歯科医師国家試験117A48(病理学)

リンパ組織を伴うのはどれか。2つ選べ。

a.鰓嚢胞
b.歯肉嚢胞
c.Warthin腫瘍
d.歯原性線維腫
e.鼻口蓋管嚢胞

a.鰓嚢胞は軟組織に発生する非歯原性の発育性嚢胞です。胸鎖乳突筋前縁の側頸部に生じることが多いので側頸嚢胞とも呼称されます。
画像所見では耳下腺に発生する腫瘍性病変との鑑別が重要となりますが,鰓嚢胞は耳下腺とは関連しないので一層の線維組織で境されています。
リンパ球が集簇する場合炎症による可能性もありますが鰓嚢胞ではあくまでも嚢胞壁に胚中心を伴うリンパ組織が見られるだけです。
発生由来としては胎生期の鰓裂の残遺上皮に由来するか耳下腺組織が頸部リンパ節組織に迷入し,嚢胞化したものと考えられます。
c.Warthin腫瘍は二層性の上皮配列をなす良性腫瘍であり,両側性に見られることもしばしばあります。中高年の男性に好発します。発生には喫煙が関連している。被膜で囲まれており発育緩慢で境界明瞭な腫瘍。線条部導管細胞に由来する腫瘍であり,組織学的には線条部導管にはイオン輸送の為に基底膜部にNa /K ATP aseが多く,駆動するために必要なATPを作るミトコンドリアが多数存在し,基底線条を認めます(表面積を増やしてイオンをより効率的に交換するためです)。
腫瘍実質では腫大した好酸性顆粒(腫大した異常な形態のミトコンドリアが充満)を有するオンコサイトが認められます。
間質には胚中心を伴うリンパ節組織があり,耳下腺リンパ節内に導管上皮が取り込まれたものでその上皮が増殖したものと思われます。
腫瘍実質が好酸性細胞なので99mTcO4-を用いた唾液線シンチグラフィーに集積するものの正常な導管の構造が保たれていないのでWash Outされない特徴があります。
ミトコンドリアはプロトンに富むので+に帯電していると考えれば99mTcO4-が引き付けられると思います。集積した99mTcO4が安定化しようとしてγ線を出すのを画像化しています。

本問題はa,cが解答となります。


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