ガイアの恋人たち
あの日から俺は地球意志の代行者となったのだ。大地に巣食う病原たる人類を一掃し、美しき地球を呼び戻す。
胡乱なシャーマンみたいな奴が来て俺にそんな大層な力が眠っていると言われた時はすぐには信じなかった。だが奴は頭の中に直接話しかけてきたし俺は実際に力を引き出せた。
物質の分子間結合を破壊する力。
林檎が手を触れる事なくジュースと化した。
人体相手でも同じ事ができる……いや、上手く扱えばビルも倒壊させられると。そんな力を秘めた『ガイアの子』が世界中にいる、俺がその一人だ。
地球意志を執行した夜、公園で不思議な少女に出会った。
ギリシャ彫刻めいて白い布を体に巻き、艶やかな黒髪は自然界の全てを包むよう。
「きみ……騙されてるの、地球はそんな事望んでない」
知ったような口をきくな!
俺は躊躇わず力を使う。少女は原因不明の内臓破裂死体に……ならない。ただ微笑む。
まだ気付かなかった、彼女が俺の存在意義に深く関わる事に。
【続く】
スキするとお姉さんの秘密や海の神秘のメッセージが聞けたりするわよ。