変化の時代~組織から個人主役の社会へ~

『一番の「安定」というのは、終身雇用ではなく、「時代の変化に対応できる柔軟性」であると思っています。』時代の過渡期の身の振り方についての記事にも書いたとおり、これからの時代はより一層、「変化に適応できること」というのが大きな価値を持つ世の中になってくると思います。

大きな組織ほど、その組織の大きさゆえに身動きが取れず、柔軟な対応ができません。まず、意思決定のスピードが異常に遅いですね。革新的、創造的なアイディアを持つ若手がいたとしても、まずその声が経営陣に届くことはまれでしょうし、事業化されるなんて夢のまた夢のような話です。そして、組織を運営するのにかかる時間、労力、お金が莫大であるため、「24時間、365日営業」の限界感にも書いたとおり、「回すのでいっぱいいっぱい」という状況に陥りがち。時代を見据えた次のビジョンや展開を考え、実行に移すことが非常に難しい状況です。そしてそして、そこにいる大多数の「当事者意識」が非常に希薄で、すべての人が「事なかれ主義」、うまく回っていないことに対する責任をだれも取ろうとしないわけです。前例踏襲、変化を好まない体質というのは、めまぐるしく変わる時代の変化に全く追いついていけないんですね。

大きな組織というのは、人それぞれの個性や独創性、創造性を発揮できない場です。公教育で洗脳されてきたとおり、「出る杭」にならないよう、「均一化」され、みんなと同じであることがよしとされているからです。そして、先生に従順な子がほめられた「学校」と同じで、組織に盲目的に従順な人がよしとされます。多くの「就活」は組織の奴隷としての素質を見極められているわけですね。

そうすると、自然と組織には「個性的な人」「面白い発想の人」「変化を好む人」というのは集まらなくなり、組織に従順な人の集団ができます。そして、そういう人の中からうまいことトップに上りつめた人が経営しているのが大企業ということです。つまりは、トップももともとは「組織に従順な人」だったということが多いと思います。今の確固たる「変化を好まない大企業体質」ができあがるのは組織の成り立ちを考えれば当然のことと言えます。

それで、いざ、経営がうまくいかなくなった暁には、盲目的に頑張ってきた従業員をリストラするわけですから、これはもう愚の骨頂ではないでしょうか。まさに、「使い勝手の良い若者」を卒業したいという気分になりますよね。

変化に対応できる柔軟性を得るためには、その逆をいけばいいと思います。【1】意思決定のスピードを上げる、【2】「回すのでいっぱいいっぱい」にならないよう「薄利多売ビジネス」を回避し、価値を高めることに惜しみなく投資する、【3】組織を小規模にし、一人一人の権限を高め「当事者意識」を持たせる、【4】従来の「就活」システムを撤廃し、むしろ面白い人材をスカウトする方式にする、など。しかし意思決定が遅い大組織では解決策がわかっていても方向転換ができない。そうこうしているうちに資金繰りに困り(今ここ)、気づいたら経営破綻(近い将来)ということになるでしょうね。

情報は「マス」から「オーダーメイド」への記事にも通じますが、大企業が大企業であるゆえんは、「マス」という幻想を相手にしていることにあります。これからは、従業員一人一人、消費者一人一人を大切な一人の「人」としてとらえる、「スモールビジネス」、「オーダーメイドビジネス」の時代でしょう。きめこまやかな個別対応なら強いのは個人。一人一人が個人事業主であれば、意思決定も早く、お互いの協力関係や融通もききやすいです。「人とのつながり」が最強のリスクヘッジの記事の繰り返しになりますが、多様な個性を持つ「個人事業主ネットワーク」、「人とのつながり」こそが、これからの時代のキーワードになることは間違いありません。

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