真性包茎に危機感を抱く

 小学4年生で真性包茎となってしまった私ですが、しばらくはそのことに危機感を抱くことはありませんでした。そもそも、なぜ皮が剥けるのか、その理由も必要性も分からず、父親はスッポリと皮が被っていたので、自分も大きくなったらああなるのかなぐらいにしか思っていなかったのです。今思えば祖父は剥けていましたが、滅多に一緒にお風呂に入ることはなかったし、そういう人もいるのかなぐらいにしか思いませんでした。

 小学6年生の時、私は初めて「包茎」という言葉を知りました。漫画で包茎を揶揄するような表現があり、大人になったらペニスの皮が剥けなくてはいけない、そうでない人は包茎と呼ばれる、と一部間違った知識がインプットされました。その時は仮性と真性の区別はなく、おぼろげに自分はこのままだと包茎なのかな、と思いました。ただしそれは随分と先のことのように思え、危機感を抱くには至りませんでした。修学旅行のお風呂の時間、クラスの誰もが自分と同じようなモノだったので、皆と同じなんだと安堵したことを覚えています。皮が剥けている人なんて誰もいなかったし、何なら陰毛が生えてる人もいなかった(実際には少し生えてる人がいたようでしたが気づきませんでした)。

 中学1年になると、より包茎は身近になります。こっそり読んでた父が買ってきた週刊誌には包茎手術の広告が数多く載っており、少しアダルトな漫画に、皮が剥けるという直接的な話がありました。仮性と真性の違いを初めて理解し、自分は真性なのだと認識しました。

 初めて同級生で皮が剥けている人を見たのも中1でした。入学して1ヶ月後の宿泊旅行、中学生になったとは言え、体つきはほとんどの人が小学生みたいで、小6の時に見た毛の生えてないツルツルの、皮が先までスッポリと被ったものが殆どでした。そんな中、周りよりも体格の良かった人に陰毛がそこそこ生えており、それを見つけた心ない級友たちからは「生えてる!」などと囃し立てられていました。するとその直後、もう1人体格がよく、うっすらと髭も生えてる人が裸になったのですが、毛が生えてるどころか皮が剥けており、さらに大人顔負けのサイズでした。これには皆絶句し、からかう人は誰もおらず、翌日から彼は足が3本あると言われるように…。ただそれでも、自分の意識はそんなに変わりませんでした。クラスの男子20人のうち1人、皮が剥けてる人が例外的にいる。そんな風に思っていました

 中学2年生になってもまだそんなに危機感を抱くことはありませんでした。その時私は自分が真性包茎であるということは認識してたけど、まだ周りも剥けてる人がいなかったので、問題を抱えてるのは自分だけではない、きっと同じような人もそれなりにいるから何とかなる、大きくなったら自分も剥けるようになるのでは、などと考えていました。宿泊行事では、陰毛が生えてる同級生がそこそこいましたし、ペニスのサイズも中1に比べたら皆随分と大きくなり、皮の上から亀頭の形が目立つようになってました。私は中1まで自分のペニスは周りに比べて大きい方だと思ってましたが、中2で周りに追いつかれました。

 それでもやはり剥けてる人はほぼおらず、周りの人たちは私と同じく、亀頭の先まで皮ですっぽりと覆われてました。なお、脱衣所でクラスのお調子者が「みんな同じ物ついてるんだから、隠さなくても良くね?」とタオルで前を隠さずに堂々としてましてたが、彼のペニスは完全に皮が剥けており、亀頭が周りの人たちより明らかに大きく、どう見ても皆と同じような物ではなかったことを良く覚えています。それでも剥けてる人は自分の知る限り2人、やはり皮が剥ける人というのは例外だったのです。

 そして危機感をはっきりと抱き始めたのは中学3年生でした。京都に行った修学旅行、お風呂の時間が非常に憂鬱でした。自分が真性包茎だという引け目は日に日に強くなっていたのです。私は周りに自分のペニスを見られたくなかったので、入浴時間一番でお風呂に入りに行きました。それでも1人既に入りに来てて、私は気まずい思いをしながら服を脱ぎ、自分の裸を見られぬようタオルで隠しました。同じく服を脱ぎ終わった彼は全く股間を隠すこともなく、一足早く浴室に入って行ったのですが、彼のペニスは半分ぐらい皮が剥けており、ピンク色の亀頭が出ててギョッとしました。ただ亀頭が見えるかどうかが、皮を剥くことのできない私にとって、全然別物のように思えたのです。

