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「社債・債権」と「株式」どっちがお得?

こんにちは #金曜日はカネ曜日
ファイナンス担当のけんたろです。

今日は、コーポレートファイナンスについてさらっと触れた後に「債権vs株式」について掘り下げていきます。

コーポレートファイナンスについて

僕が経企に異動になったとき、先輩から習ったのがこちらの概念図でした。
「この図を頭に入れてくように。経営会議にてお金の話がでた場合、どこの話をしているのか、この図の中で理解しながら整理すること!」
として、とても大事だと習ってきました。

コーポレートファイナンスの概念図

コーポレートファイナンス:お金(キャッシュ)の流れ

経営者は事業を行うために、まずキャッシュが必要になります。
一番初めは、自身の貯金や両親・友人から出資や貸付で集めたお金で事業を始めることもあるかもですが、
事業が大きくなるにつれ、銀行からの貸付や投資家からの出資を受け入れていくことになります。(友人からの貸付や自身の資金を会社へ入れる行為もこれらに該当します)

銀行などからの貸付を受けた場合、キャッシュの出し手のことを「債権者」と呼び
株式などと引き換えに出資を受けた場合、同様に「投資家」と呼びます。

経営者はこれら債権者・投資家からキャッシュを預かり、今度は四角の右側のビジネス領域へキャッシュを投下いくことになります。
ビジネスに必要なAssetや材料を購入するためや従業員給料などにその集めたお金の一部を投資していきます。

この事業活動の中で得られた利益が経営に戻ってきますが、
”利子”として債権者へキャッシュを戻し、”配当・自社株買い等の株主施策”として投資家へキャッシュを戻します。
もちろんビジネスで得られた源資全てを両社へ返すのではなく、一部は再度ビジネスへ投資することもあります。

今書いたフローが会社を経営する上でのキャッシュの動きになってくるんです。

コーポレートファイナンス:経営者の向き合うべき2つの判断

経営者は大きく2つの経営判断に向き合うとされています。
真ん中の四角の”右側”の財務判断と、”左側”の投資判断です。

財務判断とは、一言で言うと、安定的かつ効率的な事業を行うために様々な資金の獲得オプションを整え、判断することを意味します。
皆さんも誰かにお金を貸すなら、増額して返してもらうことを期待しますよね?
債権者・投資家それぞれ様々な期待値をもって会社と関わっておられます。
どのように資金獲得することが会社にとって最も価値を向上させる手段なのか、意思決定することが求められます。

また投資判断とは、どのビジネスに投資するか、どのように投資するかを判断することを意味します。
リスクリターンでもnote書きましたが、各事業を投資と見立て、どのビジネスに投資するのが最も企業価値を向上させるかリスクとリターンをうまく見極めながら投資の判断をしていく必要があります。

さて、ここまでが”コーポレートファイナンス概念図”の概要でした。
ここからはタイトルに戻って、債権vs株式をもう少し掘り下げていきたいと思います!
企業がビジネスをしていく上で大切なパートナとなる「債権者」と「投資家・株主」はそれぞれどんな違いがあるのか観ていきましょう!

債権者vs投資家・株主

それぞれの差を以下図で対比してみます^^

利益、返還、倒産時、経営参加の4つの視点での違い

〇利益の観点
言わずもがなですが、債権者も投資家もボランティアでどこかの企業にお金を投資していません。彼らはその投資したお金がいくらかのリターンを生み出すことを期待しています。

まずは債権者について。
彼らは貸付を行う際に、企業と利率を合意します。年間5%で100万円貸付けたならば1年後5万円の利子を受け取ります。
債権者は企業が利益を上げていようがなかろうが、確実にその利率分を受け取る権利を有しているのが特徴です。

