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中村節也編曲『宮澤賢治歌曲全集』


 中村節也氏のライフワークである宮澤賢治研究の成果の一つである、宮澤賢治の全歌曲の、中村節也氏の全編曲による歌曲集が上梓された。

 児童歌唱であったり、曲だけの演奏で聴いたことがある賢治の歌曲が、ピアノ伴奏によるテノール歌唱で、全歌曲が収録されている。
 まるでクラシックのシューベルト歌曲集を聴いているような、格調の高い歌曲集になっている。
 かつ、賢治のイーハトーヴ ワールドに包み込まれるような気持ちさせてくれるCDである。
 私宛のメールで述べられていた、中村節也氏のことばを以下に転記させていただく。

       ※               ※

 戦時中に求めた「宮沢賢治名作選」の一冊が、空襲の際リュックの非常持ち出しとなって以来、80年近く賢治が私の愛読書となり、師父ともなりました。
 94歳になってレコーディングの話が決まり、一年後ようやく完成。
 福井さんの歌唱はいうまでもなく、谷池さんのピアノがすばらしい表現でした。
 ことに「弓のごとく」のコーダの鶯、うずら、かっこうなどは、原曲のオーケストラを彷彿させます。
 

このたびは、歌曲全集の楽譜集も新しく刊行されている。

    

   ※               ※

 中村節也氏には『宮沢賢治の宇宙音感―音楽と星と法華経ー』という渾身の名著があり、このブログで紹介させていただいた。そちらも参照していただくと、中村氏の研究の視野の広さと深度が理解いただけるはずである。
 

ADDRESSはこちら
https://note.com/muratatu/n/nb4f5827b110f?magazine_key=m48c21c8b7245

 今年(2023 平成5)年の三月か来年の三月まで、日本現代詩歌文学館(北上市)で、下のチラシのように「賢治に献ずる詩歌」展が開催されている。
 その展示紹介の一つとして、中村節也氏の仕事も展示される。

 CDを購入し、またこの展覧会に足を運び、積年の、中村節也氏の業績に触れていただきたい。


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