「○○は甘え」言説では誰も幸せにならない

もうすぐ8月。私のような体力ない勢には厳しい季節がやってまいります。いつかこの「体力のなさ」を題材にした記事を書こうと思っていたりもするのですが、体力がない人というのはそうでない人にはなかなか理解してもらいづらく、「甘え」だと言われることも多かったりして結構生きづらいなと思うこともあります。夏の暑さは特に苦手で、すぐにへばってしまうので基本的には一日中家にいたいなと思ってしまうインドア人間です。

公務員を辞めてからというもの、「週5で満員電車に乗って職場へ通勤する」という多くの人が「当たり前」にできることも難しくなってしまい、私って「普通」じゃないんだなぁと思ったりすることもあります。いわゆる障害の有無で言えば、私は「健常者」ですし、パッと見健康的な普通の人間ですが、「体力がない」「すぐお腹を壊す」などのハンディを抱えて生きています。体力自慢の方、お腹を壊したことがない方にしてみれば、「ちょっとは鍛えろ」とか「お腹冷やすな」とか、そのくらいの軽いことなんでしょうけど、私にとってはかなり重要な問題でもあります。

人って基本的に自分スタンダードで他人を裁きがちなので、自分が理解できない苦しみを抱える人とか、自分が絶えてきた苦しみに耐えていない(ように見える)人、楽しているように見える人を、「甘えだ」とか言って批判しますよね。私はそういった言説を見るたびに、今の日本の不寛容な空気に嫌気が差してきます。「○○なのは甘えだ」という言説って、すごく冷たい感じがして、「自分とあなたは違う」という分離感をものすごく感じます。もう少し、相手の苦しみや状況に寄り添うことはできないのかなと悲しい気持ちにもなります。

そしてその「甘えだ」言説が発揮されるのって、だいたい自分より立場が低い人々に対してなんですよね。生活が苦しい人、奨学金を返せない学生、病気の人、うつ病の人、障害者、シングルマザー、子育て中の親、ニート、引きこもりなど…。金持ちのボンボン的な人に発せられる場合もありますが、だいたいは稼ぎが少なく、税金を納める度合いが低い人に対して言われることが多いです。「甘えだ」とよくセットにされるのが「自己責任」「努力不足」といった言葉。明らかに社会のしくみに欠陥がある場合でも、それはわかっていたはずだ、事前に防げなかったのが悪い、などと言われたりもします。

「甘え」というのは、「依存」という言葉にも近いのかなと思います。確かに「甘えだ」と言われる人は、経済的に苦しかったりして、福祉に依存していたり、親に依存していたりする人が多いです。ただ、これは偏った見方だなと思うこともあります。私はこの世の中がうまく回っているのは、不当に低い賃金で働かされている人の(を搾取している)おかげだ、と強く思っています。街で働く非正規労働者、外国人労働者しかり、途上国で著しい低賃金で働かされる人もしかりです。私達の社会は、低賃金労働者に支えられており、「甘え」ており、「依存」している。そんな風に考えるようになりました。そう考えると、人々が働いて得た富を搾取する人々が一番「甘えた」存在であると言えるのではないでしょうか。

いつの世もどんな集団でもそうですが、弱い人々は自分より立場の弱い人々をいじめることで自分を保とうとするものです。それは学校でも、社会でも同じだと思います。経済政策の(敢えての)失敗により、人々はどんどん貧しく、生活は苦しくなってきていて、心に余裕がなくなってきています。自分も苦しい中頑張っているのに、パッと見楽をしているように見える人がいると、「ズルい」「甘えだ」と言いたくなってしまうのでしょう。社会のしくみやあり方に問題がある結果として、弱い人々が「甘えだ」と言いたくなるような人々が出てきてしまうのだから、その結果(=人々)を責めるのではなく、そうなってしまう原因となる社会のしくみ、あり方の方を批判するべきだと思います。そういった社会を作り、恩恵を受けているのは紛れもなく権力者、支配層なのです。

社会的弱者、自分より弱い人を「○○は甘えだ」と言って責めることで、一時的には鬱憤は晴れるかもしれませんが、言われた方も言った方も、全く幸せになれないどころか、どちらも不幸になるばかりだと思います。言われた方は自分を責めがちになり、罪悪感を感じ、引きこもりがちになりますし、言った方も自分の心がネガティブなままなので幸せにはなれません。本当の問題はどこにあるのか、本当に批判するべきなのは誰なのかというのを、一人一人がしっかり見極める必要があると思います。もし「○○は甘えだ」と誰かに言いたくなったら、自分を見つめて、自分が満たされなかった思いや辛い思いを癒してあげてほしいです。そして、広い視野で物事を見られるようになったとき、「○○は甘えだ」と安易に他人に言うことはなくなっているだろうと思います。

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