 時間が経つにつれ、浴場にはどんどん人が増えてきました。話したことまではないまでも、ほとんどが知っている顔でした。多くの人はタオルで前を隠してましたが、湯船に入る時、脱衣所に上がる時、タオルを取らざるを得ないため、同級生のペニスをチラチラと見てしまいました。

 完全に皮が剥けて、亀頭が全て出ている人は依然ほとんどいませんでした。ただし中学3年生ともあって、ほとんどの人は陰毛が生えており、そして亀頭の先っぽが見えてる人が目につきました。包皮が黒ずんできたペニスから、ピンクや赤紫色の亀頭が少し出ている人が少なくないのです。大きくなってきた亀頭が、もうじき出てくるよと主張しているようでした。彼らはその後包皮がさらに後退し亀頭がすべて露出するようになったのかもしれませんし、そのままだったのかもしれません。しかし私の前に突き付けられた現実は、彼らは皮が剥けている、皮を剥くことができる、ということでした。真性包茎の私は当然そんな状態にもならず、ただタオルで前をしっかりと隠すばかり。外から見ただけでは分かりませんが、剥けないということを他人に知られたくなかったのです。

 そして決め手は仲の良い友人でした。彼とは中1の時に同じクラスで、宿泊旅行の風呂ではふざけて「男同士なんだから見せろよー」なんて言いながら自分のしし唐のようなモノを見せてきたような奴だったのですが、たまたま脱衣所で一緒になり、彼の裸を見てしまいました。私は既に服を着ており、彼が浴場から上がってきたので、彼を待つ形になりました。すると中1の時に見た、小学生のようなペニスの面影はどこにもなく、皮がしっかりと剥け、ピンク色の亀頭が露出された細長いペニスがそこにはあり、サイズも2年間で逆転されてしまいました。この時は本当に衝撃的でした。それまで見てきた何人かの剥けているペニスは、どこか他人事でした。しかし仲の良い友人の皮が剥けているペニスを見て、自分もこうならなければヤバいのだと、はっきりと思ったのです。

 その後中学卒業が近づくにつれ、トイレでは皮が剥けるという話をする人が増えてきました。亀頭が下着に擦れて痛いというのです。そっと覗いてみると、そういう会話をするような連中は、亀頭の大きさは大小さまざまでしたが、皆亀頭が露出していました。もしかしたら普段から剥けっぱなしというわけではなく、トイレの時に剥いているだけの人もいたのかもしれませんが、とにかくそれをすごく羨ましく思ったのです。私も「皮剥けてちんこ痛くね?」なんて言われましたが、剥くことすらできない私は、コソコソと過ごすしかないのでした。

 中学3年の文化祭の後、彼女ができました。手を繋ぐことが精一杯のようなピュアな付き合いでしたが、付き合って1ヶ月も経たないうちに、自分のペニスを見られてしまうというハプニングに見舞われてしまいます。

 デートの約束で彼女の家まで迎えに行った時のことでした。今思えばなぜコンビニのトイレを借りなかったのだと後悔しかありませんが、不意に尿意を催した私は、あろうことが彼女の家の1つ前の路地で立ちションをしてしまったのです。そこに、待ち合わせ時間になっても現れない私を探しに、彼女が来てしまいました。私に気づいた彼女はすぐにその場を離れ、その後まるでお互い何も無かったかのように振る舞いましたが、恐らく私のペニスを見てしまったのではないかと思います。だとしたら、15歳にして、付き合って1ヶ月、まだ手を握ることしかしてなかったのに、男性器を、私の剥けてないペニスを見ることになってしまった彼女には申し訳ない気持ちでいっぱいです。彼女には1つ上のお兄さんがいたので、当時見慣れていたなら良いなと思います。

 このことが原因かは分かりませんが、彼女とは3ヶ月で別れてしまいました。もしそのまま付き合い続けていたとしても、真性包茎だった自分は、彼女とセックスをする未来はなかったのだと思います。剥けないことへの焦りはありましたが、どうにもならない現実に絶望し、現実逃避するしか、なかったのでした。

 匿名で質問募集中です。何でもどうぞ!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?