一方、投資家はどうでしょうか。彼らは大きく2つのリターンを期待しているんです。1つは配当などのインカムゲイン。もう1つは買った時よりも高く株式を売ることによって出る差額のキャピタルゲインです。
ただしこれらはどちらも”確実に”得られるリターンではないんですよね。
特に配当などによるリターンについては、企業側への義務はないので企業の配当ポリシーに大きく左右されたりもします。
中には、「今年は赤字だから配当金を出さない」なんて場合もあったりします。
実はパナソニックも2011-2012年度決算において2年連続で7000億円超の大赤字を叩きだしましたが、
2012年度は無配当(配当金0円)としたことがあるんです。株主は激おこですよねw
また、GAFAの一角である「amazon㈱」においてはずーーーっと無配当を堅持していることでも有名です。
もう片方のキャピタルゲインも企業が成長できなかったら株価は下がる傾向にあるので、こちらも損をする可能性がありますね。
投資家が得られるリターンは不確実性が大きい点も特徴になります。

〇返還の観点
次に債権者、投資家それぞれが投資したお金はどのようにして返還されるのでしょうか。
まずは債権について。彼らは”ある一定期間”貸付けることを合意して貸付けを行うことが通常です。その期限が来ると貸付けを行った元本が丸っと返ってくるのが特徴かと思います。

一方、投資家が出資した資金は、原則返ってきません。株券という紙きれのみ渡され(今は紙切れすら手元に届かない)、毎年配当金が配られたり配られなかったり、また株券を売ったりすることでキャッシュに変えることはできますが、ある期間が過ぎたから株券をお金に替えてもらうことは原則ないんです。
企業へ株式を売る=企業視点では自社株買いというカタチで株式がキャッシュに替わることはありますが、あくまで投資家視点では株式売買の一つのカタチでしかないんですよね。

〇倒産時の観点
ではそんな中、投資先の企業が倒産したらそれぞれどのようにキャッシュが戻ってくるのでしょうか。
もちろん倒産した時に財布の中がすっからかんとは限りません。キャッシュがなかったとしても、機会とか在庫が残りそれをキャッシュに替えることもできたりします。
貸付けている債権者からすると元本分取り戻したいでしょうし、投資家からしたらこれまで記載した通り配当など十分にもらえていなかったら大損するので、我先に投資分取り戻したいでしょうね。

そして、その返還優先順位ですが、実は債権者が先に返してもらい、それでもまだキャッシュ相当が余った場合に、残預金を投資家で分けることになり、債権者に劣後することになるんです。

ここまで記載の通り、投資家って結構リスクが高い出資方法なんですよね…
なので過去の投稿でも書きましたが”ハイリスクハイリターン”に則り、債権者よりも高いリターンの見込みがないと誰もその会社の株式を買う出資を行ってくれないので、
企業は債権者への利率よりも高い配当などでのリターンや、企業の成長による売却益を株主にもたらせることにコミットするんです。
https://note.com/murajuku/n/n1a2ffa4fa376

でも、、、本当に企業は出資者に対して真摯に経営を行うのでしょうか。お金を募るフェーズでは都合のいいことを吹聴し、気付けば無配当・ノー成長というずさんな経営にならないのでしょうか。
そこで最後の観点です。

〇経営参加の観点
債権者は経営の意思決定に対しなんら効力をもっていませんが、投資家は彼らがもつ株式の割合に(原則)準じて、経営権を持っています。資本主義の世界では、一人一票とか政治の世界のように生ぬるいものではなくお金が全てですw
過半数の株式を保有していれば経営者の選出含め、様々な物事を意思決定できるんです。(少数株主の利益を害すると、株主代表訴訟とかで訴えられたりもするので、注意は必要ですが)
もちろん過半数をもって経営へ参画するなんて機会はそう多くないでしょうが、意思決定に関与できることも投資家の特徴で、ここが一定ハドメにもなるんです。

ということで、ざーーーーっとになりますが
債権者と投資家の違いについて4つの観点で記載してみました。
これまでハイリスクハイリターンなど記載してきましたがちょっとづつ色んなファイナンスの知識がつながってくることにワクワク感共感いただける方が一人でもいたら嬉しいなと思っております。

連休後も引き続き御贔屓にいただければ嬉しいです^^
HAVE A GREAAAAAAAAAAAAAAAAAAAT VACATION!

#まいにちMBA #金曜日はカネ曜日


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