トップ

ニットファン増加で再び注目を集める「編み機」

皆さんは「編み機」をご存知でしょうか? 昔はミシンのように一般家庭にも普及していたものですが、製造販売が中止され、手に入れることができなくなっていたニットを編むための機械です。それが今、ニット人気とともに再び製造販売されるようになりました。

こんにちは、記者のカミュです。連載「村松啓市の仕事」では、世界で活躍するデザイナーの村松啓市さんの魅力や、その作品について、ご紹介しています。今回のテーマは「編み機」です。

■「編み機」って何?

実は私も、「編み機」というものの存在を、村松さんに教えていただくまでまったく知りませんでした。

「ニット」製品は、手編みで作るとどうしても作りムラができてしまいます。人それぞれ、力加減が違うからです。「AND WOOL」の製品は、手仕事で作られているのにも関わらず、この作りムラがありません。その秘密が「編み機」にあるんです。

画像1

村松さんに「編み機」についてお話を伺いました。

「編み機」は言わば、ミシンのようなものです。私たちの世代には、あまり馴染みはありませんが、70-80年代には非常に人気があり、母親や祖母がよく編んでいたとか、今でも家にあるという方は、結構いらっしゃるのではないかと思います。それくらい、昔は一般家庭用として普及していたものです。ところが、時代とともに「編み機」は姿を消し、一時期は国内の製造販売は完全に停止していました。

昔は今よりもずっと、編み物が身近だったということかもしれませんね。今は、ニット製品は手軽に安いものが手に入りますし、なかなか時間をかけて編もうという人は少なくなったということなのかもしれません。

画像2

私にとっては、「AND WOOL」を立ち上げる以前、ブランドの「everlasting sprout」をやっている頃から、「編み機」は欠かせない道具でした。海外では、その頃も製造販売が行われていたようでしたが、私は、国内に出回っていた中古品を購入して、それを丁寧にメンテナンスして使っていました。それがもし壊れてしまったときは、あらゆる手を使って、なんとしてでも入手しなければならないなと思っていました(笑)それくらい、私にとって「編み機」は重要なものなんです。

私たちにはあまり馴染みのない「編み機」ですが、村松さんがそこまでおっしゃる「編み機」の良さは、いったいどんなところにあるのでしょうか?

■「編み機」だからこそできること

昔ながらの「編み機」が欠かせないという村松さんに、その理由を伺ってみました。

棒針で編む手編みよりもスピーディーに編めますし、近年の大量生産に使用されているコンピューター制御された自動編み機より、表情豊かな風合いが生まれます。この「編み機」でないと作ることができないテキスタイルというものもあるんです。

「AND WOOL」では「編み機」を使ったワークショップが非常に人気で、毎回募集するとすぐに満席になってしまう状況だそうです。そして、そのワークショップの中でも最も人気なのが、この「編み機」を使って作る「カシミヤの大判ストール」だそうです。

画像3

私たちのようなブランドが、大量生産することを考えると、「編み機」を使うことは非常に生産効率が悪いんです。ですが、素材を吟味し、糸の張り具合や編地の様子を実際の目と手で確認しながら編まれるニットは、空気をふんだんに含み、非常に軽く柔らかい製品に仕上がります。この「カシミヤの大判ストール」も、実際に手に取って触っていただくと、どんな人にも一発でその上質なニットの良さを理解していただくことができます。

■「編み機」の製造販売が再開

国内での製造販売が中止されていた「編み機」ですが、実は今、製造販売が再開されています。ここ最近の「ニット」人口の増加が、後押ししたのかもしれませんね。

実際に、家庭用にこの「編み機」を購入される方もいらっしゃるようです。

「AND WOOL」でも販売を行なっています。価格は15万円くらいなので、機能の充実したミシンと同じくらいです。ただ、初めての方だと、使い慣れない「編み機」は難しく感じることも多いと思いますし、勉強したくても教えてくれるニット教室も少ないということがあります。そこで私たちは、「編み機」の設置の仕方や使い方、基礎の編み方などの動画を制作してYouTubeで公開したりもしています。

こういうものは、動画の解説があると、とてもわかりやすいですよね。「AND WOOL」では今後も「編み機」を使ってみたいという方のための動画制作やワークショップなどを、積極的に行なっていくそうです。

それから、「AND WOOL」には月額324円で入れるオンラインサロンがあります。そこでも「編み機」の解説を行なっているそうなので、興味のある方はぜひチェックしてみてください。

今回の取材で、ニットの世界はとても奥深く、さらに新しい世界が広がる可能性も秘めているんだな、と感じました。

(記者:カミュ)


*お知らせ*

都内で「カシミヤの大判ストール」に触れる機会があります

今月、村松さん率いる「AND WOOL」のワークショップが都内で開催されます。残念ながらワークショップはすでに満席になっていますが、その会場に「AND WOOL」の製品を並べてくださるそうです。

*5月26日(日) 12:00〜18:00
*ギャラリーcobaco(東京都台東区 駒形2-1-8 楠ビル302)
*入場無料
*全商品試着OK
*全商品写真撮影OK

今回は、とにかく上質なニット製品を、実際に見て触ってもらう場にしたいということで、「AND WOOL」の商品で「ぜひ直接手に取って見てみたい!」というものがあったら、事前に連絡をすればもってきてくださるそうです。(気に入った商品はその場で購入もできます。)

普段は静岡で活動されている村松さんの「AND WOOL」の商品を、都内で見ることができるなかなかない機会なので、ぜひ、足を運んでみてはいかがでしょうか? 村松さんにも会えますよ。。。(笑)

画像4


いつもありがとうございます。活動を、もっと多くの方に知っていただきたいと思っています。いただいたサポートは、それを「伝える」このnoteページを充実させるために使わせていただきます。これからもどうぞよろしくお願いします。