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巻き込まれて生きていく #羊2

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2017年6月26日
そのリストには、200軒を超える羊肉を出す飲食店が既に挙がっていた。

麹町にある羊齧協会主席菊池さんのオフィスに、8人の羊好きが続々と集まってきた。菊池さんと僕のほかには、四川フェスのキックオフや羊齧協会の会合で会ったことのある女性、四川フェス実行委員会の一員だったブロガーの男性、初めましてのご夫妻、神戸から来られたという中小企業診断士の男性、そして編集・出版業界の香りが立ち込める女性。この原稿を書いている段階で、半分の方についてはどんな方なのかよくわかっていない。追い追い明らかにしていこうと思う。
とは言え「四川フェス実行委員会の一員だったブロガーの男性が」などと書いていると長くなってしかたがないので、今僕が知る範囲の情報と独断による推測で、登場人物を整理しておく。

菊池さん:羊齧協会主席。男性。

岡さん:羊齧協会の会合をはじめ受付をやっておられるところをよく見かける女性。いろいろ気が回る方なのだなと思う。

大谷さん:年間600軒近く食べ歩くという強靭な胃袋と行動力を持った食ブロガーの男性。得意分野はスシとエスニック特に中華。たぶん尿酸値高め。

廣瀬さん:中小企業診断士と名刺に書いてあったので、そういうお仕事をされているようだ。神戸から参加。

松繁さんご夫妻:ご夫妻でプロジェクトに参加しているということ以外、まだわからない。横須賀在住、だったっけか。以下、松繁さん(夫)松繁さん(妻)と記載。

野瀬さん:編集・出版業界の方と思われる。出版社との交渉を担当しているぽい。

この日は既に何度目かになる編集会議らしく、菊池さんが店舗情報以外に載せるべき情報についてアイデアを募っていた。
羊の部位の紹介という僕でも思いつきそうなところから、地域ごとの羊肉串の違い(え、違いあるの?)、山羊と羊の違い(え、そもそも同じなの?)とか、スパイスの紹介や羊肉を売っているお店の紹介、ミートパッカー(それ誰?)の取材から流通プロセスなど、耳なじみのないフレーズ連発で戸惑いを隠せない。これまでただ「羊肉ウマー」とか「クミンたまらん」とか言って消費する専門だった羊初心者の僕としてはもう、知ったような顔でうんうんとうなずくことくらいしかできない。

なんとなくアイデアも出尽くした感があり場がふっと静まったとき、菊池さんが「あ、そう言えば、向井さんを皆さんにご紹介していませんでしたね。デザインの会社と、高田馬場新聞というローカルメディアをやっておられる方です。あ、あと四川フェスでパンダの着ぐるみを着ていたのがこの人です!」と突然僕を紹介し始め、パンダの中の人のくだりでなぜか「おぉ!」という声が漏れ聞こえ、その場の温度が0.1度くらい上がった。

僕が四川フェスに巻き込まれることとなったきっかけの一つに、パンダ活動がある。きっかけは2012年の10月のこと。中国の四川省は成都にあるパンダ基地の主催で開催された「パンダ大使コンテスト」に応募した僕は、幸運にも日本予選を通過してアジア太平洋地区準決勝へと駒を進め、シンガポールまで行った。この話をすると誰もが「え?」という顔をする。しかし今思えば、確かに本当のできごとだったのか怪しいほどの、とても大規模なイベントであった。なにせ全世界から3人のパンダ大使、すなわちパンダの保護について全世界へ広める人を募るというのだから。幸いというべきか日本ではイベントの認知度に比例して応募者は少なく、おかげで僕も予選通過できたのだろう。韓国、台湾、香港、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシアといったアジア各国から集った23人のパンダ好きたちとシンガポールでパンダ愛を競うという、この先二度とできそうにない体験だった。そんな実績(?)もあり、パンダ=四川ということになったのだったかどうかは覚えていないが、四川フェスでパンダの着ぐるみを着ることにしたのだった。

パンダの中の人、にどれほどのバリューがあったのかは全く計り知れないが、初対面の皆さんから一目置かれることには成功したらしい。
というわけで、東京ラムストーリー2が形になっていく様子を記録していく係を仰せつかった。羊は好きだがラムとマトンの違い以上の知識は持ち合わせない僕が、東京ラムストーリー2のプロジェクトを通じて知ったこととか、プロジェクトの進捗とか、彼らが何を考えているのかとか、どんな人が関わっているのかとか、そんなことをお届けしていく所存だ。

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