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【超最短マスター知財検定3級】#02登録要件・著作物の引用【2019年7月実施回】

登録要件

発明、考案、意匠、商標など産業財産権が保護を受けるためには、所定の登録要件を満たす必要があります。一方、著作権法では、著作物の完成と同時に著作権等が原始的に発生する「無方式主義」を採用しています。登録要件に関する出題は、主に実技試験で問われやすいです。

1.法上の発明
・自然法則(万有引力の法則、エネルギー保存の法則など)を利用していること。計算方法、社内管理規定など人為的な取り決めは自然法則に該当しない。永久機関などは自然法則を利用しているとはいえない。
・技術的思想であること。フォークボールの投球方法などの技能は第三者に客観的に伝えられないので「技術」ではない。
・創作であること。天然物や自然現象の単なる発見は発明に該当しない。
2.産業上利用可能
広く産業の目的として利用可能であること。人を治療・診断する方法や学術的・実験的にのみ利用される発明、実際上明らかに実施できないものは、産業上利用可能性がないとして特許にならない。
3.新規性
出願時において発明が客観的に新しいこと。時期的には出願の時点、地域的には全世界が判断基準となる。
4.進歩性
当業者が出願時の技術水準から容易に考え出すことができない程度の困難性のこと。当業者とは、その分野における通常の知識を有する者をいう。
5.先願
同一発明について、二以上の者が異なる日に出願した場合、最先の出願人のみが特許を取得できる。同日出願なら双方の協議により決められた出願人のみが特許を取得できる。

出題例

【第32回3級学科試験】
問12 ア~ウを比較して,特許要件に関して,最も不適切と考えられるものはどれか。
ア 同じ発明について,異なった日に二以上の特許出願があった場合は,最初に特許出願をした者だけに特許が認められる。
イ 特許を受ける権利を有する者の意に反して公知となった発明であっても,その発明が公知となった日から1年以内に特許出願をした場合には,特許される場合がある。
ウ 単なる設計変更や寄せ集め,最適な材料を選択しただけにすぎない発明について,特許出願した場合には,新規性を有しないことを理由に,拒絶される。

解答 ウ
ア 同一の発明について異なつた日に二以上の特許出願があったときは、最先の特許出願人のみがその発明について特許を受けることができる(特39条1項)。
イ 特許を受ける権利を有する者の意に反して公知となった発明は、公知となった日から1年以内にその者がした特許出願に係る発明についての新規性及び進歩性の規定の適用については、新規性の喪失に至らなかったものとみなす(特30条1項)。
ウ 単なる設計変更や寄せ集め、最適な材料を選択しただけにすぎない発明は進歩性を有しないことを理由に拒絶される。

【第26回3級学科試験】
問10 ア~ウを比較して,特許を受けるための要件に関して,最も不適切と考えられるものはどれか。
ア 日本国及び外国で新規性及び進歩性を有する発明であること
イ 当該技術分野の最先端の知識を有する者が容易に創作できる発明でないこと
ウ 公序良俗に反する発明や公衆衛生を害するおそれがある発明でないこと

解答 イ
ア 新規性、進歩性の判断基準は世界基準なので 〇
イ 当業者とは、発明が属する技術分野の通常の知識を有するものをいい、最先端の知識を必要としないので ×
ウ 公序良俗又は公衆衛生を害するおそれがある発明については、第29条の規定にかかわらず、特許を受けることができない(特32条)ので 〇

【第26回3級学科試験】
問16 ア~ウを比較して,意匠登録の要件に関して,最も適切と考えられるものはどれか。
ア 意匠登録出願後から意匠登録前までの間に日本国内において公然知られた形状等に基づいて当業者が容易に創作することができた意匠については,意匠登録を受けることができない。
イ 意匠登録を受ける権利を有する者の行為に起因して意匠公報に掲載された意匠については,新規性を喪失しなかったものとみなされる。
ウ 意匠登録出願前に外国において公然知られた意匠に類似する意匠については,新規性を有しないことを理由として意匠登録を受けることができない。

解答 ウ
ア 新規性、創作非容易性の判断基準は出願日(意3条1項各号)。意匠登録出願「後」から意匠登録「前」までではないので ×
イ 意匠登録を受ける権利を有する者の行為に起因する、新規性喪失の例外規定の適用は公報掲載によるものを除く(意3条2項括弧書)ので ×
ウ いわゆる「公知意匠」又は「公知意匠」に類似する意匠は、新規性を有さないものとして意匠登録を受けることができない(意3条1項3号)ので 〇

著作物の引用

過去問によると著作物の引用に関する出題が多いので、成立要件と共に抑えておくのが良いでしょう。

1.引用が公正な慣行に合致すること
2.報道,批評,研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれること
3.引用側と被引用側が明瞭に区別されていること(明瞭区別性)
4.引用側が主で,被引用側が従であること(主従関係性)
5.引用元の出典を明示すること
6.引用が必要最小限であること

出題例

【第31回3級学科試験】
問17 ア~ウを比較して,著作物を引用するための要件として,最も適切と考えられるものはどれか。
ア 引用される著作物が公表されていること
イ 引用される著作物が営利目的のものでないこと
ウ 引用される著作物の著作権者に通知をすること

解答 ア
公表された著作物は、所定の要件(明瞭区分性、主従関係、出典明示、必要最小限)具備の下、引用して利用することができる(著32条)。
イ 営利目的は要件にないので ×
ウ 著作権者への通知は不要なので ×

【第28回3級学科試験】
問19 ア~ウを比較して,著作権法上の引用に関して,最も不適切と考えられるものはどれか。
ア 非営利を目的とする場合であれば,公表されていない他人の著作物を引用して利用することができる。
イ 他人の著作物を引用して利用する場合,その著作物の出所を明示しなければならない。
ウ 他人の著作物を引用した部分を含む著作物の複製物は,譲渡により公衆に提供することができる。

解答 ア
公表された著作物は、所定の要件(明瞭区分性、主従関係、出典明示、必要最小限)具備の下、引用して利用することができる(著32条)。
ア 営利目的は要件にない。

まとめ

産業財産権の登録要件と著作物の引用要件について、簡単におさらいしました。頻出分野なので、過去問を解きながら「理由」を説明できるようにしておくのが良いでしょう。

次回は手続きについて説明する予定です。

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