スクリーンショット_2019-09-05_08

ジャニーズは努力が9割

顔じゃない、演技の上手さじゃない、ましてや性格の良さでもない。
やる気があるかどうか、
やるのか、やらないのか。

100人を超すアイドル候補者から、
ジャニー喜多川が「この子!」と抜擢するのは、
「YOU、やっちゃいなよ!」
の言葉にのるかどうか。

そして、「YOU」にのっかったら、
ひたすら努力する。

わたしはジャニーズのタレントたちを誤解していた。
嵐、SMAP、TOKIO、もうそろそろ落ち目で、
そりゃもう40歳にもなってアイドルじゃないだろ、と。
そもそも、顔が良かったから、超イケメンだったから、
歌ったり踊ったり、お芝居したり、
努力はしてるんだろうけど、
要は天賦のルックスでしょ、と。

ところが、そうじゃなかった。

中居正広:非常識を常識化した
木村拓哉:「自分の強みはジャニーズ」
国分太一:多忙な中でのインプット方法
岡田准一:本1冊映画3本が日課
井ノ原快彦:徹底的な「嫌われない覚悟」
堂本剛:自らプレゼンするアーティスト
櫻井翔:「どこでもアウェイだった」
滝沢秀明:孤軍奮闘するリーダー

『ジャニーズは努力が9割』のオビにそう書いてある。
とにかくみんな、努力努力努力努力、努力に努力を重ねている。

古今亭志ん生も、50代で落語家として売れるようになるまで、
寄席から寄席へ、寄席から自宅への移動は歩きで、
ずっと稽古しながら移動していた。
死ぬまで枕元に『三遊亭円朝全集』をおいていた。
酔っ払って高座に上がって居眠りした、というエピソードは有名だが、
実は酒を飲んで高座に上がったことはなかった。
全力でいくつもの寄席を掛け持ちして、
疲労困憊での居眠りだった。

古今亭志ん生は、努力の噺家だった。

わたしは、この本『ジャニーズは努力が9割』についても誤解していた。
よくある「9割」本だろう、と思っていた。
ちなみにAmazonで「9割」を検索すると、
あらあらあらあら、っていうぐらいにずらずら出てくる。

1985年生まれの著者は、9歳でSMAPにあこがれ、
15歳からジャニーズ事務所に履歴書を送り始め、
18歳でジャニーズのオーディションを受け、落ちた。
そのあとも、ジャニヲタとしてあり続け、
今でもジャニーズのライブに通う。

ジャニヲタになったきっかけが素晴らしい。
機会があって端役ながら、岡本健一と一緒に舞台に出たことがあった。
慣れて打ち解けてきたころ、著者は岡本健一に、
「ジャニーズに入りたい」
と。岡本健一から笑われるかと思ったら、真顔で
「努力できる?」
と聞かれた。
以来、ジャニヲタとして追いかけ続け、
本書は10年間かけて、改稿を重ねてようやく出版できている。
しかし本書は、誰にも取材していない。
この本は、ありものの資料だけで構成されている。

著者はWEBマガジンを主宰して、
インタビュー記事をたくさん書いているが、
本書には生の声がでてこない。
もしかすると、実際には取材しているんだけど、
それは既存の記事のウラをとっただけで、
自慢気にカギカッコでコメントを引用することをしていないだけかもしれない。

話にほどよい厚みがあって、
展開のテンポがいい。

ジャニヲタとしての努力が、ハンパない。