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古代エジプト王からの死霊復活!

■ ヘヴィ・メタル百花繚乱!


1983年 カモン・フィール・ザ・ノイズ/クワイエット・ライオット ルックス・ザット・キル/モトリー・クルー

1984年 ジャンプ/ヴァン・ヘイレン ウィー・アー・ゴナ・テイク・イット/トウィステッド・シスター ラウンド・アンド・ラウンド/ラット ロック・ライク・ユア・ハリケーン/スコーピオンズ

83年、84年頃、MTVでもヘヴィ・メタルなバンドがガンガン流れ、トウィステッド・シスターのディー・スナイダーがVJを務めるメタル専門の番組もできるくらいでした。それくらいメタルはメジャーな音楽になっていたワケです。アイアン・メイデンもトゥルーパーなどのビデオが流れることはありましたが、見た目の派手さというのはありませんでした。

ただ、ロックがポップカルチャーのメインストリームとなって、ヘヴィメタルという新しいロックが広く大衆に受け入れられる土壌が出来上がっていたこともあり、見た目の派手さはなくとも、かっこいいロックミュージックを生み出すバンドとしてアイアン・メイデンは本国イギリスだけでなく、アメリカでも人気となり、4thアルバムの"Pice of Mind"(邦題:頭脳改革)はビルボードのチャートで14位まで上昇しています。

あの、ヤバイ、アイアン・メイデンがです。前回もお話ししましたが、この4枚目のアルバムから少々曲調がオーソドックスなヘヴィ・メタルになっているということもありますが、あいかわらずエディがジャケットに登場していますし、このアルバムでは頭の毛を剃られ、拘束衣を着せられているという、めちゃくちゃ不穏な雰囲気のアートワークにもかかわらず、全米14位ですから、それはもう、観たり、聴いたりしてはいけない「ヤバい」モノではなくなっていたということでしょうか?

■エディが古代エジプトの王?

このようなミッド80sの背景をうけて1984年、アイアン・メイデンは5thアルバム、”Power Slave”をリリースします。
当時、HR/HM専門誌BURRN!誌でこのアルバム・レビューを観た時は衝撃を受けました。
なんと、エディの姿が、まったくヤバくなくて、もう人とかゾンビとか、なんとなくでも生き物的な範疇を超えた観念的なもの、古代エジプトの王を象徴する建造物の一部になっているんです。突然理解不能なものになってしまったエディ・ザ・ヘッド。

ただ、このジャケット、実際に手に取ってみると、素晴らしくよくできていました。まず、絵が綺麗ですし、エンボス加工がされていて、古代エジプトの雰囲気をよく表していると思います。そしてアートワークの所々に描かれたものがちょっとした隠しアイテムのようで、それを見つけるのも楽しくて、本当に当時はこのジャケットをみながらレコードを何度も何度も聴いたものでした。

そして、1985年にはこのパワー・スレイブのリリースにともなうツアーで来日しています。私も名古屋に観にいきました。
印象に残っているのはエディがミイラ化した巨大ジャンボ・マックスになって登場しのっしのっしと歩き回ってメンバーに絡む演出です。

演奏される曲のカッコよさはもちろん、ボーカルのブルース・デッキンソンの長髪のごりらのような煽りも含め、もう、完全にエンターティメントとして素晴らしいライブでした。それと、一曲知らない曲が演奏されたんですけど会場は大盛り上がりだったことです。
とにかく、54年生きてきた過去に観たライブの中でも屈指の盛り上がりで本当に素晴らしい思い出です。

ただし、まったく「ヤバく」ないアイアン・メイデンがそこにいたのです。
そして、その名古屋市公会堂では買えなかったのですが、あとで復刻盤を手に入れたワールド・スレイブリー・ツアーのTシャツです。
これ、ずーっと探していて、手に入れたものです。
この配色がいんです。

ちなみにこちらのプリントもレディー・ガガ様が着用なさっています。ガガ様は袖を切られてノースリーブになっているものを着てらっしゃいましたね。色はブルーでアイアンメイデンのロゴが赤になったもの、
ガガ様の着ている配色もカッコイイです。

■死霊復活ライブ


そして、このワールド・スレイブリー・ツアーのカルフォルニア、ロングビーチ・アリーナでのライブが"Live After Death"(邦題:死霊復活)というタイトルでビデオで発売されることになりました。
当時、4、5千円したと思うんですが、即購入し食い入るように観ましたね。
先にも言ったように、名古屋市公会堂のライブは、本当に素晴らしいものだったのですが、このビデオの映像から見るライブは全くスケールが異なるもので衝撃的でした。
でっかい会場、ステージでは凄く、あのジャンボマックス、ミイラ版エディがライブのハイライト曲、アイアン・メイデンでステージ後方の巨大ツタンカーメンの仮面風エディの顔が割れると、中から超巨大ミイラ版エディが現れ、目から火を噴くという想像を絶するスケールの演出はまさにスタジアム・ロックの頂点のようでした。

いまはスクリーンモニターの精度が凄いので大きな会場の後ろでも映像でアーティストを観ることができ、セットもモニターがメインに作られたものが多いようですが、当時はテレビもブラウン管の時代ですから、ステージセットの大掛かりな仕掛けも話題になりました。
曲とイメージとキャラクターが一体となったステージセットと演出をライブで見せる。アイアン・メイデンはその先駆者的な存在であったと思います。

このワールド・スレイブリー・ツアーがなければ、メタリカのドリスも生まれてないんじゃないかと勝手に想像したりして楽しんでます。

この死霊復活ライブは今でも映像作品が手に入るようなので興味のある方は是非ご覧になってみてください。

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