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ストリップ遠征記 岐阜まさご座編

まさご座に憧れている。岐阜県に憧れている。 ストリップに焦がれている。 ずっとずっと待ち望んでいた場所に、今回行けることになった。 なったというか、お仕事の繁忙期を乗り越えて、ご褒美に、遠征旅行に行くことにした。 関東の民なので、岐阜とは縁遠い。 だけれど、ストリップファンとしては、一度は訪れたい場所だった。 印象的な電飾看板、絨毯敷という珍しい劇場、洋館を思わせる重厚感がある。 土足厳禁という唯一無二なルール。 興味は、ぐんぐん膨らんでいた。 ストリップがご縁で繋がったSN

    • 社不伝

      本当に仕事が長続きしない。 人が嫌になって、すぐ辞めてしまう。 毎日仕事に通うのも、しんどい。 なんとなしに、職歴を列挙してみたら、鬱になった。 鬱になったついでに、その恥でしかない暦を晒そうと思う。 高校生時代アルバイト 本屋(数ヶ月で辞めた) 郵便局年賀状仕訳(超短期) パン屋(数ヶ月で辞めた) 動物園売店(数ヶ月で辞めた) ファストフード(数日で辞めた) レンタルビデオ(数ヶ月で辞めた) 印刷工場(短期契約満了) 専門学校時代アルバイト コンビニ(数ヶ月で辞めた)

      • かけひき

        少しだけ愛だとか恋だとかに、足元掬われたかった。 ちょうど良いところで貴女が、私を見てくださいと声をかけたから、私は貴女を好きになってしまったと伝えた。 貴女は、遠くの方を見ていて、ただその人の視線が返ってくるのを待ち侘びていた。 私はてんで、いろはも知らず、阿呆のように喜び勇んで、熱を上げた。 貴女が私から欲したのは、直向きな賞賛であり、私に触れたいだとか、私への求心でない。 気付いた途端虚しくなって、私はそっぽを向いた。 いつだって焦がれてるんだろ、貴女も私も。 柔らかい

        • カテゴライズ

          ずっと恋愛をしていないと、生きていけない人間だった。 誰かを好きで、誰かを口説いていなければ、苦しいと思うほどに、恋愛脳だった。 古典的なキザなことをするのが、楽しい。 私に少しでも心絆されてくれたら、嬉しい。 かっこいいと色めいた視線を貰えたら、心地よい。 誰かより魅力的に見えたら、勝ちだなんてそんな風に思っていた。 だからそのためにかっこよく見えるであろう格好をしたりだとか、自分がされたら嬉しいであろう行動をした。 相手を傷つけられるほど、絶世の美男美女でも、器用な人間で

        ストリップ遠征記 岐阜まさご座編

          断罪

          君ってずるいよね。 そうやって、まだ私も覚えているよみたいに、"それ"身につけてさ。 私がなんとも思ってないと思ってるのかな? それとも、なんとも思ってるのを手に取るようにわかるから、軽快なリップサービスのように纏わせているんだろうね。 私はほら、単純な人間だから、わかりやすく喜んでしまうし、あー、可愛い顔して笑ってるなーなんて、少しだけ浮ついた心で見てしまった。 一線を超えてこない私は、人畜無害。 好きだった君も、もはや推しの概念に変わっていた。 それなのに。 夕日に混

          セックス の話

          セックスはしたくない。 人を介して気持ちよくなりたくない。 作られた作品を見て自慰は好きだけど、他者と交わりたくない。 体を触れ合わせて抱き締めることも、抱き締められることも好きだけど、他者の異物が入るのは嫌だ。愛を囁かれたくない。綺麗だとか、可愛いとか、気持ちいいとか、えっちだねとかうすら寒い。気持ち悪いの域に達している。 だからと言ってそれをする人たちに侮蔑の感情はないし、正直羨ましさもある。 なぜ私はそちらになれず、自分で完結してしまうのかと悩んでいるに近い。 自分の性

          セックス の話

          彼女と別れる少し前の話。

          ご飯は彼女が持って帰ってきたコンビニの廃棄だった。 体に悪いなと思いながらも、生命線のそれを2人で美味しいとむしゃむしゃ食べた。 私達はお金がなかった。だけどこの小さなアパートの一室があれば多分何もいらなかったんだと思う。 そのアパートはコーポすみれという名前で六万円の家賃を2人で折半して払っていた。 三万の出費でさえ、ひーひー言いいながら、私はリラクゼーションのアルバイトで月に15万ほど稼いでくるそんな暮らしだった。 どうでもいいようなことで喧嘩して、 例えば前の彼女が好き

          彼女と別れる少し前の話。

          スト客、芦原遠征旅行〜母ちゃんだって何者だって好きなものがあるって最高〜

          ストリップに出会ったのは、4年とちょっと前。 私は結婚して子供を産んで、子供が幼稚園生だった時だ。 フルじゃないパートの仕事を始めて、時間的余裕も生まれて、ずっと抱えてた気持ちが爆ぜた時でもある。 まだその時の私は、お母さんになりきれなくて、付き合っていた女性の恋人と、またどこかで縁が繋がると思っていた。 この生活を大事にすることなく、かといって世間の常識ってやつに固執しているので、上辺の努力をしていた頃だ。 子供は可愛いが、彼女と過ごした日々が恋しい。 旦那さんのことは愛し

