ギリギリ勇者ダブンガル

第一話:
勇者ダブンガルはお腹が空いたのでクリームパンを食べることにした。むしゃむしゃむしゃ。
「はー、食った食った。今日も平和だなー。大体において猫ぐらいしかいないなー。にゃーってなもんだなー。ははは」
「何言ってんの。こんな日にこそ、戸締り、ガス栓、注意しないと。注意一秒、怪我一生よ」
「おー、こわい。わかりましたよ。こんな日にこそいつでも戦えるように準備しておかないと、えらいことに……。ぐ、ぐわー!」
そこにドラゴンが現れた。すごい。火を噴いている。顔が二つに分かれていて、舌をチロチロ出したかと思うと、次の瞬間、火を噴いている。2メーター80センチぐらいはありそうだ。でかい。でかい気がする。というよりも勇者ダブンガルは、今まで一回もドラゴンと戦ったことがないのだ。一応自分勇者やらしてもらっていますっていう風に、自分でそういう風に言っているだけなのだ。
「わー、やばいー、食われるー」
すみませんでした、宮田君4時間目の社会の時間に消しゴムぱくったの僕です。すみませんでした、プールの時間に実は足ついたけどついてない風にみせて、やってやったぜ。といった空気だしてなんとか合格にしてもらったの僕です。すみませんでした。親友の高木がマチコちゃんにふられた時、正直よし!と思いました。すみませんでした。
もう嘘とかそんなのは向こう一週間ぐらいは言いません。許してやってください。許してやるというよりも、スルーしてやってください。どうせおいしくないです、僕の肉。がりがりだし、それに色白だし。もっとこうイケメンサーファー的なやつの肉の方がうまいに決まっています。そうです、こんがりリア充のほうが、きっとうまいはずです。ですから僕を食わないでください。これは一生のお願いっていうか、まぁ相手はドラゴンだがらもう会うことないと思うけど。その前に一生のこととかわからないと思うけど。それでもそこをなんとか。あれで。これで……。ということを0.2秒ぐらいの間に考えているうちにドラゴンの顔の右側部分が勇者、ダブンガルに迫った。ピンチ、ダブンガル。いきなりピンチを迎えたダブンガル。どうなる!?来週へ続く。


第二話:
「ファイヤーアップルジュース!!」
ジェニファーは得意のファイヤーアップルジュースという魔法を繰り出した。火がでるのだ。手から火がでて、それはもうかなりの火柱というか、もう、もくもくとなってね煙なんかが。こう、もくもくとなってすごいのだ。そしてドラゴンをやっつけた。
「ふぅ。あぶないところだったよ。ジェニファー。ありがとう」
「あなたね。あれぐらいのドラゴン倒せなくて、何が勇者よ。その腰につけてる剣みたいなものは飾りなの?」
「うーん。ごめーん」
勇者ダブンガルは、うーん。ごめーんが口癖だったのだ。だいたい日に3、4回は言っていて、自分でもそんな卑屈な自分がいやなのだけど、なんか言ってしまうのだ。以前そのせいで自己嫌悪に陥り、2週間ほど仕事を休んだことがあるのだ。
「まぁ、いいわ。とにかく剣の練習しないと。今回は2メーター80センチぐらいのドラゴンだったから良かったようなもので、この世界には5メーター35センチクラスのドラゴンもゴロゴロいると聞くわ。ていうか。幻の6メータークラスというのもいるらしいわよ。なんか聞いたとこによると。ビルね、そうなってくるとビルディング的な大きさのドラゴンがこう、きたときにさすがの私のファイヤーアップルジュースも効かないかもしれないわ。そうしたら私たち一巻の終わりよ。そうならないためにもあなたは少しでも剣の練習をしなくっちゃ」
「うーん。ごめーん」
それから勇者は剣の練習を始めた。剣ををこう、縦に振ったり横に振ったり、もうそれなりに忙しい日々が続いたのだった。
そこへまたもやドラゴンが現れた。ばーん。今度は3メーター40センチ級のドラゴンだった。
「やばい」
今日はジェニファーは家でイチゴジャムを作って、一日中メルヘンとは何かということについて考えることにするって言ってた。だからここにはいないし……。まずい、今度という今度は食べられてしまう。よーし。勇気を奮い立たせて、そしてジェニファーがいなくてもやっていけるというところを見せて、サーファー達に負けないように、そして全国のしがない男子生徒の希望の星になるべく、このドラゴンをバシっとやっつけてやろうじゃないか。そうこうしているうちにドラゴンが大きな口を上げて勇者に迫る。
「わわわ、やっぱダメかも。あ、こわっ、こっわっ!」
勇者ピンチ。今度こそ食べられてしまうのか。次週に続く。


