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【レビュー】『体温』/ UVERworld

いい加減ブログ更新しろよ、という叱咤激励を多方面(2名)からいただいたので、久々の投稿です。
『体温』をしばらくぶりに聴いて、改めて名曲だな〜と思ったので、昔書いた感想文を掘り起こしてみようの会。

シングル『儚くも永久のカナシ』収録のカップリング曲で、オリジナルアルバムには収録されていないUVERworld隠れ名曲の一つです。(とはいえ、2018年のベストアルバムに収録されたので、もはや隠れてないんだけどね!)

体温

TAKUYA∞が綴るラブソング

つくづくTAKUYA∞はうまく行かない恋愛の方が良い歌詞書くよな〜と思う。(ラブリースゥイートベイベーな激甘両思いソングもむげちゃんらしくてイイんだけどね 笑)
『【全曲レビュー】UVERworld 10thアルバム『UNSER』 〜ノリと勢いだけの感想文〜』より

と以前書いたけれど、『体温』もその代表例。

TAKUYA∞さんの恋愛ソングは、たいてい「実体験じゃないです」というお断りが入る割には言葉や思考回路にむげむげしさが溢れ出てて、それが良いのよね。
日頃の言動やファンに対する接し方を見てて「こんな恋愛するんだろうな〜」という想像を地で行く感じ。
例えばこんな特徴↓

①激甘ロマンティックラブリースウィートベイベー
例)
・SHOUT LOVE
・aLovely Tone

②「水を注ぎすぎ枯らす 守りすぎて日差し閉ざす」マン
例)
・AWAYOKUBA
・THE OVER

③でも結局夢選んじゃうマン
例)
・SHAMROCK
・Revolve

『体温』もまさに③の「夢選んじゃうマン」songなんだけど、ずっと夢を選び続けてきて「綺麗事を抜いたら何が一番大切かは言えやしないけど」なんて歌ってきたTAKUYA∞さんが、40歳目前になって

愛より大事なプライドなんてない
君より大事なものがあるわけない
『First Sight』/UVERworld

と歌うのは感慨深いものがありますね。

話が逸れ始めたので、『体温』に戻って。
まずは数年前に書いた感想文がこちら。文字数制限の関係で書ききれなかった内容を後半に付け足しますね。
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隣の席の清水くんの等身大失恋ソング(過去のレビュー)

『体温』は「隣の席の清水くん」の悩み相談タイムみたいな飾らなさが好きです。
ステージに立つと迷いの無い強い姿や言葉を届けてくれる彼だからこそ余計にこういう普通の男子の等身大の失恋ソングみたいのがグッときてしまうわけで…。

昨日は何してたの?
心配するじゃん 電話出ないし

ホントは昨日の夜「あいつなんで電話出ないんだよ!!アアアアァッッ!!!!」ってのたうちまわってた癖に。気持ちの変化に薄々気づいちゃってるからこそ「何してんだよ!?てめー電話出ろ!」って言えない立場の弱さ。
核心を知りたいけど知るのが怖いから、わざと明るく軽めに振る舞いながら、内心ビクビクしちゃってる切なさ。
 
たった二行なのに背景にあるこんなストーリーが読み取れるほどの臨場感で一気に清水くんワールドに引き込むのがまず凄い。
歌詞でもMCでもブログでも、TAKUYA∞は語尾や口調を自在に操って、伝えたいメッセージを一番効果的に伝える術を知り尽くしているズルい人だなぁと常々思うけど。
この最後の二行の口調もまさにそれ。
 
そして、この歌詞。TAKUYA∞にしては珍しくどこまでも女々しい。
スニーカーすり減る程時間経っているというのに未だに心の中で語り掛けちゃったりして、いつまでズルズル引きずるのーー、って。
「楽しかったじゃん!なんでだよぉ!意味わかんないよ!うわぁぁ!」って未練タラタラで。
その割には結局夢が一番大事なんでしょ!?

綺麗事を抜いたら 何が一番大切かは言えやしないけど

って!そんな事思ってても口に出したり、その様子を見せちゃダメ!そりゃあ彼女も淋しかったと思うよ?
んもぉ!清水くん、いつまでウジウジしてるの!?胸貸そうか!?ってなって結局抱きしめたくなる、そんな『体温』が大好きなんです。
 
※この文章後半の私はTAKUYA∞のオネェ友達っていう設定だから、マツコ・デラックス口調で読んでほしかったです。(最後に言う)
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磨り減ったスニーカーで「戻る」場所

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この曲の流れはわかりやすくて。
1番は別れの日のこと。
2番は別れてからある程度時間が経ってからのこと。
サビ以降は、いまだに引きずる想い。君に伝えたかったけど伝えられなかった言葉たち。

