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【ライブレポ】Suffocation来日に行きました!

2024/4/12(金) @ 渋谷club asia

デスメタル界のレジェンド中のレジェンド、アメリカはNY出身のSuffocationが5年振りに来日するということで観に行ってきました!

言わずと知れたブルータル/テクニカル・デスメタルの先駆者であるSuffocationですが、私は前回の来日も観に行っています。その時のライブレポはこちら


さて、今回のライブレポに入る前に、毎度のことながらバンドの解説や個人的な思い入れについて語っていきますが、まずはSuffocationというバンドについて。

上でも書いたように、Suffocationはデスメタルバンドの中でも一際レジェンドの部類に入るわけですが、彼らがシーンに及ぼした影響というのは各所で語り尽くされていると思います。
そんな中で、個人的に凄いなと感じるのは、やはり出てきた時期の早さという点でしょう。

彼らの名盤1stフル『Effigy Of The Forgotten』が出たのは1991年ですが(同じ年の少し前には1st EP『Human Waste』もリリースしている)、同年にリリースされたデスメタルの作品の例を挙げると(フルアルバム限定)、

Atheist - Unquestionable Presence
Autopsy - Mental Funeral
Bolt Thrower - War Master
Cannibal Corpse - Butchered At Birth
Carcass - Necroticism - Descanting The Insalubrious
Death - Human
Dismember - Like An Everflowing Stream
Entombed - Clandestine
Gorguts - Considered Dead
Grave - Into The Grave
Immolation - Dawn Of Possession
Morbid Angel - Blessed Are The Sick
Pestilence - Testimony Of The Ancients
Unleashed - Where No Life Dwells

・・・と挙げ始めるとキリが無いほど後年まで語られ続けている名作が同じ年に出ているわけですが、時期的には今で言うところのオールドスクール・デスメタル全盛期の真っ只中、そしてテクニカル化の兆しも見え始めた時期だと思います。

Atheistの2nd、Deathの4th、そしてCynicの『Demo 1991』などはまさしくその流れ、すなわちスラッシュメタルの先鋭化としてのデスメタルが徐々に多様化していたという中で(ゴシック方面ですがParadise Lostの『Gothic』も1991年作)、Suffocationの1stは正直異常事態というか、一体何が起きたんだというくらい異彩を放っている作品ではないでしょうか。

Suffocation - Effigy Of The Forgotten (1991)
代表曲「Liege Of Inveracity」「Infecting The Crypts」等を収録した名盤。

上で挙げたアルバムと比較した時に、Suffocationのどういうところが特筆すべき点かというと(当然ながら優劣の話ではないです。念のため)、ボーカルスタイルや落としパート等を始めとする圧倒的なブルータリティでしょう。

無論、彼らは突然変異的な登場ではなくて、同時期・同郷にはInternal BleedingBaphometPyrexiaといったバンドがおり、地域柄というのもあったと思うんですが(私は門外漢ですがNYHCの影響もあるのでしょうか)、そうは言ってもSuffocationの先進性にはかなり目を見張るものがあります。

間違いなくブルータル・デスメタルの元祖だと思いますし、後のブルデス、テクデス、スラミングデス等の方面に与えた影響は絶大で、そういう意味で「レジェンド中のレジェンド」というわけです。

彼らのブルータリティというのは、初代ボーカルFrank Mullenのボーカルスタイル(グロウル)、ブラストビートをふんだんに盛り込んだドラミング、そして落としパートだけに留まらず、次から次へと違うリフが繰り出される複雑な曲構成(繰り返しが少ない)やストップ&ゴーによる緩急、そして頻繁なテンポチェンジや複合拍子によるのも大きいと思っていて、それが1stの時点で完成されているのが本当に驚異的ですが、その路線を突き進めた傑作がやはり3rd『Pierced From Within』(1995)でしょう。

Suffocation - Pierced From Within (1995)

初代ドラマーMike Smithが離脱した後に発表されたアルバムですが、まさに彼らの音楽性を象徴するような作品であり、押し潰すような重圧感、曲が目まぐるしく展開する緊張感は本当に凄まじいです。
私が『Pierced From Within』を買ったのは約10年前、18歳の時ですが、かなりガツンときた衝撃的なアルバムでした(未聴の方はこれを機に是非)。

その凄まじさから、一時聴くタイミングを選ぶバンド(長時間は聴けない)だなとなっていた時期もあるんですが、今となっては大好きなバンドの1つです(特に前回の来日でかなり魅了されました)。

