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【ライブレポ】Gatecreeper来日公演に行きました

2024/3/22(金) @ 新大久保Earthdom

2010年代に巻き起こった所謂「ODSMリバイバル」ムーブメントにおいて頭一つ抜けた存在感を示しているアメリカのデスメタルバンドGatecreeperが来日ということで、観に行ってきました。

1月のMortiferum来日といい(観に行きましたが記事にはしていません)、2010年代後半に話題になっていたバンドがこうして来日するようになったことは素直に喜ばしいことですね。

Gatecreeper

さて、今回観に行ったGatecreeperですが、上でも書いた通りこれまで頭一つ抜けた存在感を放ってきたと思います。

というのも、2016年作1stが名門Relapseからリリースされていた時点で既に鳴り物入り感がありますが、今年リリースされる新作3rd『Dark Superstition』はNuclear Blastから出ます。
問答無用でこのシーンのトップのバンドだということがお分かりかと思います。

Gatecreeper - Dark Superstition (2024)
今年の5/17にリリース予定です

個人的にGatecreeperというバンドは1stが出た少し後から知っているバンドで、私が本格的に「OSDMリバイバル」に関心を持つようになったのが2017年のことだったので、彼らの結成が2013年のため「出てきた頃から知ってる」とは言えませんが、割りと活動初期から聴いてきた…とは言えるかもしれません。

彼らの1st『Sonoran Depravation』はそれまで「昔」のデスメタル、すなわちMorbid AngelやObituary、Deathといったフロリダ勢や、DismemberやEntombedといったスウェーデン勢を聴いていた私にとっては、随分と新鮮に聴こえたのを覚えています。

当然プロダクションはモダンだし、スウェデスぽい音ながらもObituaryやイギリスのBolt Throwerの影響も色濃いという折衷的なサウンドが特徴の彼らはやはり「新しい」存在だったと思いますが、結構聴いてはいたものの、正直そこまでハマりきらなかったというのが当時の記憶としてあります(HorrendousやSpectral Voiceのほうが好きだった)。

その要因としては、ちょっとハードコアぽさが強いかなというところが個人的にあり(今聴いても結構ハードコアっぽいなと思うんですが)、ともかく筆者の嗜好からは若干外れていると当時感じていました。

そういうこともあって2019年作2nd『Deserted』は残念ながらCDを買うこともなくスルーしていたのですが、続く2021年作EPはオッと思わせるような内容で、出た時その頃やっていたブログで取り上げていたりします。

Gatecreeper -  Sonoran Depravation (2016)
上では少し否定的に書きましたが久々に聴き返すとカッコ良い。

…と、ここまで書いてきた内容的に、「じゃあなんで今回観に行ったんだ」と思う向きもいるかもしれませんが、勿論そこには決め手があります。

勿論1stをかつて聴いていたからというのはありますが、やはり新曲の出来が大きいでしょう。

まず2月に先行公開された「Caught In The Treads」が思いの外メロディアスで、やはり最近のメロデスへの回帰の流れは確実にあるんだなと思いもしましたが、事実として私の関心を引きました。

そして今月公開されたばかりの新曲第2弾「The Black Curtain」が出色の出来で、更にメロディアスどころか、それこそParadise Lostあたりのバンドからの影響を強く感じさせるゴシック・メタル的な曲で、最初聴いた時は思わず膝を打ちましたね。

最先端の現行デスメタルバンドがこの路線の曲を今やるのか〜と驚かれされましたし、彼らのセンスの良さというか、「嗅覚」の鋭さには改めて感心させられましたね。

というわけで、元々行こうかなとは思っていたんですが、ひょっとすると新曲を観れるかもしれないと思い、今回観に行くことにしました。


毎度ながら前置きが長いですが(笑)、ここからライブレポに入っていきましょう。

今回のハコは新大久保アースダム。
もう何度か行ったことあるのでお馴染みって感じですが、華金ということもあって賑わいを見せる新大久保を突き進んでアースダムに到着した時には、既に1バンド目が始まっていました。

1バンド目のBelmadigulaは名前をTwitterで見かけたことがあるかなといった程度で、当然ライブも観たことなかったんですが、若手のハードコアバンドって具合でした。

全部観てないので書けることもないんですが、この日はやはりハードコア好きな人も割りといたのかなという印象をこの時点で受けましたね。


続くCoffinsは説明不要の日本のデスメタルバンド。

観る機会が多いので今までに何回か観たことありますが、いつも通り極悪なサウンドのドゥームデスでしたね。

CoffinsはRelapse所属なので、そういう意味でも今回出演していたのは必然というか、彼ら以上の適任は日本にいなかったでしょう。


それにしてもこの日eplusでチケットの規定枚数が無くなっていただけあって、かなりの人がいました。

Gatecreeperクラスで考えると流石にアースダムは規模としては不足だと思いますが(Nuclear Blast所属ですからね…)、それでもこれだけの人入りがあったという事実が次に繋がるのかなと思いました。


そしていよいよGatecreeper!…と行きたかったんですが始まる前に(恐らくドラムのマイクが)ハウっていて、演者じゃないので詳細のタイムテーブルは分かりませんが若干手間取っていた印象がありました。

