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(注釈その2)岩本素白『東海道品川宿』

『品川宿』に書いた内容に直接は関係しないが間接にはとても助けになった本に岩本素白さんの随筆集『東海道品川宿』がある。

岩本 素白(いわもと そはく 、1883年(明治16年)8月17日 - 1961年(昭和36年)10月2日)は、国文学者、随筆家。本名は堅一(けんいち)。東京府麻布に生まれる、父竹次郎は旧丸亀藩士で海軍勤務であった。(岩本素白 - Wikipedia より) 

 出生地は上記の通り麻布だがその後両親が品川に住み、幼少期を品川で過ごされた。品川区教育委員会『品川宿調査報告書(一)』の中でも半ば自嘲気味に語られているところだが、鉄道の品川駅を作る際、品川宿に住む人達は汽車が近くを通ることを嫌ったため宿場から離れた北側に作られ、近代的な街としてはこちらの駅前が拓け、品川宿は取り残され寂れることとなった。品川駅が開業したのが明治五年だから岩本少年が品川宿の路地を走り回って遊んでいた頃にはもう汽車は走っていた時代なわけだが上記のような経緯から、幕政時代の雰囲気が残っている宿場町を生活の場として育つという経験を持つこととなった。その幼い日の品川宿を活写した随筆が『東海道品川宿』で、路地の描写であったり、宿場の入り口の八ツ山の坂を単に「坂」と呼んでいたと言う話、かつて投げ込み寺のあとがどの辺りにあった、というようなその土地に住んでいたひとの話が、知ったように話をつくるに当たって勇気を与えてくれた。


関東子連れ狛犬の系譜 第三話 品川宿


第一話 礫


第二話 千住宿





『関東子連れ狛犬の系譜』シリーズは少しづつ、今書いているものがどこかに響けばと願いつつ書いています。