「介護」に「TLC(テンダーラビングケア)」の視点を

働く人々に重くのしかかる両立問題の二大巨塔が「子育て」と「介護」ですよね。介護は50~60代くらいの方が今まさに直面していることでしょうか。子どもも成人したし、一安心、と思ったのもつかの間、高齢の親族の介護問題が浮上してきます。私も長いこと祖母と同居していたので、高齢者とともに住む大変さはそれなりにわかっているつもりです。結局祖母も昨年から施設に入居しました。実の娘である母と叔母はバタバタして大変そうでしたね。

何事も、「何という言葉で定義するか、表現するか」ということは非常に大切だと思っています。「介護」と聞いて、重く少しネガティブな響きを感じるのは私ではないと思うのですが、これが「TLC=テンダーラビングケア」すなわち、「やさしく愛のこもったケア」と言い換えることができれば、とてもポジティブなものに感じられると思います。

「TLC」は主に医療系でよく使われる言葉だそうですが、日本では全くと言って良いほど知られていません。今ネットで検索してみましたが、あまりヒットしませんでした。介護分野に限らず、終末医療や保育、ペット、各種セラピーにおいても重要な概念だと思います。

「病院」という言葉も、なんだか良いイメージではありません。英語で言うと「hospital」ですね。語源は「host」や「hospitality」であり、温かく迎える、奉仕、おもてなし、のような意味ですよね。もともとは、けがをしたり傷ついた人を温かくおもてなしする場所が「hospital」でした。それが現実はどうでしょう。今の病院は「TLC」や「hospital」のもともとの意味とはかけ離れたものになってはいませんか。

日本語にはおかしな訳がたくさんあることに気づきます。英語だとよくわかる概念も日本語だと変だったり、その逆も然り。やはり、言葉というのは非常に重要で、その場所や存在の概念や意識までも左右するものなのだと思います。

私の近所の知り合いは、80代のお父様とともに暮らしていて、「死ぬまでこの家で面倒を見たい、それが「TLC」だから」とおっしゃっていました。毎食お父様のためにお料理を作って差し上げている様子を見ると、物事は捉え方ひとつであり、言葉の影響はとても大きいなと感じます。「親父の介護で大変」と思うか、「親父とTLCの気持ちでそばにいよう」と思うか。

社会全体が「TLC」で循環していく社会って、とても理想的だなぁと思うのです。私自身も最近知った「TLC」の概念を、もっと広く広めていけたらなぁ、と思っています。

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