2019711松浦さん_190804_0015

日本が誇る基層文化、大麻と蚊帳を世界に伝える、松浦良樹さん

年内には「大麻と蚊帳の博物館」を東京、浅草に設立予定。日本の基層文化である、蚊帳と大麻の魅力を世界へ発信している松浦良樹さん(以下敬称略)にお話をお伺いしました。

活動地域:東京都(浅草)
経歴:NPO法人日本麻協会理事などを務め、2016年7月、理事長岡沼隆氏(以下、ご参照)とともに国立京都国際会館(1997年COP3で京都議定書が採択された会場)で開催された「第1回世界麻環境フォーラム」(別名「京都ヘンプフォーラム」)と呼ばれるIHEFの初イベントを開催した。このイベントには、世界中から麻の専門家や産業家の他、安倍昭恵夫人、京都市長、京都最古の神社である上賀茂神社宮司などが広く参加した。2019年ネパールで開催されたASIA HEMP SUMMITにおいて「大麻と蚊帳の博物館」創設に向けた企画で起業家賞を受賞、今年中に東京・浅草での開館を控えている。
現在の活動:NPO法人日本麻協会理事。環境問題や自然エネルギー、伝統文化などをメインテリトリーとするライター。クリエイター集団「紙の砦」代表。蚊帳研究家として蚊帳の歴史や文化の研究に努めるとともに、ヘンプ100%の藍染の蚊帳の開発やヘンプストロー、ヘンプフィルターなどの開発に携わり普及活動を続けている。
座右の銘:「過激に走らず、日常に埋れず」「いい加減」


松浦さんは、どのような夢やビジョンをお持ちですか?

松浦:社会や世界であったり、自分の周りの色々な人が、良い感じに幸せになれば良いなと思っています。100か0のゲームではなく、平均80点くらいの状態で、そこそこの不満は持ちつつでも、そこまで豊かでなくてもいいけれど、極端な偏りがなく、みんなが、それなりの人生を歩めれば良いなと思っています。
 それは、今の日本の状況とも繋がっていると思います。例えばアメリカなんかは、国として揺れが激しくて、自分たちで戦争を起こしておいて自分達で反戦活動をして止めたりする歴史があると思います。しかし、日本は絶対的な権力者がいない中で、天皇や江戸幕府の二つを合わせたり。一人の権力者じゃなくて、みんなで合意しながら緩やかに変わっていくので、明治維新であれだけの革命が起きたにもかかわらず、実はそれほど大きな戦いも起きず、人もほとんど死ぬことなく、あの時代に世界に対応できるまでに変化しました。
 常に争いのないカタチでやってきたからこそ、縄文時代、あるいはそれ以前から続く数万年の歴史、そして記紀神話の時代から続く二千年以上の歴史が創られ、繋がってきたんじゃないかなと思います。
 僕が生きてる間でなくてもいいから、緩やかに変化していくことができれば、貧富の格差も縮めれるし、人を殺めたり、戦争を起こさない形で、緩やかに変わっていけばいいなと思っています。
 そのために、今あの手この手を考えています。そのなかで、日本が誇れる基層文化の象徴の一つとして、大麻があると思っています。

年内に、東京・浅草で「麻の博物館」を設立予定

その夢を具現化するために、どのような目標計画を立てていますか?

松浦:現在は東京の浅草に、「麻の博物館」をつくることをメインに考えています。それを数ヶ月以内に始めたいと思っています。
 なぜ、浅草に麻の博物館をつくるのかというと、麻の歴史的背景をちゃんと伝えたり、僕が集めてきた沢山の資料を、日本人だけでなく外国の方にも伝えたい思いがあるからです。
 例えば、大麻はよく平和の象徴として語られたりするんですが、実は大麻の生産が伸びたのは戦時中だった、というちょっと矛盾したところもあったりするんです。ロープの素材として使われたり、マラリヤにかからないための蚊よけ、として蚊帳を戦場で兵士が担いでいったりと、かなり重宝されていました。戦争と平和に関わっているという歴史的な事実もしっかり伝えたいと思っています。

 そういった、歴史や資料を伝えていくために、日本文化の象徴でもあり、海外の方がたくさん来る浅草に造ろうと思いました。

 また、世界中にもヘンプミュージアムが沢山あるので、そことも連携してやっていきたいと思っています。

過激に走らず、日常に埋れず、いい加減

どのような日々の基本指針をお持ちですか?

松浦:「過激に走らず、日常に埋れず」「いい加減」ということを基本指針にしています。「過激に走らず、日常に埋れず」と聞けば、「何もしてないじゃん」て思うと思いますが、これは100か0ではなくて80点とも繋がるのですが、独りよがりに突っ走っていくことでもなく、かといって、日常に埋没することでもなくて「ちょうど良い加減」という意味です。
 先頭を勢いよく走ると視界が狭くなるけど、スピードを緩めると周りが見えてきます。その丁度いいバランスを、とっていきたいと思っています。
あの人の立場ならどう考えるのか、この人の立場ならどう考えるのかや、自分は日本人だけど、アメリカ人ならどう考えるのか、だったりといろいろなケースを考えることで、考えの平均値が取れます。そうした上で自分の行動指針を決めています。

 しかし、よくやってしまうのが、て「石橋をたたいて渡ろうとして、やり過ぎて石橋を叩き壊してしまって結局渡れない」という事をやってしまうんですね。(笑)  いろいろ考えて、最終的に出てきた答えが結局は最初の"勘"、と同じだったというようなことをよくやってしまいます。
臆病者なんです。(笑)
 自分が、頭でっかちなんじゃないか、知識が足りないんじゃないか、経験値がたりないんじゃないか、という事は常に意識しながら活動しています。

「お婆ちゃんとの甘い思い出」

大麻や蚊帳に興味を持たれたきっかけは何だったのですか?

