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言葉を尽くして同じ景色をみる

少し前にNETFLIXで「SEX EDUCATION」という作品を観た。ツイートの通り、セックスセラピストを母に持つ男子高校生オーティスが主人公の物語だ。

この作品では、10代の多様な恋愛の形が、当たり前のように描かれている。ゲイもレズビアンもバイセクシャルもいる。性交時に勃起できず悩む人も、自分の身体に自信が持てない人も、相手から拒絶され続けて自殺を図る人もいる。その複雑さは、「ティーンはアドレナリンが出まくりでとにかく恋愛したいお年頃」なんて安易な決めつけを許さない。

そのなかで、オーティスはセックスセラピストとして、時には人の悩める男子高校生として、複雑さを乗り越え、誰かと心を通わせようとする。

その言葉を尽くす姿勢をみて、思い出した本がある。1000人を超える恋愛相談を聞き続けてきた清田隆之さん、森田雄飛さんによる 「生き抜くための恋愛相談」だ。

そのなかで、森田さんが語る“共感”は、オーティスが試みる対話の形と重なる。

個人的には〝共感〟という行為に興味があります。これは結構奥深くて、単に「わかるよ」って相づちを打てばいいというものではなく、「相手に見えている景色」が同じように見え、「相手が何にどう悩んでいるか」が読み解けてはじめて成立するものではないかと考えていて。
(中略)
逆に言えば、共感が成立すると我々と相談者さんの間に「今、俺たちには同じ世界が見えてるよね!」というグルーヴ感のようなものが生まれる。これがめっちゃ楽しいんですよ(笑)

「SEX EDUCATION」では、オーティスを介して、その“グルーヴ感”が生まれる瞬間が何度か訪れる。それは、男と女は別の生き物だから分かり合えないのだ、といった前提のもとで語られる恋愛ドラマとは、まったく異なるリアリティを持って、私の心を揺さぶる。

日本においても恋愛や性に対する考え方は多様化している。「言葉を介さず心が通じあう」関係に憧れはするけれど、私は「言葉を尽くして同じ景色を見る」恋愛を選んでいきたい。そう、改めて感じさせられる作品だった。

年始のLifeでも「言葉を尽くす」話が出てきていた。個人的にも今年のキーワードにしたい。

#コラム #NETFLIX

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