候や作業環境に対応し、着用に適するよう改良されたためであろう。多彩なバリエーションがありながら、軍として、年代を超えた統一感がある。すぐれたデザインワークを感じさせる作品群である。
　個々のカスタマイズはほとんど見られないが、グリプス戦役時、軍内部からティターンズという勢力が暴走する形で内部紛争が起こったことと呼応するように、若干のカスタマイズが見られた。
　カスタマイズが見られないことは軍律が行き届いていた事実を示す一方で、個としての弱さを象徴している。地球連邦軍の勝利はつねに、チームとしての勝利であった。だからこそ、軍としてはジオンを圧倒することが可能であったといえよう。

（１）一般の士官（尉官）および下士官の制服

連邦軍の最もベーシックな制服で、カラーに階級章がつけられる。肩章がつく場合もある。パンツはタイツ状にぴったりしている。男女同型だが、女性の場合は、前のファスナーを下まで閉じている。
【主な着用者】ブライト・ノア　マチルダ・アジャン中尉

（２）少年兵・現地徴用兵の制服

男性がブルー、女性がピンクで、ブーツの色も異なっている。パンツはタイツ状にぴったりしている。女性の場合は、前のファスナーを下まで閉じて着用する。
【主な着用者】
アムロ・レイ　セイラ・マス　カイ・シデン　ミライ・ヤシマ　ハヤト・コバヤシ

（３）一般の士官（佐官）ほか上級将校用の制服

ベルトがなく、パンツはスラックスとなっている。肩には肩章がつく。
【主な着用者】パオロ・カシアス艦長　ワッケイン司令

（４）将軍・最高司令官の制服

生地の色が若干茶色っぽく高級感のあるデザインになっている。肩には肩章がつくほか、胸にはリボンタイプの勲章がつけられる。
【主な着用者】
レビル将軍　エルラン中将　ティアンム提督

（５）モビルスーツのパイロット用

フライトジャケット仕様で仕立てられた制服。パンツは裾が細くなったテーパードパンツで、ブーツの中に入れて着用する。襟元のスカーフがパイロットらしい雰囲気を醸し出す。右胸には部隊章がつけられる。
【主な着用者】クリスティーナ・マッケンジー中尉

（６）連邦軍特殊部隊の制服

サイド６＜リボー＞コロニーでガンダム開発計画に携わる特殊部隊が着用していた制服。兵士の任務は主に開発が行われている基地の警備で、制服も実戦的・実用的なものとなっている。ガンダム奪取計画を遂行するため、ジオン公国軍の特殊部隊、サイクロプス隊が着用した。
【主な着用者】バーナード・ワイズマン伍長　シュタイナー大尉

（７）捕獲、投降した敵兵士を捕虜とした際に着せた、囚人服

ホワイトベース内には独房もあり、このような服も備え付けられていたものと思われる。
【主な着用者】コズン・グラハム少尉

（８）病衣

戦闘その他で負傷した兵士が治療・看護を受けるときに着用するパジャマ。
【主な着用者】リュウ・ホセイ　ブライト・ノア

（９）儀仗兵・音楽隊の制服

音楽隊は、ソロモン陥落後、レビル将軍が入場してきたときに一瞬だけ登場するもので、資料は正面しかなかったので、背面とパンツの横のラインは想像で描いている。
【主な着用者】コンペイトウ駐留の音楽隊

（１０）連邦軍特殊部隊長の制服

サイド６＜リボー＞コロニーでガンダム開発計画に携わる特殊部隊Ｇ－４部隊の司令官、スチュアート少佐が着用していた制服。特殊部隊らしく、連邦軍の中にあってはやや異色のデザインになっている。
【主な着用者】スチュアート少佐

（１１）陸戦部隊が着用した野戦服

ノーマルスーツに変わるもので、東南アジアなどに駐留した部隊は、平素からこの制服を着用していた。珍しいカバーオールタイプである。左の救命胴衣のようなベストは降下作戦時に支給されたものだが、具体的な用途は定かではない。
【主な着用者】
カレン・ジョシュワ曹長　テリー・サンダースJr.軍曹　ミケル・ニノリッチ伍長

（１２）陸戦部隊の野戦服のうち、小隊長が着用したもの

セパレートタイプで、上衣とズボンに分かれている。左のベストは、上衣を脱いでＴシャツの上に着用していた。
【主な着用者】シロー・アマダ少尉

（１３）陸戦部隊を率いる大隊長用の制服の夏服

半袖、開襟で熱帯地方に適したデザインになっている。野戦服とは違うが、前線にいるときはこれを着用し、別に後方基地に戻った時は、通常の佐官用制服を着用するようである。
【主な着用者】コジマ中佐