29歳、普通自動車免許を取る(本編②)

前回のお話はコチラ

仮免検定の予約は翌日に取ることができた。
教習から検定の日数は早いほうが色々忘れなくて済むのでありがたかった。

翌日、9時50分に集合。一番乗りや!!
検定には、検定員1名と、公平な検定を行う為に同じ日に検定を受ける受験生1名を車に乗せる事になっているが、
私の時はなぜかその他にもう一人指導員の方が乗ることになっていた。(多分検定員になるための勉強中とかなのか?)

まず、名前を呼ばれてメガネかコンタクトか、コンタクトだったら眼球みせてくださいと言われ、目を凝視される。
なのになぜか私だけ名前呼ばれて紙渡されただけでコンタクトの確認をされなかった。

え?!めっちゃ眼球見られる心の準備してたのに、なんで私だけコンタクト確認されないの?!!

パニックだがもう次の説明に入ってる。
ヤバい。全然話が入ってこない。
パニックのまま「なにか質問ありますか?」の時が来た。

でもここで手上げて
「私だけ眼球の確認されてないんですけど」
とか言うのめっちゃバカっぽいよな。
あぁっ、でも…めっちゃモヤモヤする!!
しかしなんとか耐えた。

その日受けるのは6名。
3人ずつ車が2台に振り分けられ、
私は1番最後の3番目に乗ることになっていた。

「3番の方はここに残ってください。じゃあ1番2番の方行きましょう。」

といわれ部屋に取り残された。
まだコンタクトの確認はされていない。

しかし試験の事で正直めちゃくちゃ緊張していた。
うまくできるのか?大丈夫か?そのあと学科の試験もあるぞ、落ち着けー!!
と、スマホでデカ犬の画像を探して気を紛らわそうとしていた。

ふと斜め後ろを見ると、アラレちゃんばりのデカメガネをかけた大学生くらいの女の子が、スマホもいじらずただ一点を見つめてガチガチに緊張していて私は笑ってしまった。

「緊張しますね」
「待ってる方が辛いですね。」
くらいの軽い会話をしたことによって心が少し救われた。

そして私が呼ばれた。
やっとここでコンタクトの確認してもらえた。
めっちゃ安心した。

まずは2番の男の子が検定を受けるから、私は後部座席で見てる係。

男の子、運転自体は余裕そうだったが、前から車来てるのに右折したりはしていた。
一時停止も無視していた。
坂道発進の時もなんかパーキングに入れて突然フリーズしたり、結局サイドブレーキ下ろす前にアクセル踏めてなくて超後ろに下がった。
なんとか頂上まで行って下るときエンジンブレーキきかせなきゃいけないのになんかニュートラルに入れてた。
普通にこえーよ。

でもクランクとか余裕だったし、どうかな、落ちるかな〜受かるかな〜でもあれで受かるなら私も受かるな!!と思ってた。
(一時停止無視は絶対受からないと後で知った)

で、次私の番。
実はこの頃既に知らないオジサン二人と大学生の男の子と4人で密室にいるという状況にだいぶパニックになっていた。

私の番、カーブでちゃんと減速できてないとか細かいことは色々あったと思うが途中までは大した問題はなかった。と思う。

事件はS字クランクで起きた。

まず入ってすぐ乗り上げた。ちゃんと戻して抜けた。ここまでは良かった。
多分検定員の人も、これはまあしゃあないな、と思ってくれたと思う。

S字出て右に行く時、とにかく早くここから出たくて早く右にきりすぎた。
右の後輪が乗った。
バックしたら右の前輪が乗った。

どうしたらいいねん!…と心の中で思ったが、口に出ていた。

検定員「落ち着いてください」

わかってる。

10秒後くらいに、やっとの思いで抜けた。
ゲロ吐くかと思った。

そして次はクランク(カクカクの狭い道)
だがもう入るときに寄りすぎて、きるの早すぎて、自分でも何してるんだろう状態だった。
1回後ろに下がったのに、また同じルートで同じ切り方した。
多分同じこと3回くらいやった。

検定員「落ち着いてください」

それしか言わんやん。(言っちゃだめだからね)
そしてやっとの思いで入って抜けた。今度は入るときだけで良かった。

その後は特に大きなミスなく終了。
私は考えた。
「乗り上げてもバックで元の位置に戻ってやり直せばセーフ。乗り越えたらアウト。」
とは聞いていたが、あんなに何回も乗り上げたら別やろ。と思った。

終わって30分くらい待たされた。
さっきのアラレちゃんメガネの女の子はまた30分間一点を見つめていた。
大丈夫かこの子。

そして結果発表はまた一人ずつちょっとしたブース(声は聞こえるけど姿は見えない)に呼ばれる。
私の前に受けた男の子は落ちてた。
うわあ!落ちるんか!どうしよ!
次に私が呼ばれた時は、怒られる準備をしてる犬みたいな顔でブースに入ったと思う。

「結果はねえ〜、どうしようか迷ったんだけどねぇ〜。ほんと悩んだんだけどねぇ〜。合格!」

私はその日1番の笑顔で感謝した。
でもなんで合格なんや。

「ほんとねえ、なんであんな切り方するかなと思ったしね、何回やるんだよとも思ったけどねえ。まぁ、安全確認はパーフェクトだったから。それだけ。」

それだけ、か。
まあいいか。合格だし。

それにしてもこの人さっきまで冗談通じない気難しい犬みたいな顔してたのに、急に陽気なゴールデンレトリバーみたいになるやん。
ほんとは穏やかで明るい人なのに、すごく怖く感じる。これが検定だな。

そのあと学科試験も受けて帰った。
夕方に合格の連絡が来たけど、父ちゃんから実家の猫が死んだって連絡が来たから
プラマイゼロどころかちょっとマイナスの日だった。
実家の猫は21歳だった。長生き。

ちなみに交付された仮免許にも最初に撮った不細工な写真が適用されていた。

しんどっ。

つづく

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