松浦:なぜ、大麻に興味があったかっていうと、僕は、子供の頃おばあちゃん子で、古めかしく育てられていて、夏はよく蚊帳の中で寝ていたんです。
それが凄く快適で、蚊も来ないし、昔ながらの住宅だったので窓を全開にして、虫の音色が聞こえたり、自分が寝付くまでおばあちゃんがうちわで仰いでくれたり、蚊帳の中でホタルを放してみたりと、すごく楽しい思い出があったんです。古き良き日本という感じです。
 しかし、ある程度年齢になって、同世代にその話をすると、蚊帳って何?とか子供のころ蚊帳の中で寝ていた経験のある年上の人たちも、「蚊帳の中は熱苦しかったよね」という人が9割でした。
 でも、僕の記憶の中では、蚊帳の中は涼しくて気持ちよくて、あんなに良かったのに、みんなから聞くのは蒸し熱くて蚊帳が嫌だった話ばかりだったんです。
 それで、ある時僕は、蚊帳を作る会社がまだ残ってること知ったので、話を聞きに行ったんです。そうしたら麻の蚊帳は涼しいことが分かったんです。
日本で普及してる蚊帳は、綿が主流なんですが、僕が小さい時に使っていた蚊帳は実は麻の蚊帳で、高級品だったんです。麻の蚊帳は、湿度調整とか温度調整をしてくれるので、中に潜るだけで涼しいんです。
 そこから麻に興味が出て、調べていくと、「麻って大麻じゃん」という事が分かっていって、そして大麻ってそもそも何?と興味をどんどん広げていきました。すると洋服にも、大麻は使われているし、神社にも実は大麻がある。昔から日本にあって使われてきていた物であることが分かったんです。

 おばあちゃんとの甘い記憶を、世の中の人が打消そうとするから。僕が間違っているのか、世の中が間違っているのか、調べたというのがきっかけなんです。

記者:大麻や蚊帳への思いは、お婆ちゃんとの思い出がきっかけだったんですね。その大麻や蚊帳を通じて社会が良い感じになればいいなと思ったのにはどんな背景があるんですか?

松浦:なんでしょう、僕は元々、病弱な子で、小学校低学年くらいまでは、一日学校に行くと熱を出して3日休む、というようなことを繰り返していました。学校に行けるようになると嬉しくて騒いで、また熱を出すことを繰り返していました。
 そんな状態だったので、友達は少なかったんです。それでも友達になってくれる人は居ましたが、やっぱり友達は少なくて、イジメられることも多々ありました。
 それから中学生の頃には、身体もよくなって転校したのをきっかけに、今度は逆に暴れん坊で、ちょっと癇癪持ち(かんしゃくもち)になった時期があったんです。
 なので、イジメられる側とイジメる側の両方の経験があったのですが、そんな中でどうすればみんな仲良くなれるんだろうって、考えるようになりました。
 結局僕が、暴れたりすることで、イジメられなくなったとしても、イジメっ子は、また別の人をいじめてしまったりしますよね。イジメる側は、イジメることで精神の安定保つけど、それではいけないし、逆に僕がイジメる側になっても問題だしどうしよう、という事ばかりをよく考えていました。

 高校生になってからも、自分が強くないとイジメられてしまう、でも強くても人をイジメる訳にはいかないしどうしよう。なら、友達をつくらなければいいのかな?いや、でも友達は欲しい。一人で居ればいいかな?本でも読んでようかな?でも、友達と遊んでいる方が楽しいし、といったグッチャグチャの中で過ごしていたので、その辺も、みんなが仲良くするためにはどうすればいいのか、と考える今の自分に、繋がっているかもしれないです。

 また、その時は社会情勢もおかしい時代だったんです。僕の年代というのは、校内暴力が盛んな時代でしたから、その辺も影響していると思います。
その少し前の時代は、暴走族の時代でした。そこから自由が規制されるにつれて、暴走族から、校内暴力の時代、そして陰湿なイジメへと変化してきました。

 自由である事と、社会的な平和が共存できるのかは分はからないけど、どうすれば良いのかは、理想の中と、過去の経験とか歴史の中にあると思います。過去と同じ失敗をしても仕方ないので、先人たちの苦労を台無しにしないためにも、歴史はちゃんと学び、そのうえで未来をつくっていくことだと思います。
 僕らにできることは、僕ら自身も未来を、今、つくっていくことですし、伝える、繋げる、ことを大事にしていかないと、未来は無いと思います。

 今は、大麻と蚊帳で世の中が良い感じになればと思っています。

記者:素晴らしいお話ですね、貴重なお話しありがとうございました。


-------------------------------------

松浦良樹さんの活動、連絡先はこちらから。

Facebook
https://www.facebook.com/profile.php?id=100005477102556

note
https://note.mu/yosiki1970?fbclid=IwAR2NEhP-xwmtMDMdBIbtvv9QAYmJ1V345V3v7id6QVTHBN8Vuj2K_9F0Aw0

Gmail
yosiki1970.12@gmail.com

----------------------------------------


編集後記:今回インタビューさせて頂いた森本と坂中です。日本の和心を大切にされていて、世界に誇れる日本の核心を感じました。また、幼少期の体験から、沢山の本を読まれたり、自分自身を変化させる努力を積み重ねてきたからこそ、松浦さんからは優しさや温かみがにじみ出るのだと感じました。
 これからも松浦さんの活動を応援しています。

この記事は、リライズ・ニュースマガジン”美しい時代を創る人達”にも掲載されています。
https://note.mu/19960301/m/m891c62a08b36

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?