きっかけは数日前の父の失踪だった。残されたUSBメモリには次の文言とある座標データが記録されていた。

情報・物質・エネルギーが完全に等価となる特異的空間を発見
仮に超情報時空と呼称
これは今までの物理学の根本を覆しうる、彼女に報告せねば

父は物理学者で凄い研究をしてたようだが俺にはさっぱりだ。
ただ座標データは解読できた。父の行きつけのバー……そこに何が？俺はUSBを懐に夜の街を走る。
この角を曲がった所のビルの地下、もうすぐだ。その時、突風が吹き荒れ巨大な影が空から現れた。

俺は目を疑った。ドラゴンだ。

まずい、気付かれた！目的のバーに急ごうとするが、足がすくむ。どうなってやがる！
突然夜空を一条の光線が裂き、竜の眼を貫く。少女がバーの方向から飛び出した、その体は明らかに機械のもの！
状況はわからないが命拾いした。座標が示す地下への階段を駆け下りる！

俺はまだ知らなかった、世界が書き変わってしまった事を……

【続く】