「休むこと」が想定外の制度設計がすべての元凶

「想定外」。一時期話題となった言葉です。よく偉い人の不祥事釈明会見なんかで「●●は想定外だった」とか言いますよね。私はこの言葉が嫌いです。これほど自分の無能さを露呈させてしまう言葉もないと思うからです。

アルバイトでもオフィスワークでもなんでもそうですが、今の日本って「休むこと」が想定外で制度設計されてますよね。店番のアルバイトだって体調不良で休んだりします。そんなのは当たり前です。アルバイトが急に休むと困る、みたいなことを言う経営者(やそれに準ずる人)がいますが、それは想定しておいてしかるべきことなのです。アルバイト、従業員は突然休むし突然辞めるんです。

また、よく問題になる「産休・育休問題」についてもそうです。今の多くの組織は産休や育休を取得する人が出ても困らない制度設計にはなっていないのですね。だから、休む制度だけはあるけど、取られたら困る、という脚のない椅子みたいな状態になってるわけです。公務員時代は9割が女性という職場でしたので、1年で2人産育休の方が出て、その方の分を他の人で分担することになりました。時短勤務の方もいます。その分の負担はやはり他の人の残業などで補うわけですね。公務員ですらそれを処理するのは結構大変でしたので、民間企業なんてもっと大変なのだろうなと感じます。

放射線の影響もありますし、これからますます人々の病気、がんもうつ病も、増えていくでしょうから、「病休」、「休職」の人も増えるでしょうね。健康な人にしわ寄せがいき、その人たちも心身を壊し…いったいいつまでこんなことを続けるのでしょうか。そんな社会がいつまでも続くはずはないのですね。もう、崩壊寸前ってとこじゃないでしょうか。

基本が一人二人休んだら回らないくらい余裕がない制度設計なのですね。仕事量が多い、と。とにかく、日本全体が働きすぎなのです。生産性が著しく低い。無駄な仕事が多すぎる。世の中にいらない仕事がたくさんあるのです。「そんな仕事いらないじゃん」と言うと、「それを生業にしている人がいるんだから」と反論されたりしますが、そんなことを言ってるからいつまでも無駄な仕事が減らないんです。特に労働基準法無視、人を人とも思っていないような経営をしているブラック企業なんて、存続する価値がないので、早々と逃げ出した方が身のためです。

公務員だったこともあり、休みに関しては周りも寛容で、取りやすかったのは非常に良い環境でした。今の社会に欠けているのは「寛容さ」「許し」だと思います。自分が休めないから心に余裕がなくなり、他の人が休むのが許せないし糾弾したくなる。「自分は熱が出ても出勤するのにあの人は…」って思うなら、あなたも休んでくださいよ。「困ったときはお互い様」と思って、自分も相手も許していく。組織の制度設計とともに、私たちの心の制度設計も、いい加減見直す時が来ていると思います。

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