3rdリリース後しばらくして1998年に一旦解散した彼らですが、2002年には復活、そして今に至るまでメンバーチェンジは経つつも(現在オリジナルメンバーはギターのTerrance Hobbsのみ)コンスタントにアルバムを出し続けています。

筆者のSuffocationコレクション。
「Funeral Inception」収録の1998年作EP『Despite The Sun』は抜けていますがフルアルバムは全て揃っています。実は最初に買った彼らのアルバムは出てまだ間もなかった2013年作『Pinnacle Of Bedlam』でした。

余談ですが、実は私もYouTubeに彼らのカバー動画を上げたことがあって、2020年に撮って一旦お蔵入りにした動画を翌年に公開した動画なんですが(そのため若干粗い)、2024年4月現在なんと2.2万回再生されており、私のチャンネルでもトップの再生回数の動画となっています。
いずれまたSuffocationのカバー動画は上げたいですね。

前回の来日(2019年)はオリジナルメンバーであったボーカルFrankの最後のツアーだったことからも分かる通り、彼はその後脱退しており、代わりに加入したのはこれまたブルデスを代表するバンドDisgorge (US)のボーカルとして知られるRicky Myersでした。

昨年リリースされたSuffocationの最新作『Hymns From The Apocrypha』はそんな彼の加入後初のアルバムで、個人的にもかなり注目していたのですが、これがまた近作の中でも特に良い出来だったため、今回のツアーは発表時からかなり楽しみにしていました。

Suffocation - Hymns From The Apocrypha (2023)

楽しみなあまり、思わず人生初VIPチケットを購入し(これまで結構な数の来日に足を運んできましたが、ポスター付きチケットは買ったことがあってもVIPは買ったことが無かった)、東京1日目のみの参戦とはなりましたが、いよいよライブレポへと移っていきましょう。


東京1日目の会場となったのは渋谷のclub asiaで、行くのは何気に初めて。
国内メタルコア系のバンドが使うハコというイメージがあります(偏見)。

O-EASTやduo music exchangeのすぐそば(前回の来日はduoでしたね)、すなわち周りはホテル街という立地的にアレな場所ですが、内部はコンパクトな作りながらもフロアは1階にあったりと個人的にはなかなか好印象でした。

前述の通りVIPチケットを買っていたんですが、ミーグリの時間が当初の予定の16:30から18:00に変更、そして最終的には終演後となりました。
渋谷に着くのが時間ギリギリという状態だったので、個人的には時間変更は全く気になりませんでしたね。

17:00からは物販の先行販売でしたが、これまた予期せぬ問題が発生したのか物販4種のうち3種が18:00以降、すなわちオープン後の展開となったため、「ゴジラT」のみが販売されていました。
ミーグリが延期となり暇だったのと中が気になったので一応見るだけ見たんですが、ゴジラの映画を見たことないのと、前回来日した時もあったゴジラTを買わなかったので(別のシャツは買いましたが)、特に何も買うことなく外へ。

Suffocationのシャツは2枚持ってたので当日まで何のシャツ着ていくか迷っていたんですが、右の前回のツアーTを着て行きました。同じシャツ着てた人はちらほらいましたね。

その後しばらく渋谷をぶらついた後に、18時前にclub asiaに再び戻り、物販3種の到着の関係もあってかオープンが若干押していましたが、VIPチケット買っていたおかげで早めに入ることができ(入場順は2日通し券のほうが先)、目当てだったロンTと、シャツを無事に購入することができました(これで持ってるSuffocationのシャツが3着とロンT1着に…)。

ロッカーに荷物を入れる際、恥ずかしながら100円玉が1枚足りず、両替機も無くバーカンでの両替も受け付けていなかったため焦りましたが、近くにいた人に50円玉2枚との交換をお願いすると快く応じてくれたため何とかなりました(対応してくださった方、本当にありがとうございました)。
事前に予想できたことだったんですが、これからは必ず意識して100円玉を3枚は用意してライブに臨もうと思いました(自戒)。

上のようなハプニングがありながらも、やはり早めに入場できているからかほぼ最前を確保することができ、スタートも10分押していたため待ち時間はありましたが、そうこうしているうちにこの日唯一のサポートアクトだったCrystal Lakeのライブが始まりました。

