ひっちゃかめっちゃか

あいつに彼女ができたと聞いてからもうすぐ半年が経つ。あれから一度も会っていないのに、あいつは記憶から消えてくれない。

去年の10月、居酒屋でナンパしてきた人がその場で呼んだ男友達。それがあいつだった。垂れ目で鼻が高くて、話すと眉毛が上がる、整った顔。人生で初めて一目惚れをした。

その場でLINEを交換した。それから毎日LINEを続けて、12月の終わりにやっと、2人で飲みにいけることになった。

「居酒屋 デート 服装」「初デート 仕草 かわいい」Google先生にひたすら聞いて、友達にひたすら相談して、やっと当日を迎えた。


あいつが選んだのは、駅の南口にあるレモンサワーのお店。集合時間よりかなり前についてしまった。こういう時ってお店の中に入ってればいいの?いや、遅れてきた方がいいのか。なんて、ぐるぐる考えてるうちに時間の5分前になった。結局お店のドアより少し離れた場所に立ってあいつを待った。

あいつは集合時間に少し遅れてやってきた。

お店に入って、窓際の席に座る。緊張しすぎて、私の後ろに置いてあるメニューに気づかずに、ただ座っているだけ。「メニュー、うしろ」あいつに言われて、やっと気づいてメニューをとった。

はじめのガチガチの緊張は時間と一緒に消えていって私にも余裕がでてきた。友達と考えたモテ仕草はできなかったけど、ちゃんと目を見れる。よしよし。

目が合って、笑ってくれる。話す時にちょっと眉毛が上がって、ちょっと照れながら笑う感じ。あぁかっこいいなぁ。ずっと見てたいなぁ。


うまく話せないし、目みるだけで照れちゃうし、全然綺麗に食べれない。あーもう、こんなはずじゃないんだ。

けど楽しいな。この時間が永遠に続いていけばいいのに。