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町田演劇鑑賞会と大人計画

去年、ぼくは新しい世界として、演劇に触れました。

今年で36歳になるぼくは、これまで演劇をほとんど観たことがありませんでした。劇団四季や宝塚など、メジャーなものを数えるほど鑑賞した経験しかなく、それらも確かに演劇ではあるのですが「未体験ゾーンに踏み込んだ感」は薄く、いつか余裕ができたら自分が演劇っぽいと感られる作品を観に行きたいと漠然と考えていました。

そんななか、2023年の頭には町田演劇鑑賞会に誘われ、また大人計画さんの舞台にもご招待いただき、去年は計7作品を観劇させていただく機会を得ることができました。

これらの経験はどれも新鮮だったので、このノートでは演劇初心者の視点から感じたことを言語化してみたいと思います。とはいえ、映画やアニメなどの放映される作品とは異なり、簡単にサブスクなどで観ることはできないので、あくまで自分の体験を中心に書いてみたいと思います。


自分が演劇っぽいと感じるもの


個人的に「演劇っぽい」と明確に感じた体験があります。
それは、コロナ禍に入ってすぐに催された三谷幸喜氏の戯曲「12人の優しい日本人」のYouTubeライブ配信です。

もとより歌唱や派手な演出のない作品である上に、Zoomで実施されることによって、舞台も衣装もなく、身振り手振りも使えず、なんなら音声のラグもあるような状態。その中で、役者さんの演技力だけで世界観を作っていく様に、「これぞ演劇」と感じてとても感動しました。

ぼくは、マンガのような、作者や監督といった作品制作の中心的人物の意向がよく現れる作品を観て、「作者は何を言いたかったのかな」と考えながら鑑賞するのが基本的に好きなのですが。この「12人の優しい日本人」は、それとは違うアプローチのように感じ、驚きがありました。

すぐに「他のこういう作品も観てみたい」という気持ちにはなりましたが、コロナ禍でその気持ちはすぐには叶わず、コロナ明けから行動開始すると決心しました。そんなことを想っていたところに、町田演劇鑑賞会のお誘いがあった訳です。


町田で観た演劇


NPO法人町田演劇鑑賞会は、運営者が作品を選び、劇団を町田に誘致して上演されます。約30,000円で年間6本の演劇を観劇することができます。

当然作品は選べません。会員さんは高齢者が多いため、やや高齢者向けの作品が多いように感じましたが、雰囲気は暗いものから明るいものまで、古典から創作まで、幅広く様々なバリエーションを経験できたのは、演劇初心者であるぼくにとっては良い機会となりました。

実際に、期待をはるかに超える作品に出会うこともありました。逆にぼくには刺さらない作品もありましたが、それもまた貴重な経験でした。


鑑賞して

町田演劇鑑賞会で4本、町田演劇鑑賞会の会員の方に誘われたものが1本、計5作品観劇しました(2本は仕事の都合で観れず)。

全体的に、キービジュアルは地味に感じるし、目当ての劇団や俳優さんがいるわけでもないので、期待値は決して高くはありませんでしたが、退屈を感じたものはありませんでした。

総じて、所作、立ち位置、舞台転換が中で洗練されていて、物語の筋を追う以外にもプロフェッショナルを感じられる点が絶えず発見できて、濃密な時間でした。「これ、裏に何人いるんだ?」と思える劇団四季などのメジャーな舞台とは違い、少ないスタッフゆえの絶妙な連携プレーが見られたことも、感動でした。


大人計画の演劇


弊社DSCLでは、大人計画さんのWEB制作に携わっており、そのご縁で公演にご招待をいただきました。というより、ご招待いただけるようお願いをしました。

最初は、お仕事相手をよく知る意味でも、自分でチケットを取ってお邪魔しようとチケット争奪戦に挑戦しました。しかし、2公演争奪戦に挑戦し、惨敗。このままではひとつも鑑賞することが叶わない可能性があり、図々しくもお願いをしたところ快諾していただき、観劇に至りました。

ぼくの中では、大人計画さんは演劇の「王道」というイメージ。お仕事で関わる前から、数少ない知っている劇団のひとつだったので、非常に期待をしていました。


鑑賞して

大人計画さんの作品は計2作品観劇しました。

内容は期待以上でした。
演劇的な瞬間とコント的な瞬間がテンポよく切り替わり、物語の筋も面白さも去ることながら、その瞬間その瞬間を楽しみながら、生の演者さんのエネルギーを浴びているような体験でした。劇場を出た後に、映画館では体験したことのない疲れがあり、まさに「くらった」という印象でした。

「もうがまんできない」は大人計画所属の有名俳優さんが総出演なので、受け取るエネルギー総量では、今まで見てきたコンテンツの中でトップ1でした。それも最高でしたが、主演の皆川猿時さん、荒川良々さんの世界観にどっぷり引き込まれる「ドクター皆川」も素敵な経験となりました。


さいごに


感嘆詞まみれの、うっすい記事になってしまいました。言葉にしたかったのは、ご縁でいただいた機会から得られた未知との遭遇だったのですが、難しいですね。これからも懲りずに、色々思っていることを外に吐き出してみたいと思います。

これは演劇に限ったことではありませんが、
昨今、テレビをつけっぱなしにすることもなくなり、YoutubeなどSNSでも情報がサジェストされてしまい、自分好みのコンテンツで周囲を固められてしまう状況が続く中で、「未体験ゾーン」に足を踏み込めたことが価値の高いものとなりました。

2024年も、演劇に関わらずディグる精神を持っていたいなと思います。


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