Jiroさん

憎らしいほどのおもてなし

海星高校と大隈塾。
昨日は同窓会がふたつあった。

今年は野球部が甲子園に出た。
しかも1試合勝って、2試合やったので、
こういうときはわりと東京での同窓会では人が集まる。
野球部の監督も長崎から来てくれたので、
いつもは敬老会の同窓会が、
半分ぐらいは20代が占めていた。
驚異的だった。
53歳のわたしは、20代の彼女彼らからは、
敬老の眼差しで見られていただろう。

驚異的だな。

大隈塾は、去年のリーダーシップ・チャレンジの。
Jiroさん、と呼ばれる仲間が
赴任地のシンガポールから一時帰国しているので、
じゃあ、ということで集まった。
Jiroさん本人は酒が飲めないので、
ずっとジンジャーエールだったけど。

「なかめのてっぺん」の品川店だった。
客席30ぐらいの小さな店で、
フロアには1人、オープンキッチンに4人。
フロアは外国人、キッチンは半々。
まあ、ふつうの光景ではある。

フロアのネパール人ケシ・サンカルさんは、
完璧な対応をしていた。
早い時間によくある、
一気にお客さんが入ってきて、
同時に注文するために、
一組のオーダーとっていたら、
よそから「すいませ〜ん」と声がかかる。

オーダーとってるお客さんへの接待を疎かにせず、
しかし「すいませ〜ん」にもにこやかに対応する。
今日のおすすめは、
いなだのカシラ、ブリのカマ、生のタチウオ、
うには箱で食べるとお得、大きなサザエはつぼ焼きで。

ケシさんはネパールから日本に来てそんなに時間はたってない。
けど、会話のテンポもよく、冗談もきっちりこなし、
笑いを取りながら、オーダーも滞りなく、
たいしたアルバイトさんだと思っていたら、
店長だった。

もうすでに、日本人がいても、
外国人が店長になる時代になっているのか。

「ごめんなさい、べつのスタッフがレシート渡してました。
領収書をお求めでしたのでお持ちしたんですが、
レシートを見せていただけませんか?」

完璧だ!
「返して」じゃなくて「見せて」。
レジのレシートと領収書の両方を渡すことはできない。
渡すときには、レシートを工作しなければいけない。
レシートまで渡したのは店側のミスである、
だから、「すいません返してください」とふつうはいう。
だが、ケシ店長は
「見せてください」
当然、客は事情を察するから、
見せるだけじゃなくて、手渡すし、
それが自分の手元に戻らないことも承知してる。
返せ、といわれるより、見せて、のほうが柔らかい。

会計も終わって、お店をでて、
エレベーターでケシ店長と別れた。
1階に着いて外に出たら、
なんと、
ケシ店長がそこにいた。

おみやげのインスタント味噌汁を手渡すために、
外階段を4階から1階まで、駆け下りてきたのだ。

憎らしいほどのおもてなしだった。