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モヤっとしつつも、後味スッキリ。桑原裕子さんの新作「たわごと」を観てきました。

穂の国とよはし芸術劇場PLAT プロデュース「たわごと」
作・演出:桑原裕子
出演:渋川清彦、渡辺いっけい、田中美里、松金よね子、谷恭輔、松岡依都美
劇場:東京芸術劇場 シアターイースト
観劇日:2023年12月10日(日曜)14:00~

臨終を迎えた作家をめぐる物語。
ただし、その作家が舞台には登場しません。病床に臥して、話すことはできず、呼び鈴で意思を伝えることがだけができる存在として描かれています。

彼の秘書であり愛人であった女性。彼には久しく会っていなかった2人の息子。長男の嫁は、次男の元カノだったり。そして、住み込みで彼を診る医師と看護婦。これら6人のやり取りで、それぞれの人間像が明らかになっていきます。その描写は細かく、気持ちを探るように観られる、なかなか面白い構成です。

タイトルの “たわごと” には、言葉の危うさや、戯言の裏に隠された本音など、言葉を生み出すことを生業とする桑原さんの思いが込められていたようですが、僕には、その意味は掴みきれませんでした。

ということもあり、必ずしも溜飲は下がらず、なんとなくモヤッとした感触が残る作品でした。でも、観ていて不快に感じる部分はなく、後味も悪くないんですよね。役者さんの力が揃っていて、バランスのよい緊張感が維持されていたように思います。

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