第４回目の投稿は前回に引き続き「リスクとリターン」についてです。

前回の投稿で「ハイリスクハイリターン」についてファイナンス領域での
使われ方など記載してみました。
金融商品においては、リスク（価格変動の振れ幅）が高いものはリターンを大きくしないと買い手が付かない＝ハイリスクハイリターンという内容でした。
ここまで理解した次は、リスクを下げながら、リターンを上げる（or維持）するような方法はないのか、気になるところですよね。
お任せください。今回のテーマがまさにそれです。

”ロー”リスク”ハイ”リターンにできる魔術

実はあることをするだけで、リスクをグーンと引き下げることができるんです。
そんな魔術を編み出した天才経済学者ハリー・マーコウィッツのポートフォリオ理論に触れていきたいと思います。

ポイントはリスク分散

皆さんも年金や資産等の運用において、「様々な銘柄に分散させることが大事」だという話を聞いたことありませんか？
僕もそんな研修を死ぬほど受けてきましたが、そのたびに、背景説明は片手落ちだと感じていました。
”なぜ”分散投資することが良いのか、についてもより理解が深まるような内容にできればと思ってます。
少し長くなるので、２週に分けて解説してみます。

金融商品：ローリスク商品AとハイリスクBの組み合わせ

例えば、下図の通り、単独の商品だとA/Bの位置にプロットされる金融商品があったとします。

多くの方は直感的には①を想起されたんじゃないかなと思います。
クイズなので②かなー？③かなー？④って何だ？と思考を巡らせていただいた方もいるんじゃないかな、と僕もワークを作りながら、ワクワクしてますよ。ｗ

では早速”解答”です。実は①～③すべて異なっていて、こんな場所にプロットされます。

なんでこんな場所に？は具体のケースを見ながらがわかりやすいと思うので次回実践編へ解説を譲りますが、
二つ以上の商品を組み合わせることで、ローリスクハイリターンは作れちゃうという点がミソなんです。

肝は逆相関のある銘柄の組み合わせ

組み合わせによるローリスク化の背景は”逆相関”のためです。
例えば本年は梅雨時期なのに40℃以上の気温になるような猛暑になりました。そうするとビールやアイスなどの売れ行きは絶好調になります。
一方で、鍋のお供白菜の売れ行きは低下しちゃいますよね。

では、逆に猛暑ではなく冷夏だとするとどうでしょうか。
ビールアイスは売れなくなり、白菜が売れる機会は増える逆現象が起きますよね。
このように、外気温（猛暑/冷夏）によって売れ行き状況などが逆転する関係性のあるものを逆相関といいます。

これだけ科学が発達した現在でも猛暑になるのか、冷夏になるのか読み切ることはできません。「ビール専門店」「白菜専門店」単体で見るとこの結果によって売り上げが大きく乱高下するため、ハイリスクハイリターンになるんです。

でもスーパーのオーナーでビールと白菜を陳列している立場でこのケースを想定すると、
猛暑になればビールが売れ白菜が売れ残る。冷夏になれば逆になりますね。ビールも白菜も仕入れ値に一定利益を載せているので廃棄による損失よりも売り上げのリターンが上回ります。

つまり、スーパーの立場では、猛暑/冷夏どちらになっても一定のリターンは得られる一方で、リスクは大きく低減できています。
これが組み合わせによりリスクを低減できるロジックです。
次回のnoteでは具体的な数字を使って、どれくらいリスクが引き下がったのか詳細に見てみたいと思います。

結論

資産形成における重要なキーワードの１つは「ローリスクハイリターン」だと考えております。
そして、個別の銘柄では実現でき（にく）かったリスク低減も
逆相関のある複数の銘柄を組み合わせることでローリスク化できる点お伝えいたしました。
今回のケースでは猛暑/冷夏を取り上げましたが、地政学リスク、為替リスク、技術発展によるリスク、数えきれないほどのリスクが世の中には溢れています。

それぞれのリスクシーンのシナリオは想定し得ないので、
できるだけ逆相関を想定しながら資産を分散させることが合理的な資産形成になります。

１点張りの資産形成されている方には、分散投資を検討いただく機会になればうれしく思います

#まいにちMBA #金曜日はカネ曜日

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