Crystal Lake

Crystal Lakeといえば国内のみならず世界的な人気を誇る日本を代表するメタルコアバンドですが、個人的にライブを観るのは初めてで、今回地味に楽しみにしていました。

私はメタルコアも結構好きだったりするんですが、実はCLをちゃんと聴いたのは比較的最近になってからで、前任ボーカルのRyo Kinoshita氏を始めとした世界レベルの楽曲に驚かされたのを覚えています。

筆者は以前Crystal Lakeのサポートも務めたことのあるSailing Before The Windのベーシストであるビトクさんとnoteでコラボさせてもらったことがあり(記事は下記参照)、普段はデスメタルやヘヴィメタルばかりの私がメタルコア方面について語っています。気になる方は是非。

大々的なボーカルオーディションを経て迎えられたアメリカ出身のJohnが加入して去年初めてリリースされた2曲入りシングル『Denial // Rebirth』は私もリアルタイムで聴きましたが、特に「Rebirth」の方はその神秘性に度肝を抜かれ、個人的にも好きな曲です。

そしてこの日は「Denial」からの「Rebirth」で彼らのライブが始まり、思わずテンションが上がったわけですが、当然ながらライブは上手く、パフォーマンスに関しても一流で流石の一言。

客層的に普段はメタルコア系は聴かないという人も多かったとは思いますが、それでも盛り上がっていたと思いますし、素晴らしいライブでした。

まだ聴き始めて日が浅いのもあって(まだアルバムも持ってないです)、曲も全部は分からなかったんですが、今後もライブ観る機会ありそうですしこれを機にもっと聴いてみようと思いましたね。

撮らせてもらったセトリの紙(ありがとうございます)。
7曲目のBludgodは新曲。

ちなみに、club asiaの構造上仕方ないんですが、CLが始まってすぐにステージ脇の出入り口(外と直結)からSuffocationのメンバーが入ってきて、私がステージ下手側(出入り口の近く)にいたのもあり、少し驚きました。

CLの演奏が終わった後は機材を搬出している様子を眺めながらSuffocationを待っていたわけですが、この日はBGMの選曲が良かったですね。
覚えているだけでもObituary, Defeated Sanity, Thy Art Is Murder, Dimension Zero, そしてDismemberと筆者の好きなバンドばかり流れていました。

そうこうしているうちに搬出が完了し、Suffocationのメンバーがステージへ。
出音を聴いて、5年前と同じく「ああSuffocationだ…」となりましたね。

そしていよいよSuffocationがスタート!

Suffocation

セットリストは下記の通り。

  1. Seraphim Enslavement

  2. Thrones Of Blood

  3. Breeding The Spawn

  4. Dim Veil Of Obscurity

  5. Pierced From Within

  6. Perpetual Deception

  7. Funeral Inception

  8. Hymns From The Apocrypha

  9. Catatonia

  10. Liege Of Inveracity

  11. Infecting The Crypts

※アンコールは無し

さていよいよ始まったSuffocationなわけですが、やはり最初に気になったのはボーカルでしょう。

結論から言うと、個人的には何の問題も無かったと思います。
ボーカルの面では何ら遜色はありませんでしたが、キャラクター性は結構違いました。

Frankは笑顔を見せることが多いながらも貫禄を感じさせる佇まいでしたが、Rickyの雰囲気は、この日の服装や見た目も相まってArchspireのOliに近しいものがありました。Frankのトレードマークだった「デスチョップ」も所々やっていましたが、やはり厳つくて淡々としているような印象でしたね。個人的にはこれはこれでクールでカッコいいと思いました。

とはいえ、実際に観た感触としてはやはりSuffocationはSuffocationであり、流石に初期とは違うと思いますが(オリメンもTerranceだけですし)、ボーカルが変わった影響というのはほぼ無かったと言っても良いでしょう。

開始即最強でした。

演奏面についてはもはや書くまでもないですが完璧で、前回観た時と同様、もう出音が別次元。
これは実際観た人なら分かると思いますが、彼らが最強である所以はそういうところでしょう。

Rickyについては上で書きましたが、Terranceは余裕たっぷりで最高にカッコ良く、ベースのDerekもトレードマークの弾き方がバッチリ決まっていたし、ドラムのEricも言わずもがな凄腕。

片割れのギタリストCharlieは終始ステージ上手側にいたためあまり見えませんでしたが(筆者も結構ヘドバンしていたため)、ソロもTerranceと同じくしっかりと演奏。最後の方にこちら側に来てくれてました。

