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欅坂46東京ドーム公演を見てきた。

 ど平日。夏も終わりを迎え少し肌寒くなってきた夕方5時。いつも見る読売ジャイアンツのファンはそこにはいない。そう今日は欅坂46の東京ドーム公演2日目。長かったこのツアーの千秋楽が開催されていた。

 会場には私たちのような”いつでも自由が効く大学生”が目立ったが、おそらく学校の授業中からどんなステージになるのかを考え、学校を終えて、”制服のまま会場に向かった女子高生”。『制服はコインロッカーに預けてこいよ。』と欅のメンバー、ファンが認めるあのナンバーが想像できたが、そんな時間もなかったんだろう。そして朝から通勤ラッシュと戦い、働き終えた社会人。もしくはこの日の為に有給をとったんではないかと考えられる大人たちが集まった。

共通するのは『この日を楽しみにしていた奴ら』だ。

平日に埋まるかも心配されていた公演だった。

 先ほども言ったが、ど平日に今までの公演とは計り知れないほど広い東京ドーム。いくら欅坂でも埋まるのか?という声もあったと思う。当然地方の高校生とかは会場に行くのは厳しいと思うし、次の日も平日だったので、考慮した人もいるだろう。しかし会場は満員で、緑のサイリウムといつも以上の声援で埋め尽くされていた。

 影ナレが終わり、いよいよ開演。静寂の中に、平手友梨奈が登場した。平手のことは後でじっくりたくさん語りたいので、ここでは少し飛ばす。そして個人的にアイドル界1カッコイイOVERTUREだ。『俺はこれをやりにきたんだぜ』と気合が入った。そう思っていた同志たちはたくさんいただろう。

セトリのことは詳しくは触れないが、全国ツアーとは異なり、ユニット曲なども目白押しになった。青空が違う。バレエと少年。結局、じゃあねしか言えない、僕たちの戦争。初めましての曲も2度目ましての曲もあったが、表題とは違って少し可愛らしさもある曲も見られたので満足だった。そしてサイレントマジョリティーからは畳み掛けるように勢いのある曲が飛び出し、”欅らしい”カッコよく、独自の世界観を貫くような曲が続いた。風に吹かれてもが終わると、ライブでは定番の危なっかしい計画。

割と普段は静かな夏鈴が煽れば、毎度お馴染みになってきたゆいぽんが性格をガラッと変えるように叫んでくる。あの叫びに乗らないオタクはいない。さあ始まったよ。理佐と平手以外はライブで一番盛り上がるとメンバーも認める曲が。(詳しくはケヤかけで笑)この曲の一体感はすごいよね。ほんと。

太陽は見上げる人を選ばない。

 普段なら危なっかしい計画で終わることが多いが、この公演はラストに『太陽は見上げる人を選ばない』という曲で締められた。私はこの歌を不条理なこの世界で、他人と無意味で争い、マウントを取ったりする。他人を羨み、落ち込んだりもする。誰もが通ってきた葛藤を表現しているように聞こえる。でもよーく考えれば、平等な部分ばかりで、恵まれている。争っているのではなく、共に生きていくべきだと考えているように聞こえる。

 比べる相手はいないのに、勝手に仮想の誰かと比べて生きてきた自分に取って、素直になることがどれだけ大切かと気付かされた歌だ。

不協和音。

 本編を終え、アンコールは不協和音。これはツイッターのトレンドにもなっていたので、『お、来たな』という感じではあったが、迫力あるパフォーマンスに圧倒された。この曲の代名詞である『僕は嫌だ』の部分。1度目と最後は平手だが、2番目のサビ前のセリフは2期生の田村保乃だった。加入前から欅坂はもちろん、アイドルが大好きな彼女。9thシングル時の選抜発表時やケヤかけでのねる卒業式の時もそうだったが、感情を包み隠さず、表現できる人だと思っている。欅坂への愛はとても強く、自身と葛藤しながら活動を続ける彼女の『僕は嫌だ』は感情を包み隠さず、出し切り、全力だった。2期生であの大役。プレッシャーもあったと思うが、心を撼わすフレーズとなった。そしてラスサビ。1度目とは少し違い、負の感情を大いに表し、少し泣きじゃくるように放った言葉は、言葉を失うほど引きこまれた。”表現者平手友梨奈”すごすぎるの一言。本当に復活したんだなと感じさせられた。

彼女なりの表現を。

 千秋楽はWアンコール。まあ普通に行けば新曲。それがどのアーティストも定番な気がするが、欅坂はやはり想像の上をいく。というか予測できない選択をしてくる。最後は平手友梨奈のソロ『角を曲がる』だった。曲が流れ、歓声が上がった後、静まるのは物凄く早かった。18歳の表現者に5万人が夢中になった。何もかも忘れさせるくらい目を惹きつけた。自分自身も手にサイリウムを持ったまま、何も考えず見ていた。東京ドームのセンターステージで、迫真の演技だった。ああ僕たち欅坂のファンは、この子に引っ張られている。この子の背中を押しながら日々を過ごしてんだな。支えたくなる背中だな。加入当初には考えられなかった平手の成長がそこにはあったんじゃないか。音楽番組での態度。冠番組はほぼ出演なし。この数年は平手自身もファンもメンバーもしんどかったかもしれない。いつしかアイドルの武器である笑顔も少なくなり、心配する声、呆れる声も生まれた。ネット上には多数の批判の声もあった。そんな中戦っていた。そんな中『角を曲がる』を表現し、5万人の前で披露する平手は”新たな平手友梨奈としての復活”だった。欅坂に対しての愛情は人一倍強い彼女であることは間違いない。最後彼女の挨拶で欅坂の夏が終わった。2期生の加入、初の選抜制度と変革期の彼女たちの中にこれからの平手友梨奈がある。

欅坂46。アイドルぽくないアイドルと例えられることも多いが、誰もが皆ステージ上で表現するときは全力で、カッコ良い曲にも時折見られる笑顔に惹かれる人も多いと思う。スタイリッシュであれだけブレない。だからこそ男性だけでなく、女性からも支持されるのではないか。メンバー皆が己の軸を持ってそれを貫き通してくる。自分の好きなアイドルであれば、より近くで見たいと思うが、欅坂は距離が遠くても、伝え方に迫力があるから、どんな場所でも近く感じるし、彼女たち自身が聴衆を引き込む力がある。そう感じさせたライブだった。

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