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それから『燃える夏』


燃える夏

何も感じたくない
何も聞きたくない
部屋の窓から射し込む夏の日差し
暑くて退屈な一日の始まり

僕を不安にさせるのはいつかの笑い話

人に優しくしたい
誰かに優しくされたい
汗でシャツが濡れる
夏の昼下がり
君の前では「全然平気。」と言ってばかり

僕を不安にさせるのはいつかの笑い話

燃える夏 燃えろ夏

僕を不安にさせるのもいつかの笑い話


【解説】
最初に出した
シングル『MiD/燃える夏』のリメイク版。
歌い出しがピアノに変わっていて、
完全に一発録りだったので、
ちょっとミスってる感じが気に入ってる。
この曲の最後は
一曲目の『それから』の公園に戻ってくるようなアレンジにしてもらった。
結局、
全部公園で座りながら思い出した
ただの独り言だったような
「まあそろそろ帰ろうか」という
アルバムの終わりにしたかった。

「友哉、
今はしんどいかもしれないけど、
いつか今のことは絶対笑い話になる。
今は信じられないかもしれないけど、
いつか彼女と会って今日を笑える。」

20年前くらいに
新栄クラブロックンロールで働いていた
まさやさんが、
長く付き合ってきた彼女に浮気をされて、
落ち込む僕にそう教えてくれた。
まさやさんにはロックを紹介してもらい、
僕もばんもご飯に連れて行ってもらったりして、
スパルタンX時代、
彼が辞めるまでは本当に可愛がってもらった。
でもあの時はいくら
まさやさんが言うことでも
こればっかりは全く信じられなかった。
しかし本当に
その何年後かに彼女に会って、
あの時を笑い合った。
彼が言っていた通りだった。
それから僕の座右の銘ではないけど、
「今不安に感じてること、
今悩んでることは全部、
いつかの笑い話になる。」
ということが頭の中にずっとある。
ある意味では自己暗示にも近いけど、
そう思うと少しだけ気が楽になる。
今でも何か嫌なことがあったり、
イラついたり、
恥ずかしかったり、
辛いことがあると
どこかで
「誰にどうやって話したら面白くなるかな。」
と思ってる。
最悪、誰かに笑ってもらえるなら、
それはそれでこの経験も悪くはない。
それはある意味では歌詞も一緒で、
ここまでの歌詞の解説を見て
何となく分かるかもしれないけど、
こうやって歌詞にすることで
誰かに聞いてもらい、
分かち合ってもらって
ずっと体に残っていた
気持ちや思い出を消化してきた。
そうやって
ずっと自分のためにやってきたことだったのに、
「あの曲を聴いて乗り越えられた」
「彼女と別れた日、
あの曲をずっと聴いていた。」
とか言ってくれる人が現れたりして、
今では不思議と誰かのためになってたりもする。
そんなことを言われるたびに
逆に僕がいつも救われている。
「ああ、
この人の為に
俺にもあんな事があったのかもしれないなあ。
だったらあの時しんどかったけど、
経験して良かったな。」
とか思ったりもしてる。
『燃える夏』にも
そんなお客さんとの思い出がたくさんあり、
おそらくこの曲が一番最初にそういう経験するきっかけになった。

Aメロの歌詞は1番2番ともに
大学時代のラーメン屋での思い出。
バイト先の集団に馴染めずに1人でいつもいた。
バイト先で
ペーパータオルをポケットに入れて、
歌詞を書いていた。
この時のことはこのコラムに書いてる。

https://2youmagazine.com/column/murakamicolumn-3/

しかし何でまた
こんなパンチのあるタイトルを付けたのか、
全く思い出せない。
ある時、誰かに
「名古屋出身だし、
『燃えよ、ドラゴンズ』から取ったの?」
と聞かれたこともあったが、
僕は野球には全く興味がない。


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