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IP404のローレライ

人間の意識をネットワーク上に解き放ち自在に電子的再構築できるようになりかなりの月日が経った。
人々にとって人種・性別・容姿といった概念はもはや曖昧な物となっていた。

そんな折、電子の住人達にある噂が囁かれ始めた。

『歌』である。

電子世界の夜に何処からともなく聞こえてくる――それは場所を問わず、何処で誰が歌っているかも分からない――
そして、聞いた皆口を揃えて美しいという歌声。
姿なき歌い手はいつしか伝説となっていった。


それを快く思わない者もいた。ネットワーク運営関係者だ。
電子空間上の不明現象は主にバグや違法プログラムが原因だ。広範囲での報告となれば、大規模不正アクセスの可能性も高い。

運営の精鋭エージェント・ブラウンは狐耳を立て夜を待つ。

電子の日が沈むと『歌』が聞こえてきた。
即座に夜空に多数のプログラムを走らせIPアドレス特定を図る!


「嘘でしょ……」

《404 NOTFOUND 対象IPが存在しません》


【to be continue……】

スキするとお姉さんの秘密や海の神秘のメッセージが聞けたりするわよ。