勝手に運命だと思ってる

「メリンダとメリンダ」というウディ・アレン監督の映画を観たのはもう、十数年前になります。
ある店で食事をしている友人たち、そのうちひとりが今体験してきたエピソードを話します。それを聞いたひとりは「それは悲劇だ!」と言い、またひとりは「それは喜劇だ!」と言います。彼らは悲劇作家と喜劇作家で、そこから「悲劇版メリンダ」と「喜劇版メリンダ」のドラマが始まるのです。

観てすぐにわたしは、これいいね!こういうのやりたい!と、あちこちで騒いで回りました。想定していた作家は、うちの益岡礼智と三角フラスコの生田さんです。
いつか実現させたいと密かに野心を燃やしていたのですが、当時フラスコさんは、数年先までスケジュールが決まっている超多忙な人気劇団で、わたしの企画を忍ばせる勇気はなく、それは遠吠えに終わりました。

それから幾年月、合同公演をしないかと当のフラスコさんからお誘いが…。
しかも話を聞けば、同じテーマで脚本を書く企画ではないですか!
我が意を得たりとばかりに飛び付いたわたし。
十数年越しの企画が、何かこの度、まんまと叶ってしまいました!

そしてその時の無国籍は、コロナ禍のため公演のタイミングを見失い、細々と活動は続けてはいるものの、復帰する体力も失いかけていたところでした。
一緒にやってくれるって心強い!
手を差し伸べてくれたフラスコさん、本当にありがとう!
更に、長い付き合いのベテランスタッフの皆様が勢揃いです!コロナ禍はすごく大変だったと思うけど、続けてくださっていてありがとう!

作品性は全く違いますが、同時代を生きてきたふたりの作家の視点は、示唆に富んだ多様な世界を提示してくれます。
書いたテーマは「穴」だったり、タイトルは「暗」の字がついたりしますが、どちらも今を生きて、これから進んでいく物語です。
どうか、会場で目撃してください!

劇団無国籍
国久暁

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?