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私の大腸がん闘病記8転移

術後3日目、傷口の痛みも落ち着いて自分で動ける範囲も広がってきた。とは言ってもテレビをつける。ベットの淵に移動するなど。歩く練習などは自分でできるようになった。相変わらず尿管のせいで体を真っ直ぐにして歩くことはできないが、回復している感は出てきた。

主治医は突然に現れる。

一人病室で堺正章主演の西遊記の再放送を見ていると、突然、主治医がやってきた。妻は一旦家へ帰宅中。
主治医が説明を始める。
主治医「盲腸癌は5センチありました。病理検査のため周りのリンパ節も広範囲で取りましたが、そのうちの4個にちょっと固いところがあった。たぶん癌化しているかも。リンパに飛んでればステージ3bとなります。癌細胞の種類は高分化線がんと呼ばれるもの。そうなれば予防のための抗がん剤の適用となります。」
私「転移ですか?」
主治医「まだ、はっきりとは言えませんが可能性はあります。」
私「高分化線がん!?」
主治医「比較的質の良い方の癌で、正常細胞に近いんですよ。だからあとで相談しようと思ってたんですけど抗がん剤効きにくいんですよね。」
私「先生が私の立場ならどうしますか?」単刀直入に聞きます。
主治医「正直、悩みますね。まだはっきりとは…」

 シリアスな状況になってきた。でも質の良い方の癌細胞と言ってたな。低分化とか未分化よりましか。という喜んでいいのか、悲しむべきか分からない複雑な気持ち。家に帰ってからしっかり調べよう。とにかく今は体力を回復させ、気持ちの上ではポジティブでいなければならない。

 妻が病室に来る。なんだか泣けてくる。世界陸上を見て感動したと嘘をつく。なぜかそのことは言えなかった。

つづく


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