現代詩「精米」

現代詩 精米
村崎懐炉

田舎から届いた米は玄米であったので
どうしたら良いか分からぬまま
僕は15キロの米を抱えて
街に出た

精米所を見つけたが混雑していて
順番が訪れない

玄米を精白してくれる所を探して
僕は街をさまよった

街角に毛皮を着た娼婦が立っていた
米の精白について尋ねたが
彼女が語るのは
場末に流れ着いた男と女の
ロマンスばかり
僕はロマンスなど持たぬので
それなりに興味津々に聞いていたかったが
米が重いのでお別れをした

最後に娼婦は僕の頬にキスをして
またね、と言った
僕もキスを返してまたね、と言った

米は益々重いのだ

僕はハローワークで精白について尋ねたが
ハローワークで斡旋されるのは
営業職ばかり
知らない人と話すことができる上手な話術を教わった
それなりに興味津々に聞いていたかったが
米が重いのでお別れをした
ハローワークの人が名刺をくれた
僕も握手をしてお礼を言った

米は益々重いのだ

僕は最後に住宅メーカーにやってきて
精白について尋ねたが
住宅メーカーがおすすめするのは
新築戸建の四LDKの物件ばかり
僕は家など持たぬので
それなりに興味津々に聞いていたかったが
米が重いのでお別れをした
住宅メーカーの人は来年のカレンダーと
ティッシュをくれた
僕は自分の個人情報を
用紙に書いてお別れした

米は益々重いのだ

最後に僕は気付いたら
コイン精米所の前にいて
無人のコイン機に
玄米を入れて
200円を入れて
八分づきのお米を作って
この話はおしまい

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ムラサキ

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