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それから『あの娘を返せ』

あの娘を返せ

今すぐ会いに行きたい
ハイウェイを飛び降りても
怖くないくらい

五臓六腑染み渡る
特効薬の香りは
Hiになった頭を乾かして
消えていくんだぜ

今夜あの娘を返せ
今夜あの娘の作り置きスープで乾杯して
今夜あの娘を返せ
今夜あの娘のスウェットを枕にして
眠りたいだけ

今すぐ声が聞きたい
水だけで二、三日は暮らせるくらい

前頭葉響き渡る炭酸水の痛みは
空洞の体内をまた駆け抜けて消えていく
「愛情なんてもうどうでもよくなっているのは本当です。」
シンタイを半分のまた半分にできたらいいよな

今夜あの娘を返せ
今夜あの娘のシャワージェリー・バスボムで夜に溶けて
今夜あの娘を返せ
今夜あの娘の寝息をBGMで感じさせて

感情フラストレーション
曖昧な僕の態度を消して

今夜あの娘を返せ
今夜あの娘の作り置きスープで乾杯して
今夜あの娘を返せ
今夜あの娘のスウェットを枕にして
眠りたいだけ


【解説】
また他の彼女にも浮気をされ、
その時の気持ちを歌った曲。
浮気を2度経験し、
「男は浮気する生き物だ」
という言葉は
今でも個人的には信じられない。
別に手を挙げたり、
邪険にするわけじゃないけど、
多分僕にもダメな部分は多いんだろう。

この曲のテーマは
くるりの『ハイウェイ』みたいな
「大袈裟な話」だった。
あの曲は最後にはタネあかしがあるけど、
僕が旅に出る理由が
大体100個もあるはずがない。
2度目の浮気で気持ちは折れ、
「そんな大袈裟な」
と言われるような
大騒ぎしてるだけの歌詞を書こうと思った。
あの娘に会えるなら
高速から飛び降りても怖くないし、
あの娘の声が聞けるなら
水だけで二、三日は暮らせる。
いやいや、そんな訳ないだろ。
というツッコミありきの歌詞。
言葉は正直何でもよかったから、
なるべく意味が分かりそうで、
分かりにくそうな言葉だけを選んだ。
ちなみに五臓六腑というのは
『ガキの使いやあらへんで』特番
笑ってはいけないシリーズの何かで、
藤原現副社長が
「松本さんの優しさは五臓六腑に染み渡るでー。」
と言ってたのを聞き、
意味が分からなかったので調べて、
言葉の響きが面白いので
いつか歌詞に入れたいと思ってた。

「五臓六腑染み渡る特効薬の香りは
Hiになった頭を乾かして消えていくんだぜ」
→タバコを吸いすぎてクラクラしてきた

「前頭葉響き渡る炭酸水の痛みは
空洞の体内をまた駆け抜けて消えていく」
→ショックでご飯が食べれなくなって、
そこに飲めないお酒を飲んで苦しくなってきた

という意味というか、
ニュアンスになっていて、
書くのも恥ずかしいくらい
大した事がないことをさも意味がありそうに
大袈裟に言っている。
またわざと五臓六腑(体)の反応が頭へ
前頭葉(頭)の反応が体内(体)へ
体の中を行ったり来たりする流れにして、
部位をまとめないことで
より意味の分からなさが増してる気はしてる。
ここでシンタイが片仮名になってるのは、
歌詞の並びで
歌詞の中に体内があって、
その後に身体だと
同じ言葉が違う言葉になってるのが、
なんか気持ち悪くて片仮名にしてみた。
今生活が破綻しすぎていて、
それならいっそ
僕の体を四分割にして、
あの娘にも会いたいし、
普通の生活もしたいし、
他の恋もしたいし、
バンドもしたい、みたいな意味。
それだけワーワー言っているけど、
じゃあ何でここまでして、
あの娘を返して欲しいのか?
作り置きスープ
(たまに作ってくれていた味噌汁のこと。
味噌汁を歌詞に入れるほど勇気はなかった為、スープに変える。)
で乾杯したいだけ。
スウェットを枕にして眠りたいだけ。
いやいや、そんな訳ないだろ。
普通に会いたいんだろ?
というここでもつっこみ待ち。
ちなみに
2番のサビの歌詞
「寝息をBGMで感じさせて」
はオーバーテイクの小松くんが
僕がこの曲の歌詞で悩んでいた時に
「僕が案を出して、ここだけ採用された。」
と言っていたが、
正直その記憶がない。
でも言われてみたらそんな気もする。
ただ
「3番は1番と一緒でもいいんじゃないですか?」
と小松くんに言われて採用はした。
サビの歌詞で
たまにこういうフリーパートというか、
何の言葉を入れてもいい場所で
1番と3番を
同じするという発想自体がなかったので、
その意見はすごく参考になった。
いつもだと欲が出て、
最後にオチをつけたくなるけど、
オチをつけないことがオチというか、
この曲には強いメッセージ性はなく、
感情がただ頭の中をぐるぐる回ってるだけ
みたいな感じがして良かった。

この曲はただ大袈裟なことだけを書こうと思ってたので、
今となっては自分でも「何この歌詞?」と歌っててもよく思う。
でもこうやって
人に大袈裟に言いたくなるくらい
2回目でも
この出来事は本当にショックだった。

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