第三話:
「エキセントリックエルボー!」
勇者はあれほど剣の練習をしてきたのにもかかわらず、エルボーを出した。エルボー。つまり肘うち。肘をこう滑らすように相手にぶつけていく。肘というものは、骨が出っ張っており、人間の体の中でも比較的硬い部位なのでここで殴られると結構痛い。エキセントリックエルボーとは体の中の硬い部位を利用して相手にダメージを与える。といった特にこれといって面白味のない地味な技なのである。それを出した。
ドラゴンの右目にヒット!7のダメージを与えた。しかしキレた。ドラゴンは。ちょっと目にダメージを受けてキレた。
「何してくれとんじゃーい!目ぇ、見えんなったらどうすんじゃーい!」
ドラゴンはどこの出身かはよくわからなかったが少し方言が混じっていた。しかしピンチなことにはかわりない。ドラゴンはもともと、体力が183ポイントあるのだ。それにぱっと見た感じ身長が大体、3メーター40センチぐらいはあるのだ。ドラゴンが口をあけて今にも勇者の右腕を食いちぎらんと襲い掛かった。
「ぐあー。だめだー。今度こそダメだー。こんなことならヨドバシのポイント貯めずに使っとくんだったー。ぐあー。」
まずいぞ。勇者。死んでしまうのか。まだ何もやっていないぞ。誰も聞いていないぞ。話が何も進んでいないぞ。大丈夫か。勇者ダブンガル。戦え。ダブンガル!
次週へ続く。


第四話:
「味噌煮込みクラッシャー!!!」
どこからともなく岩石が降ってきてドラゴンの頭蓋骨を割った。ドラゴンは倒れた。勇者はその岩石が降ってきた方向を振り返った。丘の上にカウボーイハットをかぶった男が一人、口笛を吹きながらこっちを見ている。
「だ、誰だ!?」
「ふふふ。その程度のドラゴンも倒せないようでは一人前の勇者とは言えないなぁ。久しぶりだな。泣き虫のダブ!」
「お、お前は、部活動はやっていなかったけど、持ち前の運動神経によりアンカーを任され、最終コーナーで他のランナーをごぼう抜きにして、女子にきゃーきゃー言われていた柳林(やなぎばやし)じゃないか!」
「そう。俺の名は柳林。またの名を”明日の希望のカウボーイマン”人呼んで、明日のカウ!!」
「ふーん。それにしてもありがとう。あやうくドラゴンに右腕を食いちぎられるところだった」
「礼には及ばん。しかしお前、勇者ならあの程度のドラゴンは一人で倒せないとな」
「そうなんだよ。そこ。まさに俺が言いたかったのはそこなんだよ。あのドラゴンが倒せないようなら、最終的にラスボスは幻の6メータークラスがやっぱりでてくるんだろうからやっぱりそれは困った感じになるだろう。それは」
そこにメルヘンとは何かを悟ったジェニファーが通りかかる。
「あー、また練習さぼってー。そんなんだからあんたは……。はっ。柳林君……」
いかん。ジェニファーの目がハートだ。これはなんとかしなければ
「エキセントリックエルボー!」
勇者はジェニファーに向かってエキセントリックエルボーを繰り出した。
ガン!!
ジェニファーは鼻血が出た。ジェニファーはキレた。
「乙女に、しかも柳林君の前で何すんのよー!!」
「ファイヤーアップルジュース!!」
勇者は火達磨になって危うく死にかけた。病院に行って一命をとりとめた。


第五話:
それから1年。ラスボスのドラゴンは勇者がなかなかやってこないということで自暴自棄になり、もういいよ、どうでもいいってことだよ俺なんか。世の中に必要とされてないよ。といって、睡眠薬を大量に飲んで死のうとした。翌日スライムみたいな下っ端のやつが、朝食を運びにボスドラゴンの部屋に入ったところ、ボスドラゴンさんがぐったりなっているところを見つけ、すぐに病院に搬送。なんとか一命をとりとめた。現在療養中である。

しかしそのおかげで世界は平和を取り戻しつつあった。そこら辺にいるものといえば猫ぐらいのものだった。
「あーあ。平和だなー。特にに何も起こらないなー。猫ぐらいしかいないもんなー。にゃーってなもんですよ。実際」
「何言ってんの。こんなときこそ、戸締り、ガス栓、気をつけないと」
そこに3メーター73センチのドラゴンが現れた。
「がおー」
ジェニファーがファイヤーアップルジュースで倒した。

ありがとうございます。