上の写真とほぼ同時に撮った写真。元々大して撮らないほうですが最近は更にライブに集中するようにしています。

セットリストについては新譜のツアーなので最新作が中心で、残りは過去の人気曲といった構成。
新旧バランスの取れた選曲だったとは思いますが、欲を言えば、前回やっていた4thタイトル曲の「Souls To Deny」や、あと前回もやっていなかった前作『…Of The Dark Light』(2017)収録の「Clarity Through Deprivation」あたりは観たかったですね。

歴の長いバンドあるあるですが、新譜のツアーだとそれよりちょっと前に出したアルバムの曲はあまりやらないイメージなので、好きなバンドの来日公演は、特に新譜が好きであれば行くに越したことはないと思います(前回のSuffocation来日についてはFrankが最後ということで彼のやりたい曲をやっていたのかもしれないですが、当時の最新作だった2017年からは1曲もやらず今回も無かったです)。

終わり際だと思い撮った1枚。「Infecting The Crypts」が始まってアンコールは無さそうだなと思ったらやはりありませんでした。

フロアの盛り上がりについては、筆者はほぼ最前にいたため後方のことは分かりませんでしたが、時折後ろから押されることがあったため、やはり相応に大盛り上がりだった模様。

とはいえ、この日ステージダイブも無かったですし、私は行きませんでしたが、ひょっとするとソールドしてた2日目のサイクロンでの公演よりも、快適に観ることができたのではないかなと思います。

トータルで1時間くらいのライブで駆け抜けるように終わったので、正直もっとやって欲しいなとは思ったものの、満足度はかなり高かったですね。

新譜の曲がやはりカッコ良くて、デスメタルの帝王が未だ健在であることを示していたと思いますし、過去曲、特に1stや3rdの曲はブチ上がりましたね(しかもその4曲は個人的に練習したことがあるので尚更)。

そして気になっていたRickyについても流石の存在感で、今後の彼らも要注目だなと感じさせられました。


終演後はいよいよお待ちかねのミーグリタイム。

会場はclub asiaの2階で、VIPチケット持ってる人達の列でしばらく待っていると、私の出番が回ってきました。

どういうシステムなのか事前に全く知らなかったのですが、Suffocationのメンバーが一列に座っていて、その場で受け取ったポスターにサインを書いてくれて、その後に写真を撮るという流れでした。
私は新譜のCDも持って行っていたのでポスターとジャケ両方にサインを書いてもらいました。

メンバーとは一言二言会話できたんですが、最初Derekに前回の来日も観に行ったよと告げると、嬉しいことにピックをくれました。
他のメンバーにも順番に、同じく前回観に行ったよとか今日のライブ最高だったぜとかまた来てね的なことを伝えて、最後に写真撮影してもらいました。

嬉しそうな顔の筆者。

この時感心したのが、ポスター用の輪ゴムと、あとポスター入れる用の袋(傘とか入れるようなビニール袋)を用意してくれていたことで、今までポスター付きのチケット買って観に行ったライブだとそのまま受け取っていたので、その点はかなりありがたかったですね。

というわけで、ミーグリはあっという間ではありましたが、VIPチケット買って良かったと思える時間でした。
Suffocationが人生初ミーグリとなりましたが、今後も好きなバンドでVIPあったら買おうかなと思います。

今回ゲットしたもの達。CDは元々持ってたものを持って行ってサイン貰いました。

今年観に行った来日公演は今回が4度目で、MortiferumもRiot CityもGatecreeperもハイレベルでカッコいいライブでしたが、流石にSuffocationは現時点のベストライブだと思わされました。

東京2日目は観に行けませんでしたが、Suffocationはもっと観たいのでまたすぐに戻って来て欲しいですね。
いずれにせよ、今回彼らを呼んでくれたEverlasting Fireには大感謝です。

前回2019年にSuffocationが来日した時は普通にファンとして観に行き(その時はバンドやってませんでした)、今回はVIPチケットを買ってファンとしては大満足だったわけですが、やはりメタルミュージシャンとしては次回以降の来日、あるいは海外フェス等でも良いので、いつか同じステージの上に立ちたいですね(CryptopsyのOAやった時は格別でした)。

来月以降の来日公演ですが、5月のGamma Rayと9月のIron Maidenはチケット購入済で、あと8月のDefeated Sanityと、9月のSkeletal Remainsは観に行く予定です。

それでは、次回の記事でお会いしましょう。

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