そうこうしているうちに準備が完了し、遂にスタート!
セトリは以下の通り。

撮影させてくれた方、ありがとうございます🙇‍♂️

セトリは新旧から満遍なく選曲されており、アンコールも含めると、1stから4曲、2ndから6曲、2021年EPから3曲、そして新曲が2曲の計15曲が演奏されました。
体感的にはあっという間に終わりましたね。


これは今年の初めに観たMortiferumでも思ったのですが、当然ながら海外の一線級の現行デスメタルバンドは音も良いし演奏も上手い。

特にドラムに関しては、来日するようなバンドは必ずと言って良い程ですが、出音がパワフルだし、カッチリしていました(始まる前ハウってたのも音がデカかったから説)。

ライブ序盤、ボーカルのChaseがしきりにPAの方に向かってドラムの音を下げるジェスチャーをしており、しまいには切るようにジェスチャーしていたのですが、結局のところ本人の満足のいく中音になっていたかどうかは不明。

真後ろにパワフルなドラマーがいると、目の前のモニターを切ったところでハコの大きさ的にあまり自分の音は聞こえなさそうなものですが、どうなんでしょうね(アースダムでライブしたことないので分からないです)。


パフォーマンスについては、テクニックと同様やはり圧倒的に場慣れしており、特に竿隊がずっとヘドバンしつつも、時折サークルピットを煽るのがカッコ良かったですね。
上手側にいたギターのEricは、その体格のデカさもあって、EVILな面持ちになってる様子は迫力がありましたし、楽しそうでもありました(着ていたPhobophilicのシャツも良い)。

ImmortalのロンTを着ていた下手側のギターIsraelは筆者がいた位置的にあまり見えませんでしたが、粛々と演奏していた印象。
2022年に加入したベースAlexはSacrilege(イギリスのほう)のシャツの下にEucharistのロンTを着ていて痺れましたが(彼はGorementのロンT着てるアー写もあるのでマニアですね…)、演奏も他のメンバーと同じく安定のカッコ良さでした。


ボーカルのChaseについては落ち着いた感じではあるものの、内に激る熱意は感じ取れて、歌も安定しており、また違うカッコ良さがありましたね。

曲については、確かにハードコアなノリも感じますが、こうして生で観てるとやはりデスメタルバンドだなと。
少なくとも、自らをハードコアだとは思って演奏はしていないと思います(そもそも彼らは「スタジアム・デスメタル」を標榜している)。

上でも書いた通り、やはり彼らの音楽の方向性としては、EntombedやDismemberからのエッセンス(キャッチーなリフや叙情性についてはDismemberの3rdの影響が強そう)と、ObituaryやBolt Throwerのドゥーミーさを組み合わせて、時折ハードコア的な要素が登場する…といった説明が基本になるなと感じましたね(よく言われていることの繰り返しになりますが)。

(不勉強ながら)1stばかりを聴いていた身としては、「Craving Flesh」だったり「Desperation」だったりを観れたのが嬉しかったですね。


そして個人的に楽しみにしていた新曲。
両方とも観れたのは大きな収穫ですが、「The Black Curtain」はライブ世界初披露とのことで、貴重な瞬間に立ち会うことができたなと。

生で観ると、ノリとしては当然異なったものになっていて、これまでが激しく、あるいは遅重な曲調だったのに対して、「The Black Curtain」はゆったりとした雰囲気となっており、ライブのアクセントとしても優れた曲だなという風に感じました。

5月に出る新譜に他にもこういう曲が入ってるかはリリースされるまで分かりませんが、いずれにせよ今年要チェックなアルバムであるのは確かですね。


上でも書いた通りあっという間のライブでしたが、最後はアンコールとして2ndから「Boiled Over」をやって終了。

筆者は前の方にいましたが、フロアの熱気が後ろからかなり伝わってきたので、相当に充実したライブだったんじゃないかなと思います。

余談ですが、終演後にはEricとChaseと軽く話す機会があって、Ericはイメージ通り気前の良い人でした。
Chaseはライブでの印象的に気難しい人なのかな…?とも思いましたが全然そんなことなくて、むしろ物腰柔らかくて優しい人でした。
筆者はNihilistのロンTを着ていたんですが、「そのシャツ良いね」と言ってもらえて最高でしたね。
あと新曲「The Black Curtain」からParadise Lostを感じられて好きだ、ってことを伝えられたのも良かったです。


というわけで今回観に行ったGatecreeperですが、観に行って良かったなというのが感想として大きいですね。

新曲を2曲とも観れた、というだけでなく、自分の中では割りと「再発見」じゃないですけど、出た時スルーしてた2ndを今聴き返すと全然良い感じなので、これを機にちゃんと聴こうかなと思ったり。
ライブきっかけでこうなった経験したことある人が筆者以外にもいたら是非聞きたいですね。

次回来ることがあったら、絶対にもっと広い会場で観たいですね。

何と言っても「スタジアム」を標榜しているわけですから、やはり大きなステージで彼らのライブはより映えると思います。

2010年代に盛り上がりを見せた「OSDMリバイバル」は最近若干寂しい感も否めませんが、そうは言ってもデスメタルはまだまだこれからも最高にカッコいい音楽として存在し続けると思うので、そんなデスメタル・シーンを牽引し続けるバンドとして、新譜も出ることですし(最初の方で書いた通り私は一時気持ちが離れていたこともありますが…)、今後のGatecreeperの動向に注視していきたいですね。


それではまた次の記事でお会いしましょう。

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