          スト客、芦原遠征旅行〜母ちゃんだって何者だって好きなものがあるって最高〜

          ろくでなしジゴロ

          熱が、熱が、ただ熱が続けばいい。 後部座席の窓から差し出された唇に返礼よりも激しくキスをした。 酔っている、それもひどく。 「また会おうね〇〇ちゃん」 「レイさーん、絶対ですよぅ」 嬌声にも似た声色がアルコール漬けの脳にまとわりつく。 さて、果たしてその〇〇の名前は正しく言えただろうか。 適当にその時思い浮かんだ名前に別れ告げ、愛しい女が待つ家路に向かう。 いつ刺されてもおかしくない火遊びは愛しい女との平穏のための犠牲だ。 傲慢よりも甚だしい欲求は、向けるべき相手に拒否され持

          ろくでなしジゴロ

          一幕

          列に並ぶその人が気になる。いつしかそちらの方に気がとられている自分に気づきハッとした。 「2枚で、おまかせで」 私の順が回ってきたのもやっとの認識で絞り出すようにそう告げた。 ここはストリップ劇場。私はステージに立つとあるお姐さんが目当てできている。 お姐さんとの出会いは地元にある劇場で、参加型の魅せる演目に目を奪われた。がちっと自分の中で嵌る音がして、そこからそのお姐さんが出る劇場に足を運んでいる。 きっかけはそれだったが、どんどん通う内に今自分が悩んでる悩みが払拭されるよ

          素晴らしき哉、ストリップ人生

          私はお腹が空いてもチェーン店の店の、それも一度誰かと行ったことのある店しか入れない。でもストリップには通う、1人で。行ったことない町にも足を踏み入れるし、寄り道もしないで目的地は特定のお姐さん。 そのお姐さんがいる劇場へ足を今日も運ぶ。 そもそもの始まりは女体がみたいな、だった。 私は当時、同棲していた彼女と別れ、その後男性と結婚して子供を産んでいた。育児や家事、仕事。毎日せっせと過ごしていた。 精神的な病気を持ちながらこの生活をするのは中々ハードだ。 お母さんになった途端

          素晴らしき哉、ストリップ人生

          自分が大好きで自分がクソ

          自分を大好きだという気持ちと自分なんてクソだという気持ちでいつも行ったり来たりする。 俯瞰というより客観視、それも自分が世間の目に成り代わったような気になり、切り替えただけのやつ。それの普通というやつと比較して自分は落ちこぼれだと凹むのだ。 どれだけ上を知って下を知って周囲を見渡せているわけでもないのに自分のコンプレックスだけを上げてしまう。 三子の魂と言うけれど私の世間の目というやつは親の価値観が常識の基準になっているみたいだ。 体重は48キロくらいがちょうど良い、

          自分が大好きで自分がクソ

          愛とお金について

          私は女の子を好きという時にお金を介してしか言えない。 最初からこうなのか途中からこうなのかわからないが気づいたらそうなのである。 好きな女の子ができたら、まず何かを贈らないとと過ぎる。私の愛情はお金と親密らしい。 私は以前女の子とお付き合いをしていた。その時にもまず指輪を贈った。貴女のことが好きですと表現できる方法が私にはそれしか思い浮かばなかったから。 要らないものをあげても仕方がないので、彼女とウインドウショッピングに出かけて可愛いといっていたものを贈った。 ブ

          愛とお金について

          18才くらい考え出す話

          えろいことって考えますか?考えたとしてそれを人に話せますか?友人との会話で話すことへ躊躇したことはありませんか? 男性の性を顕にすることを健全としたり、逆に興味ないとすると不健全としたり、女性が性を語るときにはオブラートに包んだり、ファッショナブルを追加させることによってポジティブに主張したり。 男女だけの枠でこうすべきあーすべきと言われる現状に疑問符を浮かべることが多々あります。 男女ではなく十人十色、個人差で多種多様な性がある。その中で誰かを傷つけないで、傷つけるこ

          18才くらい考え出す話

          夜街劇場サイド②

          ここ葵劇場の専属の五十鈴は一番の売れっ子で楽日の今日は、ほぼ彼女の客で占めていた。 緊張した面持ちの先ほどの客も先日初めて友人に連れられてきて、五十鈴の魅力に取り憑かれたようだ。 十日間の興行のうちの2回目、一人で観にくるとはさすが看板女優の力だと女支配人は思う。しかも今日は問いに答え、私は正の字を一本引いた。 この正の字にこもる熱に私は胸が熱くなる。 「それではトリの五十鈴嬢の出番です。盛大な拍手でお迎えください」 受付からぼんやり投光室の声が聞こえる。 パチパチと一丸とな

          夜街劇場サイド②

          夜街劇場サイド

          夜の街は今日も冷える。 足早に家路に帰るものがいれば、ここには色んな人々が往来する。 甘い蜜を吸うために夜街の花屋(接客を伴う店)へ向かうもの、花を鑑賞するもの(ストリップ劇場)、それを支える仕事人たちの歩みだ。 今日もその歩みは絶えることなく、その歩みを導くように劇場の灯りはこうこうと照っている。 人肌よりも明らかに熱い電飾は、熱に浮かされたように人の隙間を熱らせる。 「一人でも大丈夫、さ、お姉さんもどうぞ。」 劇場を切り盛りする女支配人が声が響き、はいと小さく頷き緊張した

          夜街劇場サイド