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『帰り花』

『帰り花』
R5.11.10
帰り花弓道場の的の傍
          まるかじり
人生のピークは小五帰り花
          あみま
たばこ屋の先はどんつき帰り花
          クロまま
電線の終はりはいづこ帰り花
          北野きのこ
結婚にむかない姉妹帰り花
          小藤たみよ
返り花ほどには今も妻のこと
          卓鐘
帰り花咲いて辞められない家族
          丁鼻トゥエルブ
ちょっと違う家族の形帰り花
          GONZA
帰り花完治せぬとは聞いている
          らん丸
遺言に好きな雲かく帰り花
          七瀬ゆきこ
嘶けば雨に打たるゝかへりばな
          巴里乃嬬
帰り花眩し初七日慌し
          播磨陽子
二度咲きを振り返りゆく喪服かな
          水野大雅
帰り花まだ警察は動かない
          めろめろ
機動隊本部は静か帰り花
          誉茂子
反論は五分帰り花の過失
          麦のサワコ
幹にまだ火の痕かへりばな白し
          古瀬まさあき
R5.11.17
返り花ふるさとといふ箱にゐて
          常幸龍BCAD
ざんざんと心は無風かえり花
          岬ぷるうと
帰り花革命起こしさうな色
          よしかわよし
無音より静かに帰り花の咲く
          広島じょーかーず
青空の寂しきたひら帰り花
          トウ甘藻
帰り花砂場の山の長き影
          長月晴日
体罰は痛し帰り花は小さし
          松井くろ
心臓は孤高な果実帰り花
          安溶二
善なるは土偶の尻や帰り花
          駒村タクト
帰り花白し麒麟の目の高さ
          ほろよい
忘れ花子兎埋める土黒し
          大紀直家
爆心の校門の碑に帰り花
          ⑦パパ
返り花石積み上げる儀式かな
          細川鮪目
帰り花マトリョーシカに罪はない
          里山子
死にぎはのたましひきれゐかへり花
          矢的
『天』
架けてから決める橋の名帰り花
          葉村直
返り花の二グラム熊の二百キロ
          さおきち

教え・・・読者として「恋」というテーマのフィルターかけて読むと、句の奥に意味が新たに付与されていく例もある。(R5.11.9 虎の巻 談)
『銀曜日』
先輩の下の名を知る帰り花
          かねつき走流
帰り花自分のための独り言
          青田奈央
独身の叔母に帰り花の匂ふ
          春海凌
永住を決めて帰り花の眩し
          山本先生
帰り花つわりの記憶さへ甘し
          西川由野
告知から十年の日々帰り花
          滝沢にょろにょろ
古本に父の書き込み帰り花
          みらんだぶぅ
帰り花スワンボートの羽に傷
          恵勇

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