大味なバラードに食傷気味の君へ
はじめに
泣けるバラードって、演奏が大袈裟でシラケる時があるんですよね。
上質なバイオリンも、卒業式みたいなピアノも、
こっちの感情を無理に動かそうとしてくる感じがうんざりしちゃうというか。
そんな捻くれた僕なんですが、実は最近好んで聴くジャンルがありまして。
ズバリ、ポップレクイエムっていうんですけど。
なかなか面白い音楽だなと思ったので、今日はこちらについて紹介したいと思います。
ポップレクイエムとは
ニコニコ大百科を参照すると次のように書いてあります。
「ポップ」な「レクイエム(鎮魂歌)」と名付けられたように、明るい曲調でありながら人の死について歌っているのがこのジャンルの特徴と言えます。
一聴した時の耳障りと歌詞が発するメッセージにギャップがある感じが、妙にグッと来るんですよね。
笑顔を振りまいてるギャルが、裏では泣いてるみたいな。
言葉で表現するのも難しいので、まずは一曲聴いてみて欲しいと思います。
小林オニキス「サイハテ」
「ポップ・レクイエム」という言葉が使われ出したきっかけにもなった曲です。
飾り気の無いまっすぐな歌詞が泣けます。
個人的には、イントロ・サビ・アウトロを彩るピコピコの電子音が、手向けられた花みたいでピュアな美しさを感じました。
MVのアニメーションも本人が制作されているんですよね。
すごいとしか言いようがない。
THE NEUTRAL「日曜日の太陽」
鬱漫画としても名高い「なるたる -骸なる星珠たる子-」のOP曲
呑気なハーモニカと軽やかなカッティングが印象的です。
ほのぼのした曲調の中に時折、不穏な歌詞が覗く。
「照りつける太陽が喪失感を強調する」ってのがポイントですよね。
そういう表現もあるよなーと感心しました。
ちなみに原作漫画もめちゃくちゃ好きです。
一部過激な表現もあるけど、残酷ながら美しさもある物語なので
グロいのが嫌じゃないって人は見て欲しいな。
ヨルシカ「言って。」
はい、もはや説明不要なくらい有名な曲です。
でもやっぱりいい曲なんで敢えて並べさせてください。
n-buna(ヨルシカの曲を作ってる人)さんのことを知ったのは彼がボカロで曲を作っていた時代。
ウミユリ海底譚っていう初音ミクの曲に衝撃を受けたんですけど、いまだにあの頃から変わらないものがありますね、これを聴くと。
終始爽やか曲調なのに歌詞には不穏さや危うさが感じられて、それがn-bunaさんの曲を唯一無二のものにしているなーと感じます。
曲と詞の対位法
映画でよく使われる表現方法で、「音と画の対位法」って聞いたことありませんか?
ほら、残酷な殺人シーンで美しいクラシックを流したりするやつ。
どこかで見たことありますでしょ?
ポップ・レクイエムが目指してるものってそういうものだと思うんですよね。
曲と詞の対位法、その違和感から生まれる新しい何か。
創作って掛け算だなってつくづく思わされます。
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