カグラボ

なんで泣けてくるのか

南アフリカとの準々決勝は、
学生たちといっしょに観た。

大隈塾の学生が運営しているシェアハウスで、
大隈塾の学生たち、その友だちたちが、
ゆるゆると集まってきて、
フランスvsウェールズの試合が終わって、
そろそろ19時ってときには、
30人ぐらいになっていた。

みんなで輪になって、
自己紹介をして、
今日ここにいる喜びみたいなものをシェアできて、
もちろんみんながラグビー知ってるわけじゃなく、
もちろんニワカではあるけれども、
でも、この試合をみんなでみることを楽しみにして
神楽坂にある「カグラボ」というシェアハウスに集まった。

大型のプロジェクターをわざわざ用意して、
牛丼をつくってみんなに振る舞って。
それを食べながら、
ビールを飲みながら、
ワールドカップの準々決勝という、
栄光の一戦を楽しんだ。

すごいスクラムだった。
一人、シンビンで退場してて7人で組んでいるのに、
日本代表のスクラムは歯が立たなかった。

ラインアウトもマイボールを確保できなかった。
スクラムで負け、ラインアウトでミスをしていては
試合に勝つどころじゃない。

本来なら大差で負けててもおかしくないのに、
3-26でおさまったのは、なにがそうさせたんだろうか。

あんなに負けてるスクラムなのに、
もっとも後退したスクラムでは、
日本の8人と南アフリカの8人が、
地上から同じ高さで移動していった。
落ちることもなく、かちあげられることもなく、
真っ直ぐに押し、真っ直ぐに押された。

ものすごい技術力と、
ものすごい筋力と、
ものすごいバランス感覚だ。

すばらしいスクラムを見せてもらった。

そして、あんなに負けていたスクラムなのに
後半の後半では、ターンオーバーさえできた。
SHがボールを入れた瞬間、
南アフリカのスクラムが後ろに下がり、
フッカーがボールコントロールを失い、
ボールは日本の8人の下に収まった。

このふたつのスクラムは、
わたしのタカラモノだ。
いま思い出しても、泣けてくる。
ニワカなわたしが泣くぐらいだから、
きっと大勢のプロップたちが号泣しただろう。
いまでも、号泣するだろう。

流大が国歌斉唱で泣いてるシーンが話題になった。

ラグビー選手、元ラグビー選手、ラグビー愛好家たちは
とってもよく泣く。
世界有数の泣き虫だと思う。

だけど、泣くときはたいてい、
負けて悔しいから泣くんじゃなく、
勝って嬉しいから泣くんじゃなく、
あの場面がとっても好きだから泣くし、
あの苦しさを耐えたことがとっても好きだから泣く。

だから、試合の前の日でも泣けるし、
試合のシーンを、練習でのシーンを思い出しても泣ける。

大好きなシーンが脳内で映像化された瞬間に、
涙腺が大崩壊する。

ラグビーな人たちの中でも特に、
スクラムを組む人たち、
その最前列の人たちは、
そういった人種なのだ。