時が流れてから「あの頃の君」に語りかける歌詞ってどうしたって切ないんだよなぁ・・・

仕事とはまだ呼べないけど
今日もギターを持ってJazz Barで歌わせてもらっている
君から貰ったスニーカーは ちょっと磨り減ってきたけど
その分履きなれた

この歌詞の大切なモチーフとして出てくる「スニーカー」を通してやんわりと表現されているのは、
すり減るほどの時間が経ち、その分履き慣れた=君のいない暮らしに慣れてきたという事実。

「ま、それなりに働いて僕なんとかやってます。スニーカーもまだ使ってます。」と一瞬平静を装うのに、結局まだずるずる引きずって彼女の言葉を反芻したりして、冷静と情熱の間を行き来しているあたりが切ないんだよなぁ。

「何一つ先の見えない関係に愛想が尽きた」って
夢じゃないかと 悲しすぎて僕は笑う

なんとミゴトなすっとぼけ!!!!
今まで彼女、何度だってサイン出してきたんだと思うよ〜。
彼女「ねぇ、この前結婚した職場の後輩、もう家買ったんだって〜」
僕「ヘェ〜、まじで。すげーな!じゃ、俺スタジオ行ってくるわ!」
みたいなやりとりしてなかった!?

彼女だって望んだ結末じゃないこと、最後の涙からも分かるでしょう?
彼女が欲しかった「目に見えるもの」。それは「もの」とは限らず確かな「言葉」だったり「約束」だったんじゃないの?

「夢じゃないかと」驚いてる場合じゃないし、笑ってる場合じゃないのよ。
もぉ〜、そういう所だってば!(byむげこ・デラックス)

「サヨナラ」のその一言だけで 消えてしまう程ちっぽけな愛だったんだ
追いかけようとしたけど 現実は腹が減るから
磨り減ったスニーカーで 僕は夢の中へとまた戻る…

「現実は腹が減るから・・・」「俺、正社員になる!!(バイトルNEXT)」となるかと思いきや、なんと!この期に及んで!夢の中へと!「また」!戻ってしまう!NO!!!!

この「現実は腹が減る」という歌詞ね。ストレートに「現実は甘くない」という意味だけでなく、
「夢を食べて生きる僕」は夢じゃないとお腹いっぱいになれない、つまり、「現実」では満たされない、っていう比喩的な意味も込められてるのかな、と。

それが自分でもわかっているからこそ、追いかけない。
「スニーカーのまま」つまり、君への想いを抱えたまま夢の中へと戻っていくのが・・・ウッ、ウッ(泣)

未練も断ち切れずにいるけど、結局、彼にとって夢こそが「向かう」のではなく「戻る」場所なんだよな〜。

「磨り減ったスニーカーで 僕は夢の中へとまた戻る…」
もうこの表現↑最高ね(;_;)
誰がなんと言おうと私の中では、
この曲最大のハイライト yo!
ギターソロとセットでパーフェクト yeah!
私の心にクリーンヒット c'mon
(はい、またクソラップの誕生です)

この「夢の中へとまた戻る…♪」からギターソロに入る流れが好き過ぎるから、2018年に再録された『ALL TIME BEST ver.』でも原曲に近い形で残してくれたことに感謝ですよ!!(でも全体的にはギターの音色が優しくなってるよね、BEST ver!)

確かにあったでしょ? 目には見えないけど
大きなカバンでも入りきらない位の
好きなレコードや 待ち遠しい季節が
ただ一緒なだけで笑えてたじゃん

語尾の話に戻ると、クライマックスでも待ってましたよ。極め付きの

 「笑えてたじゃん(泣)!!!」

突然甘えん坊かよ!!!!(大声)
だって歌声聴いて下さいよ。ハスキーヴォイスで未練タラタラした挙句、「じゃん(泣)!!!」ですもん。
ここでもナチュラルに人たらしスキルを発揮するわけです。
私のようにチョロい女なら「わかった〜!じゃあ一緒に夢を食べて生きよ、たっきゅん∞♡」って光の速さで舞い戻るけど、「現実」はそんなに甘くはないわけですね。
TAKUYA∞くん、その美貌と甘えん坊お色気ヴォイスで「じゃん(泣)!!!」作戦使っても戻らないならもう望みは薄いわね、次探しなさい。(byむげこ・デラックス(再来))


最後に世の男性にアドバイス。

「サヨナラ」を言わせないように くちづけで君の言葉閉ざしたんだ

これ、歌詞だから絵になるけど、女性から別れ話を切り出された際にとる戦法としてはとてもリスキーかと。
相手が現実世界を生きるリアリスト女子の場合はもってのほか。
「ほら、そうやって誤魔化す!現実から目を逸らさないで話を聞いて!」
と逆効果になる確率88.8888∞%
あのTAKUYA∞様をもってしても通用しないものだという現実を真摯に受け止めましょう。(この歌詞も実体験じゃないらしいけど???)

じゃあ、夢にうつつを抜かしてたら別れを切り出された!!!そんな時、どうすれば良いかって?
そんなの決まってるじゃん。激しい雨に打たれながらコレだよ、コレ。

「俺!正社員に、なるッッッ!!!!ズドーーーン(落雷)」



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