Transcatheter Aortic-Valve Implantation for Aortic Stenosis in Patients Who Cannot Undergo Surgery

Martin B. Leon, M.D., et al., for the PARTNER Trial Investigators

N Engl J Med 2010; 363:1597-1607

要旨

この研究論文は、PARTNERトライアルの結果を発表し、重度の大動脈弁狭窄症で手術が適していないと考えられる患者に対する経カテーテル大動脈弁留置術（TAVI）の影響を調査しています。標準療法（バルーン大動脈弁形成術を含む）と比較して、TAVIは一年後の全死因死亡率、再入院率、心疾患の症状を有意に減少させましたが、重大な脳卒中や大血管事象の発生率は高かった。しかしながら、この研究ではTAVIを受けた患者で神経学的事象や主要血管合併症の発生率が高かったことも明らかにしました。これらの合併症にもかかわらず、TAVIで使用された生体弁の機能は初年度の後でも劣化する証拠はありませんでした。

既存の研究との関連性: この研究は、手術が適していない患者への治療オプションを提供するという観点から、大動脈狭窄症の治療研究に重要な貢献をしています。潜在的な合併症がありますが、TAVIは死亡率や再入院率を減少させる効果があり、有望な治療法として示されました。この研究は、血管合併症や脳卒中のような関連リスクを軽減するために、TAVIシステムの改善についてさらに調査することを推奨しています。

Abstract

背景
重度の大動脈弁狭窄症と共存疾患を持つ多くの患者は、大動脈弁の外科的置換の適応ではありません。最近、経カテーテル大動脈弁インプラント（TAVI）が大動脈弁狭窄症の高リスク患者に対するより侵襲性の低い治療法として提唱されています。

方法
我々は、手術が不適当と考えられる重度の大動脈弁狭窄症患者をランダムに選び、標準療法（バルーン大動脈弁形成術を含む）または経大腿動脈からのバルーン膨張型牛心膜弁のカテーテルインプラントを行いました。主要エンドポイントは、全死亡率でした。

結果
手術が不適当と考えられる大動脈弁狭窄症患者358人が21のセンター（アメリカ17ヶ所）でランダム化されました。1年後、全死亡率（カプラン–マイヤー分析）はTAVIで30.7%、標準療法で50.7%でした（TAVIのハザード比、0.55; 95%信頼区間 [CI]、0.40～0.74; P<0.001）。全死亡または再入院の複合エンドポイントの発生率は、TAVIで42.5%、標準療法で71.6%でした（ハザード比、0.46; 95% CI、0.35～0.59; P<0.001）。1年生存者のうち、TAVIを受けた患者と標準療法を受けた患者とで、心臓症状（ニューヨーク心臓協会分類IIIまたはIV）の発生率は低かった（25.2% vs. 58.0%、P<0.001）。30日時点で、TAVIは標準療法に比べ、大きな脳卒中（5.0% vs. 1.1%、P=0.06）と大きな血管合併症（16.2% vs. 1.1%、P<0.001）の発生率が高かった。TAVI後1年間で、エコーカーディオグラムによる狭窄または逆流の証拠によって評価される生体弁の機能は劣化していませんでした。

結論
手術が不適当な重度の大動脈弁狭窄症患者では、TAVIは全死亡率、全死亡または再入院の複合エンドポイント、及び心臓症状の発生率を有意に減少させましたが、重大な脳卒中と大血管事象の発生率は高かった。

主要関連論文

1. "Transcatheter Aortic-Valve Implantation for Aortic Stenosis in Patients Who Cannot Undergo Surgery" by Leon MB, et al. - The New England Journal of Medicine (2010)

2. "Transcatheter versus surgical aortic-valve replacement in high-risk patients" by Smith CR, et al. - The New England Journal of Medicine (2011)

3. "5-Year Outcomes of Transcatheter Aortic Valve Replacement Compared with Standard Treatment for Patients with Inoperable Aortic Stenosis (PARTNER 1): a randomised controlled trial" by Kapadia SR, et al. - The Lancet (2015)

4. "Transcatheter or Surgical Aortic-Valve Replacement in Intermediate-Risk Patients" by Reardon MJ, et al. - The New England Journal of Medicine (2017)