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オリンピックで幸せになる方法

もうこんな仕事やめたい、
と思ってる人もいるんじゃないか。

「熱い五輪会場 切り札は人工雪?
屋根なし カヌーのテスト会場で実験へ」
(朝日新聞2019年9月5日付夕刊)

普通の会社なら、どうなんだろう。
暑さ対策で、
真夏に雪を降らせる、
日傘をアタマからかぶる、
というプレゼンテーションしたら。

ブレーン・ストーミングならわかる。
いろんなアイディアを出すために、
ときには突飛なことをいい、
極端な、ありえない意見をいい、
笑いの中にも気づきを得て、
ブレストは成立していく。

ところが。
雪を降らせる? 真夏に?

オリンピックの組織委員会では、
関連するいろんな会社から出向してきた人たちが働いている。
そもそも、選手たちも望んでないし、
観客もどうかと思っているし、
ボランティアたちは不安に思ってるし、
だから、8月に、東京で、オリンピックなんて
ムリ、
と思いながら仕事してて、楽しいか?
その仕事、家族は応援してくれているか?
理解してくれているか?

山口周さんは、『仕事選びのアートとサイエンス』のなかで、
転職を「攻めの転職」と「逃げの転職」に分けている。
攻め=自分のやりたいこと、よりなりたい自分へ近づくため
逃げ=自分にとって望ましくない、耐え難い状況から脱するため

「攻め」も「逃げ」もありだ。しかも、
経営に対する抗議としての「逃げの転職」は、
働く人たちに残されている唯一の抗議の方法だ、という。

会社のステークホルダーは、株主、顧客、従業員。
経営者に対する異議申し立てにかんして、
株主は、株主総会で文句をいったり、株を売ったりできる。
顧客は、取引量を減らしたり、取引をやめたりできる。
では、従業員は?
反対意見はそもそもいいにくい、むしろその道は閉ざされている。
「従業員にとって実は最も強力は反対意見の表明方法は、『退職』以外にない」
と。
幸せになるには、仕事を辞めるしかないのか。

実は、夏の人工降雪はフェスでも実施されている。
フジロックと双璧をなすサマーソニックでも、
雪を降らせた。

しかし、主催するフェスで実際に使ってみた音楽評論家の渋谷陽一さんは、
「暑さ対策というには微力すぎますが、気持ちだけでもと思い実行しました」
と書いている。

一番の暑さ対策は、開催時期をずらすことなのに、
ため息が出るアイディアだったり、
おためごかしなプランだったり、
その指示を受けて動かざるを得ない職員さんたちが、
気の毒でたまらない。

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mura

1966年長崎県生まれ。早稲田大学政治経済学部、大学院公共経営研究科修了。田原総一朗スタッフを経て、早稲田大学客員准教授。大隈塾「たくましい知性を鍛える」を担当。
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